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大震災の園児への影響~精神的な医療的なケア必要25% 

 暴力や引きこもりなどの問題行動があり、精神的問題に関する医療的なケアが必要な子が4人に1人に達する--厚生労働省研究班(研究代表者=呉繁夫・東北大教授)の調査。
 調べると東北大医学部のHPにシンポジウムの概略がアップされていた。
 阪神大震災で被災者のケアにあたった精神科医の中井久夫氏は、ケアの質を担保するために「ケアする立場の人にあたたかい食事を」と強調しているが、働く条件の悪さが保育士不足を生んでいるし、教員の多忙化も過労死ラインに達している。抜本的な体制充実が急務である。

【<東日本大震災>引きこもりや暴力…被災園児25%問題行動 毎日1/27】
【震災時における小児保健医療に関する調査結果などについて公開シンポジウムを開催 東北大学医学部1/27】

【<東日本大震災>引きこもりや暴力…被災園児25%問題行動 毎日1/27】

 岩手、宮城、福島3県で東日本大震災当時に保育園児だった子どもへの調査で、暴力や引きこもりなどの問題行動があり、精神的問題に関する医療的なケアが必要な子が4人に1人に達することが、厚生労働省研究班(研究代表者=呉繁夫・東北大教授)の調査で分かった。友人の死や親子の分離、被災地での生活体験が原因と考えられる。サポートが行き届いていない子も多いとみられ、専門家は早期の対応を求めている。


 調査には、国立成育医療研究センター、福島県立医大、宮城県子ども総合センター、岩手医大などが参加し、藤原武男・国立成育医療研究センター研究所部長が26日、仙台市で開かれたシンポジウムで発表した。

 対象は、大震災が起きた2011年3月11日に、3県内の保育園の3~5歳児クラスに在籍していた子178人と保護者。アンケートと面接を、震災後1年半以降となる12年9月~昨年6月にかけて実施した。保育園の所在地は▽岩手=宮古市、陸前高田市、大槌町▽宮城=気仙沼市▽福島=福島市、いわき市、南相馬市、富岡町。比較する非被災地域として三重県で同様の調査を実施した。

 アンケートは、子どもの精神的問題によって起きる問題行動を数値化して比較できる「子どもの行動チェックリスト」(CBCL)を使った。CBCLは、世界的に信頼性が高く、問題行動を抱える子を評価するために国内の行政や学校、医療機関でも利用される。

 面接は、児童精神科を受け持つ医師や臨床心理士が、ケアをしながら心理状態の調査を実施。CBCLで問題行動を抱える可能性がある子について、医師のアドバイスに基づくケアの必要性を判断した。

 それらを集計した結果、被災3県で25・9%の子が医療的ケアが必要な状況と分かった。原因として、▽友人を亡くした▽家の部分崩壊▽津波の目撃▽親子分離--などが挙げられた。三重では同様の状態の子は全体の8・5%にとどまり、被災地はその約3倍に達した。被災地の子たちには、めまいや吐き気、頭痛、ののしり、押し黙りなどの症状があり、このままケアを受けずにいると、学習や発育に障害が出て、将来の進学や就職などにも影響する可能性があるという。

 過去の災害と子どもの精神的問題に関する調査は、比較的年齢が高く、幼児期の被災影響に関する調査は珍しい。調査に参加した奥山眞紀子・国立成育医療研究センターこころの診療部長は「非常に多くの子どもが精神的にケアを必要としている実態が、初めて客観的データで明らかになった。震災直後はケアが必要な子どもが増えることは知られるが、調査は震災から1年半以上経過しており、気に掛かる。専門医を核に地域で子どもをサポートする仕組み作りが必要だ」と話す。

 チームは今後約10年、同じ子への調査を続け、毎年状態を把握していく計画だ。【渡辺諒、下桐実雅子】

 ◇子どもの行動チェックリスト(CBCL)

 現在または過去6カ月以内の子どもの状態について、身近にいる保護者らがアンケートに答える。「よく泣く」「大人にまとわりつく、頼りにし過ぎている」「爪をかむ」「内気、臆病」「トイレ以外で大便をする」など、113項目について▽当てはまらない(0点)▽時々当てはまる(1点)▽よく当てはまる(2点)のいずれかを選び、点数が高いほど問題行動があると判断され、ケアが必要とみなされる。このリストを使った研究報告は50カ国、4500以上になる。

