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「伊方原発」壊滅  津波と同じ評価方法では基準地震動は4.7倍に

 電力各社の申請では、基準地震動及び基準津波の評価が二重基準となっている。審査会合で島﨑委員は、「地震と津波の震源は同じ」と発言しているが、津波は武村式、地震は入倉式がもちいられている。武村式は日本の地震データをもとにしたもの。入倉式は世界中のデータをもとにしたもので、日本のデータは1つだけ。
断層が引き起こす地震モーメントは、入倉式に対し、武村式の値は4.7倍になる。
 伊方原発の基準地震動は570 ガル。4.7 倍なら2680 ガル。四電は、基準地震動の2倍までの裕度をもっているというが、まったく足りない。重要機器が壊滅する。
 規制委は、中央構造線断層帯など480キロ分と当初の9倍の距離に伸ばした資料提出をもとめ、基準地震動の再検討も必要となっているが、より安全側にたった評価方式への見直しが必要だ。
当の入倉氏自身が見直しを主張している。
【原子力規制委員会への要望書:基準地震動の評価でも、津波評価と同様に、 国内の地震の特性を反映している武村式で再評価を グリーンアクション1/16】
【伊方3号機は、津波と同じ評価方法によれば基準地震動をはるかに超える地震動に襲われ壊滅する
2013.11.26 美浜の会】

【検証・伊方原発 問い直される活断層~「570ガル見直すべき」安全委・耐震特別委前委員長2012/6】

 番組での入倉氏の発言・・・
「私は570ガルを見直すべきだと思っている」「570ガルで絶対と考えない方がよい」「謙虚に見直しを考える必要がある」「活断層の評価はむつかしい。不確かさが残る」「(東日本大震災から)何を学ぶかが非常に重要」

【原子力規制委員会への要望書  基準地震動の評価でも、津波評価と同様に、国内の地震の特性を反映している武村式で再評価を】

2014年1月16日

原子力規制委員会委員長 田中俊一 様
原子力規制委員会委員長代理 島﨑邦彦 様

 原子力規制委員会は、再稼働のための審査を急ピッチで進めていますが、審査終盤のPWR原発(川内1・2号、玄海3・4号、伊方3号、大飯3・4号、高浜3・4号、泊3号)では、基準地震動の評価はまだ確定していません。電力各社の申請では、基準地震動及び基準津波の評価が二重基準となっています。津波の波源評価については土木学会の指針(2002)に基づいて「武村式」が用いられています。しかし、同じ断層でも基準地震動を導く場合、電力会社は「入倉式」を用いています。申請が始まったBWR原発(柏崎刈羽6・7号、島根2号、女川2号)でも同様のことが問題となります。地震と津波は福島原発事故を引き起こした当の原因でありながら、未だに二重の評価が行われていることは、到底納得できません。

 審査会合で島﨑委員は、「地震と津波の震源は同じ」と繰り返し発言しています。震源は同じなのですから、その評価方法も同じであるべきです。また、昨年12月18日の大飯原発の基準地震動審査において、規制庁の小林勝安全規制管理官は、事実上武村式で基準地震動を評価し直すよう指摘しました[※1]。
断層が引き起こす地震モーメント(地震の規模)を断層面積から算出する場合、入倉式を使った値に対し、武村式を使った場合の値はどんな断層面積に対しても4.7倍になります。この両者の違いは、それぞれの基になった地震データの違いにあります。

 入倉式は、Wells and Coppersmith(1994)に集約された世界中の244の地震から抽出した、米国、中国等のアジア、南米、トルコ、イラン等の約40の地震データを基にしており、その中で日本国内地震は福井地震のみです。他方、武村式は、すべて日本国内の地震データに基づいています。武村式が大きな地震規模となるのは、日本の地震の特性を反映しているためです[※2]。このことから、国内の原発の地震動評価においては、津波評価の場合と同様に、武村式を採用すべきです。

 これまで原発の地震動評価は、入倉式に依拠してきました。入倉氏は2001年に自らの論文で、武村式の方が高い値になる理由として、「日本周辺の地域特性によるものか、今後の検討が必要とされる」と述べています。それから10年後に福島原発事故が起こり、それでも今なお電力会社は入倉式で地震動評価を実施しています。福島原発事故を繰り返してはならないと肝に銘じるならば、安全側にたって、武村式を用いて基準地震動評価をやり直すべきです。

要  望  事  項
1. 基準地震動の評価においても、津波評価と同様に、国内の地震の特性を反映している武村式で評価しなおしてください。

2014年1月16日

 提出24団体(再稼働審査中のPWR原発の地元 鹿児島・佐賀・愛媛・福井・北海道、審査が開始されたBWR原発の地元 島根・新潟・宮城、関西・首都圏の市民団体)

