家計を直撃する物価上昇、実質賃金低下 ニッセイ基礎研、
ニッセイ基礎研のレポート。
消費者物価(2013.11)は、前年比1.2%となっているが
・家計が実際に直面している消費者物価上昇(「持家の帰属家賃を除く総合」)は約2%。
・名目賃金が伸び悩む中で物価上昇が加速し、実質賃金が急速に低下。-1%台半ば。
→ 家計の景況感は2013年9月、12月調査と2期連続で悪化
・生活必需品の物価上昇率が相対的に高く、基礎的支出が前年比2.4%、年間9回以上購入する品目は3%台。
・消費税増税後は、「持家の帰属家賃を除く総合」4.3%となり、実質賃金の低下幅はさらに拡大することが見込まれる。
結論として 「2014年度入り後には駆け込み需要の反動と物価上昇に伴う実質所得低下の影響が重なることで、個人消費は大きく落ち込む恐れがある。」と指摘する。つまり消費税増税で、経済も財政もダメになる。
【サマリー】 1. 2013 年11 月の消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比1.2%となったが、家計が直面している物価上昇率はそれよりも高い。2. 市場の注目度が高いコアCPI には、家計が購入している生鮮食品が除かれている一方、家計が実際には支出していない持家の帰属家賃が含まれている。
3. 家計が実際に購入している財・サービスを対象とした物価動向を見る上では、「持家の帰属家賃を除く総合」を見ることが適切だ。同指数はコアCPI よりも上昇ペースが速く、2013 年11 月には前年比1.9%まで上昇幅が拡大した。家計はすでにほぼ2%の物価上昇に直面していると言える。
4. 名目賃金が伸び悩む中で物価上昇ペースが加速しているため、実質賃金が大きく低下しており、このことが家計の景況感の悪化をもたらしている。また、生活必需品の物価上昇率が相対的に高いことも家計の負担感を高めている。
5. コアCPI に占める消費税の課税品目割合は71%だが、持家の帰属家賃を除く総合では85%となる。このため、2014 年4 月からの消費税率引き上げによる押し上げ幅はコアCPI の2.0%に対して、持家の帰属家賃を除く総合では2.4%となる。家計が直面する物価上昇率は2014 年4 月以降には4%台となることが見込まれる。
【本文より】
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夏場以降は賃金が伸びない中で物価上昇率が高まったため、実質賃金上昇率は急速に低下し、足もとでは前年比で▲1%台半ばのマイナスとなっている。賃金に比べて足もとの物価上昇ペースは速すぎると言えるだろう。
物価上昇に伴う実質購買力の低下は家計の景況感に悪影響を及ぼし始めている。日銀の「生活意識に関するアンケート調査」によれば、2013年前半には急速に改善した家計の景況感は2013年9月、12月調査と2期連続で悪化した。好調な企業業績を背景に改善を続ける企業の景況感とは対照的な動きとなっている。また、生活必需品の物価上昇率が相対的に高いことも物価上昇による家計の負担感を高めることにつながっている可能性がある。
消費者物価指数では、必需品か否かに着目して分類した基礎的・選択的支出項目別指数が作成されている2が、直近(2013年11月)の上昇率は基礎的支出が前年比2.4%と選択的支出の同1.1%を大きく上回っている。さらに、年間購入頻度階級別指数の動きを見ると、購入頻度が年間9回未満の品目は前年比で1%前後の上昇だが、年間9回以上購入する品目は8月以降、4ヵ月連続で3%台の高い伸びとなっている。生活必需品(基礎的支出かつ年間購入頻度9回以上)の例としては、食料、電気代、ガソリンなどが挙げられる。
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