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エネ計画案 政府が語らない3つの「不都合な真実」

エネルギーを取り巻く世界情勢論について政府案は、「脱原発の動き」「石炭支援政策の見直し」「自然エネルギーの拡大」ということを無視している。日本政府が“国民に紹介したくない「不都合な真実」”と自然エネ財団コラム。
東洋経済の記事は、「原発の高いコストとリスクを軽視」批判している。
先日、吉井英勝氏が講演で「原発輸出と再稼働は一体不可分」と指摘している。

【エネルギー基本計画」政府案が語らない三つの事実  自然エネ財団コラム3/20】
【エネルギー基本計画案は矛盾だらけ 原発の高いコストとリスクを軽視 東洋経済3/13】

吉井氏の講演より
「電力会社は、総括原価方式と地域独善で絶対儲かります。原発メーカーも3社独占。原発は鉄とコンクリートの塊ですから、新日鉄とか、鹿島などスーパーゼネコンが儲かる。計画して動きだすまでに10年、金融機関は巨額の貸付で必ず儲かる。電力、鉄鋼、メガバンク…日本の財界の中枢部です。彼らは、原子力産業協会という団体を作っていますが、会長は、新日鉄の元社長、日本経団連名誉会長です。実は、息子が資源エネルギー庁の役人で自民党の原発政策を作成したといわれています。その彼が安倍政権の政務秘書官になっています。現役の官僚で政務秘書官は異例です。原発利益共同体と直結しているのが安倍首相。海外に原発輸出のセールスに飛び回っており、原発利益共同体の営業課長そのものです。」
「なぜ原発輸出にこだわるか。原発は一機5千億円。送電網の整備や核燃燃料を輸入するための港湾建設と関連する仕事も大きく、システム輸出の中でもおいしい話。だから、輸出先の技術者を日本で研修するための再稼働に固執している。」
(メモ者 成長するアジアだが、中国もベトナムもインドも電力不足であり、海外生産の拡大にとって制約となっている。多国籍企業のためのインフラ整備である)

【エネルギー基本計画」政府案が語らない三つの事実】

2014年3月20日 大野 輝之 自然エネルギー財団常務理事

自然エネルギー財団は、先週、政府の「エネルギー基本計画」案に対する見解を公表した。その中では、政府案が福島原発事故の災禍を経験し、気候変動の危機がIPCC第5次報告でもますます明らかになるという状況にもかかわらず、原発と石炭火力の双方を「重要なベースロード電源」と位置付けていることを指摘した。政府案は、原発と石炭火力がいかに重要なものか、あれこれと書き込んでいる。

 このコラムで指摘したいのは、反対に、書かれるべきなのに、政府案に書かれていない事柄についてである。

 基本計画でどのような方針を打ち出すかは、日本を取り巻く現在のエネルギー情勢をどのように認識するかにかかっている。政府案は、その冒頭に「福島第一原発事故及びその前後から顕在化してきた課題」という章を置き、まさしく彼らの状況認識を述べている。この論理展開の形式は正しい。問題は内容だ。政府案は、中東・北アフリカ地域の不安定化や北米のシェールガス革命の動向に多くの紙幅を割いている。確かに「アラブの春」に端を発する中東情勢やシェールガス革命は、この間に起きたエネルギーを巡る大きな変化であり、それについて触れるのは間違っていない。間違っているのは、世界で起きているエネルギー分野での三つの大きな変化に全く触れていないことである。

第1は、福島原発事故後に、多くの国々が脱原発の方向に舵を切ったという事実である。欧州では、2011 年に、ドイツが 2022 年までにすべての原子力発電所を止めることを定め、ベルギーも 15 年からの順次廃止を決定、スイスやイタリアも国民投票で脱原発を決めた。米国では、2013年中に5基の運転中の原発の停止が決まった。福島事故後に作られる初めての「エネルギー基本計画」であるにもかかわらず、政府案は文字通り、一言もこれらの事実に触れていない。原発関連の世界状況で政府案に書かれているのは、「新興国を中心とした世界的な導入拡大」という文言だけである。

第2は石炭火力についてである。昨年9月には、米国政府が、事実上、石炭火力を新設できないようにする規制案を公表し、途上国の石炭火力発電にも融資しない方針を決定した。途上国に対する同様の方針は、その後、米国輸出入銀行、世界銀行、欧州投資銀行、欧州復興銀行など主要な国際金融機関からも発表され、広がっている。政府案は、世界で起きているこうした変化は全く語らず海外に石炭火力を輸出する方針を掲げている。

政府案に書かれていない第3の事実は、世界で起きている自然エネルギーの急速な拡大である。政府案には、ドイツなど欧州のいくつかの国では既に自然エネルギーが電力消費の2-4割を占める基幹電源となっていることや価格低下が進んでいることには、これも文字通り、一言も触れていない。状況認識を示す冒頭の章で、自然エネルギーについて触れているのは、固定価格買取制度の導入で自然エネルギーが電気料金の増加要因になっている、という文脈の中での一か所だけである。

世界での脱原発の動き、石炭支援政策の見直し、そして自然エネルギーの拡大ということまでもが、日本政府にとっては、国民に紹介したくない「不都合な真実」なのだろうか。

【エネルギー基本計画案は矛盾だらけ 原発の高いコストとリスクを軽視 中村 稔 東洋経済3/13】  その中心点を紹介・・

◆本当のコスト論議を素通り
・原発の「運転コストは低廉」と記されているが、真のコストは検討されていない
・新規制基準導入により、原発の追加安全対策費用は兆円の単位で今も増えつつある。
・原発の8.9円の試算は、事故対応費用の下限値5.8兆円が仮置きされたもの、現時点で10兆円を優に上回る見込み。
・17円になる可能性。日本経済研究センターの指摘(2013年1月)
「40年に一度の割合で福島並みの事故が起きるリスク(保険料として費用化)や、災害対策の重点地域拡大に伴う電源立地交付金の増大などを試算に織り込んだ結果であり、こうした最大リスクを考慮した試算を政府は早急に明示すべきと主張している。」
・ 富士通総研経済研究所の高橋洋・主任研究員の指摘
「原発が高コストで経済性が低いことは、少なくとも先進国では常識。英国政府は、原発に対してキロワット時当たり15.7円(1ポンド=170円換算)で35年間の売電収入保証制度を導入した。陸上風力よりも価格が高く、保証期間は2倍以上長い。原発はハイリスクハイリターンだから、そこまで保証しないと事業者は原発を運転してくれないと政府が認めたわけだ」。

◆長所ばかり羅列し、リスク軽視
・事故の巨大なリスクの軽視/自然災害、テロ、(ヒューマンエラー)など。その際の責任の所在も不明確

◆原発の新増設方針も暗に示唆
・計画案は、今後のエネルギー制約を踏まえ、「確保していく規模を見極める」となっている。
新増設しなければ、原発の数はゼロに向かって漸減する。「規模の確保」とは新増設宣言である。

◆核燃料サイクル推進方針は変えず

◆優先すべき最終処分場も先送り
・廃棄物を処理するメドが立っていなくても許されるような産業は原発だけといってもいい。原発を例外視して放棄物問題を先送りする無責任体制を日本はいつまで続けるのだろうか。

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