連絡先団体
グリーン・アクション
美浜の会
原子力規制を監視する市民の会

※1 2013年12月24日付、3団体の規制委員会への要望書「基準地震動でも武村式を適用して再評価してください」
参照:http://www.jca.apc.org/mihama/ooi/nsr_youbou20131224.pdf
※2 「武村式は日本の地震の特性で評価している」(美浜の会)2014.1.9
参照:http://www.jca.apc.org/mihama/ooi/position_jpneq_20140109.pdf


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【伊方3号機は、津波と同じ評価方法によれば基準地震動をはるかに超える地震動に襲われ壊滅する
2013.11.26 美浜の会】

 伊方3号機では、津波の波源として400 ㎞を超える長大な断層が想定されているが、その中でも敷地前面海域断層群は中心的な役割を果たしている。その断層群は同時に基準地震動評価に関しても主要な役割を担っている。ここでは、基準地震動評価が著しい過小評価になっていることを、評価方法に関して津波評価と比較して確認するため、両評価に共通な敷地前面海域断層群をとりあげる。もし、津波波源と同様の評価方法で地震動を評価すれば、その地震動は現行基準地震動の4.7 倍程度となり、伊方3号機は壊滅的な打撃を受けることが明らかになる。

1.伊方原発敷地前面海域の断層群は津波評価と地震動評価に共通

 伊方原発のすぐ傍を走る長さ42 ㎞の敷地前面海域の断層群は、津波の波源評価と基準地震動の地震動評価に共通している。津波評価では、非常に長い断層が評価の対象になってはいるが、規制委員会の島﨑委員も近くの前面海域の断層が決定的だと述べている(10 月23 日審査会合)。

 津波の波源評価では、敷地前面海域の断層群の長さをL=54 ㎞としている。他方、基準地震動については、耐震バックチェックの中では、L=42 ㎞としているが[1]、8月28 日の審査会合に出された地震動評価 [2]の基本震源モデルでは、上記津波評価と同じに、L=54 ㎞としている(右図)。しかし、基準地震動の評価までは変えていない。

 これらの点から、長さは別にして、敷地前面海域の断層群が津波と地震動の両方に共通する主要な断層だと見なしてこれに注目する。

2.津波と地震動で異なる二重基準

 津波の波源評価と地震動評価で共通の断層を対象としながら、その評価方法は異なり、基準地震動の評価は著しい過小評価になっている。両者とも断層の長さLまたは面積Sから地震の規模を与える地震モーメントMoを導いているが、用いる評価式が異なっているのである。

 津波の波源評価では、L=54 ㎞からすべり量を約6mと評価しているが、これはLからMoを求める武村式(1998)[3]を用いた結果であることが確認できる([4],32~33 頁。このとき、Mo=1.27×1020(Nm)となる)。他方、地震動に関しては、断層モデル(基本ケース)のS=546 ㎞2(L=42 ㎞、断層幅W=13 ㎞)より、別の入倉・三宅式 (2001)[5] を用いてMo=1.66×1019を導いているが、もし同様に武村式(ただし、SからMoを求める式)[3] を用いれば約4.7 倍のMo=7.84×1019となる。地震モーメントMoは、断層面積の値に依らずどんな面積の場合でも、武村式で評価すれば入倉・三宅式で評価した場合の約4.7倍になる(次図参照)。津波評価では安全側に武村式を用いながら、原発耐震設計の基本となる基準地震動の評価では著しい過小評価をしているのである。

 この点、8月21 日の審査会合で島﨑委員は「今までの評価指標がまるっきり、津波はこの手法、地震はこの手法って分かれてますけれども本来の地震は共通なもんですので、それやはり近づける方向が望ましいと思いますので、その点でご検討もよろしくお願いします」([6],38頁)と述べている。
安全側に立つなら当然、基準地震動も武村式で評価すべきだ。

3.武村式で評価すれば、地震動は現行基準地震動Ssの4.7倍程度になる

 伊方3号機の基準地震動Ss(Ss-1)は、基本的には応答スペクトル法に基づき、様々な検討用地震動を包絡するように策定されている(右図,[1],p.72)。その中には敷地前面海域断層による地震動(内陸地殻内地震)を含み、それが主要な役割をしていることが分かる。

 応答スペクトル法では、地震モーメントMoを入倉・三宅(2001)で求めており([1],p.42)、断層モデルでもそうしている([1],p.54)。なお、断層モデルで不確定性ケースでは、断層面積はS=1092 ㎞2、Mo=6.63×1019となるが、この場合も基準地震動の策定に反映されており、短周期では基本ケースと大きくは変わらない([1],p.63~64)。
 もしこれらを(不確定性の場合も含めて)武村式で評価すれば、Moは断層面積に依らず現行評価の約4.7 倍になる。断層面積が与えられたとき地震の加速度(ガル)はMoに比例するので、その地震動(加速度)も現行基準地震動の4.7 倍程度になると考えるべきである。
津波の波源評価に武村の式を用いるのは、土木学会の評価方法に依拠しているからで、どの原発にも共通している([7])。安全側に立つなら当然この評価方法を基準地震動評価にもとり入れるべきである。

