「安全の徹底」で実現させたオスプレイ不参加
7日の日米共同統合訓練では、天候不良を「理由」にオスプレイなど米軍が不参加となった。着氷や視界不良の懸念とのこと。 武田防衛副大臣は「自治体から要請のあった飛行経路などの条件を全て満たせる天候ではなかった」とのべている。
不参加の理由がいぶかる声を地元紙が報道している。ブログでも直後に感想をのせたが、本質は、県民の強い声をうけて「県民に安全性への懸念がある」と、県が毅然として姿勢でのぞんだことが、日米地位協定の根幹にふれることになり、それを米軍が嫌がったということだと思う。
【高知県にオスプレイ来なかったのは・・・悪天候? 機体の問題? 「訓練は日本政府の宣伝」 高知新聞2/8】
【オスプレイ飛ばず 高知の統合防災訓練2014/2】
県は、転換モードは海上で行う、飛行高度の確保、住宅密集地の飛行避ける、川沿いのルートで進入するなどなど・・・を設定させた。県は、防衛省との話し合いの状況は全て公開で実施させている。
極めつけは、合意が守られているか、県職員2名をオスプレイに同乗させて、米軍を監視下におく措置までとった。
名目が「防災訓練」だから、要求ができるわけである。
(「安全条件に満たせる条件にない」と言う点に、二兎を追ったために、失速しやすく、ホバリング性能が劣るという一兎も得なかったオスプレイの弱点をさらしたものだが・・ )
なにせ米軍は、日米地位協定にもとづくでは航空法特例法で、最低安全高度以下での飛行(第81条)、編隊飛行(84条)、物件の投下(89条)、落下傘降下(90条)は原則禁止で、国土交通大臣許可がなければならない。運航上必要ない低空飛行や急降下などの粗暴操縦は禁止(85条)などを規定した航空法第6章の適用除外となっている。
日本の空を何の規制もうけずに、どんな危険な飛行をしてもよい「権利」を手に入れている。
オスプレイの飛行に関する日米の安全確認の合意も、努力義務であり、必要性があると米軍が言えば、守らなくてよい。
沖縄では合意違犯が横行。配備直後より増加している。
【オスプレイ違反増 336件 10~11月、県調査 琉球新報1/24】
その在日米軍が、高知県という地方の小さな1自治体から、監視されるわけである。こんなことが全国に広がったら、その影響は大きい。
当然、沖縄でも、「防災」名目の訓練ではないが、同様の声があがるだろう。
高知県は、米軍の低空飛行についても、防災ヘリ、ドクターヘリの運航が危険にさらされると中止、少なくとも訓練ルートと時間の事前の公表をもとめている。
この要望により、しばらく低空飛行がやまった。
安保条約策定時のアメリカ側責任者・ダレス氏は「望むだけの軍隊を望む場所に臨むだけ駐留させる権利」を獲得することが「根本的な問題」(ダレス使節団来日、最初のスタップ会議 1951/1/26)と発言している。
その内容が行政協定(今日の「地位協定」)なのである。
外交官だった寺崎太郎氏は、「行政協定のための安保条約、安保条約のための平和条約でしかなかったことは今日までにあきらかになっている」「つまり本能寺(本当の目的)は行政協定にこそあったのだ」(寺崎太郎外交自伝)と述べている。
県民の声にささえられた「安全の確保」という行政の当たり前の姿勢が、安保の根幹、日米地位協定に迫ったのである。
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