 ◇調査対象の子どもの主な被災体験

 ※体験内容▽割合(%)の順。藤原武男・国立成育医療研究センター部長の資料を基に作成

 自宅が流出・全壊       25.4
 自宅が部分破壊        25.4
 避難所生活を経験       30.7
 仮設住宅に入所        20.0
 両親と一時離ればなれになった 38.9
 家族や近い親類が死亡      9.8
 友人や遠い親類が死亡     18.3
 津波を目撃          43.9
 遺体を目撃           2.8
 火災を目撃          20.7


【震災時における小児保健医療に関する調査結果などについて公開シンポジウムを開催 東北大学医学部1/27】

厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)東日本大震災被災地の小児保健に関する調査研究班(代表:呉繁夫教授 小児病態学分野)は、1月26日に仙台国際センターで、大震災から子どもたちをどう守れるかと題して、震災時における小児保健医療に関する調査結果などについて公開シンポジウムを開催しました。
 本シンポジウムでは、研究班の研究成果として以下のような発表がありました。

プログラムと概略:
1.開会のあいさつ 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 母子保健課課長 桑島 昭文 先生

2.被災3県の小児科医療機関の被災状況 東北大学病院 小児科 田中総一郎 先生

 岩手・宮城・福島3県の小児科医療機関1080件に対してアンケート調査を行い、468件(43.3%)にご協力をいただいた。建物の被害は津波被害によるものが多かった。被災後1週間までは外来診療不可と制限ありが54.7%であった。電気・水道・電話などのライフラインは6~7割で被害を受け、5~10日間続いた。内陸部と沿岸部では、ライフラインの回復から診療の復旧までの期間が2倍であった。損壊した医療機器、医療インフラの再整備、マンパワーの確保が支援のポイントと考えられた。

3.震災時に小児科医が果たすべき役割 大阪大学 大学院人間科学研究科 国際協力学講座教授 中村 安秀 先生

 東日本大震災は、1)世界でもまれな高齢化社会を直撃した自然災害、2)広範囲にわたる被害地域、3)原発事故による身体的影響と長期疎開による社会的影響が特徴的であった。支援活動の中で日本の強みと考えられたことは、1)震災直後から隣接地域や全国から支援があったこと、2)世界の援助関係者が驚いた地元の現場力、被災した住民の避難所における自発的な活動がみられたこと、一方で、3)水・食料・衛生環境は国際標準を維持できていなかったことが指摘された。

4.子どもの発育状況に関する研究 東北大学 大学院医学系研究科環境遺伝医学総合研究センター 分子疫学分野教授 栗山 進一 先生

 全国自治体に協力を依頼し、乳幼児健診での身長や体重などのデータを収集し、震災前と震災後で子どもの発育に変化が生じたかを研究する。平成24年度は、岩手県・宮城県・福島県で11,602人(68市町村)のデータを集めた。また、全国の保育所から震災の影響を受けない平成16年生まれの子ども53,747人、震災の影響を受ける平成18年生まれの子ども69,004人のデータを得た。被災の有無、子どもの発育への影響などを考慮しながら、解析を進めている。

5.被災地における子どものメンタルヘルスについて:問題行動を中心に独立行政法人 国立成育医療研究センター 成育社会医学研究部部長 藤原 武男 先生

被災3県の子ども178人と、対照として三重県の子ども82人への面接を通して、子ども達の問題行動について解析を行った。被災3県の子どもの28%が深刻な抑うつや引きこもりなど「内向的問題」を抱えていた。攻撃的な行動をとるなどの「外向的問題」は21%、社会適応性など「総合的問題」は26%であった。三重県の子どもに比べ、内向的問題は4.5倍、外向的問題は1.9倍、総合的問題は3倍多かった。表面的にわかりにくい内向的な問題が多いために、子どもたちへのきめ細かな支援が必要である。

6.福島県における子どものメンタルヘルスについて:ナラティブを中心に 福島県立医科大学 神経精神医学講座講師 増子 博文 先生

 原発事故による避難の対象となった全住民(21万人)を対象に県民健康管理を行っている。未就学の子ども(11,717人)、小学生(11,791人)、中学生(6,077人)に対して、質問紙による調査を行い、支援が必要と判断された対象について、専門家による支援を行っている。
原発事故の影響で避難生活を続ける小学生は、震災から1年半を経て爪かみなどの問題行動を起こすようになった。子どもを支える両親や教師が、避難の長期化や復興の遅れで疲弊し、震災から時間が経って悪化するケースがある。

7.閉会のあいさつ 東北大学病院 小児科 呉 繁夫 先生

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