4.地震動はクリフエッジ(崖っぷち)をはるかに超える

 これまで見たように、伊方3号機は現行基準地震動Ss(570 ガル)の4.7 倍程度の地震動(4.7Ss:2680 ガル)に襲われる恐れがある。その場合どうなるのかを、四国電力自身の総合評価([8],ストレステスト評価)に照らして見てみよう。

 この総合評価は、基準地震動に対してどれだけの余裕があるかを検討した結果であり、総括的に次の2つの表で示されている。表で一番右の欄にある裕度は、基準地震動Ss の何倍までの地震動に持ちこたえて最左欄にある起因事象が起こらないかを示している。裕度は最大でも2.14(2.14Ss)なので、4.7Ss 程度の地震動に襲われると、主給水喪失、外部電源喪失、炉心損傷、大破断LOCA(1次冷却水喪失)などが起こる。そればかりか、下側の表が示すように、SFP(使用済燃料貯蔵ピット)が損傷し、冷却機能が喪失する。使用済燃料のジルコニウム被覆管が酸化し大火災が起こって使用済燃料が溶融し、放射能が放出されることを意味している。

 総合評価報告書は地震に関するまとめにおいて、燃料溶融が始まるクリフエッジ(崖っぷち)が、炉内燃料については1.86Ss、使用済燃料については2Ss であると記述しているが、地震動はこれらクリフエッジをはるかに超えて破局に至ることは明らかである。

5.格納容器も破壊され、壊滅的な放射能被害が起こる

 旧来の規制基準では、「止める、冷やす、閉じ込める」という多重防護(深層防護)によって炉心溶融は決して起こらないことを大前提としてきた。ところが、福島事故を踏まえた新規制基準では、炉心溶融は起こり得ることを認め、第4の防壁として格納容器外には、ある程度以上の放射能は出ないこととしている。

 実際、伊方3号機について7月8日に規制委員会に提出された設置変更許可申請書[9]では、大LOCA時に外部電源は働かず、緊急炉心冷却装置(ECCS)も働かず、さらに格納容器内のスプレイ用水循環機能が働かないことを想定し、炉心溶融が起こって溶融炉心が格納容器内の下部キャビティ(空洞)に落下する事故を想定している(次図)。それでも、外部の冷却水をスプレイに導き、スプレイ水を下部キャビティに導いて溶融炉心を冷却する。同時にスプレイ水と空調機で格納容器内の気体を冷やして圧力の上昇を防ぐことで格納容器の破壊を防ぐというシナリオを立てている。こうして、ある程度以上の放射能放出は防止できるし、外部に出た汚染水は土嚢などによって海洋への流出を防ぐとしている。

 しかし、このシナリオも4.7Ss 地震動に襲われたときはまるで成り立たない。実際、前記総合評価の添付4.1.5[10]から抜粋すれば次表となる(評価値とは基準地震動によって機器にかかる力の評価値である)。

 やはり4.7Ss では、補助給水タンクや燃料取り替え用水タンクの裕度をはるかに超えるので、外部からのスプレイ用水供給機能がまったく働かず、格納容器内圧力が上昇し、耐圧約4気圧の格納容器が破壊されて溶融炉心の放射能が外部に放出される。使用済燃料の溶融とあいまって、福島原発事故をはるかに上回る大惨事が到来することになる。これを防ぐ方策は、伊方3号機を運転しないことしかあり得ない。

文献
[1] 080827 Ss の策定について(概要) http://www.nsr.go.jp/archive/nisa/shingikai/107/3/1/005/5-2-2.pdf
[2] 8.28 審査会合資料1-1 http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/data/0014_01.pdf
[3] 武村(1998) https://www.jstage.jst.go.jp/article/zisin1948/51/2/51_2_211/_pdf
[4] 8.21 審査会合資料1-4 http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/data/0011_04.pdf
[5] 入倉・三宅(2001) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography1889/110/6/110_6_849/_pdf
[6] 8.21 審査会合議事録 http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/data/20130821.pdf
[7] 土木学会,津波評価技術(2002) http://committees.jsce.or.jp/ceofnp/system/files/TA-MENU-J-01.pdf
[8] 総合評価(概要版)20111014 http://www.yonden.co.jp/press/re1111/data/pr004-sankou01.pdf
[9] 設置変更許可申請書添付十 http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/press/PWR/data/25/07/0708_03_08.pdf
[10] 総合評価・添付4.1.5 http://www.yonden.co.jp/press/re1111/1179564_1527.html

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