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地方消費税で自治体財政は潤うか

 地方議会に、来年4月からの消費税増税に対応した条例改定案、契約議案が提出されはじめている。その対応の参考として調べている中で、気になることなどのメモ。
 自治体の中には、消費税を税務署に収めなくてはならない業務がある。税を納めなくてよい業務の中に、消費税の課税対象となる業務とならない業務がある。さらに消費税増税による自治体のコスト増分の対応と地方消費税による増収の関係がある。

1. 納税義務の区分

○自治体が、消費税納税者となるのは、上下水道、病院など公営企業会計分(特別会計)で、自治体が消費税を納入する必要がある。増税分を反映しないと結果として、自治体の持ち出しになる。

○複雑なのが、一般会計分。
一般会計分については、自治体は消費税を税務署に納めていません。一般会計に係る業務として行う事業は、「課税標準に対する消費税額と控除することができる消費税額とを同額とみなす」規定により「結果的に納税額が発生しない仕組み」(消費税法60条6項)になっている。

 では、一般会計分は、課税が発生しないか、と言えばそうではない。

2 一般会計内と課税業務と非課税業務

 証明書は発行などの行政手数料は課税対象とならない。
一方、文化会館やスポーツ施設の使用料など、民間と競合する取引は課税対象となっている。
そのため、民間とのイコールフッティングの考えに立ち、消費税率の改定とともに一般的に条例改定される。

 自治体は、消費税を税務署におさめてないが、消費税増税を反映した料金改定が行われていると、いうことである。
  
■増税の影響が手数料、使用料にどう影響しているか

実際の影響を判断する必要がある。
・手数料… 業務そのものは非課税だか、印刷費、電気代などのコストに増税分の影響がある。

・使用料… 自治体が消費税を税務署に払え必要がないので、増税を反映した値上げ分は、「まるまる自治体の収入となるのではないか」の声が出そうである。
が、一般に、施設運営のかかわる費用のうち「使用料」が占める割合は極めて低い場合が多いので、増税によって、維持管理コストが増え、持ち出しがさらに大きくなる。

→ ただし、“消費税の目的は「社会保障の充実」、「地方財政の基盤強化」”という説明するので、機械的な使用料引き上げは、その説明と逆行する事態となるのではないか。
 具体的にはそうした指摘とともに、少なくとも子どもや障害者分に関わる使用料は据え置くなど、住民要求を反映し政策的判断を求めていくことになるだろう。

3 消費税増税による自治体への影響
 消費税増税が地方の増収をもたらすのか、考察段階なので、今後、調査していきたい。

■ コスト増分の手当はどうなっているか。

一般財源への影響額については、普通交付税算定における基準財政需要額で消費税加算分が単位費用として考慮される、となっている。
が、地財計画そのものが増えないと、基準財政需要額の全体が圧縮され(単位費用そのものの圧縮)、実際は考慮されなくなる。
現実には、地財計画は、「前年なみ」という状況が続いており、社会保障の自然増分や権限委譲にともなう業務増にみあうだけの財源も確保されておらず、消費税コストも実際は持ち出しとなっているのではないか。

■地方消費税で税収増

実際は、調整されて地方消費税交付金となっているが、この増収分は、交付団体においては、基準財政収入額(増額分の75%分)に参入され、地方交付税と相殺されるため留保分の25%が真水の増収分となる。
一方、委託料など物件費、工事請負額など投資的経費など課税対象となる事業のコスト増分が、実質的に基準財政需要額に反映されていないとなると、いくつかの自治体の報告をみれば、コスト増で消えるか、持ち出しが増えることになるようになるのではないか。

*香川県知事の答弁より 2013年6月県議会
「単純に試算すれば、税率が1.7パーセントになれば、70億円余りの増収、また、税率が2.2パーセントになれば、120億円余りの増収となることが見込まれます」
「平成25年度の一般会計当初予算において、粗くではありますが、委託料や工事請負費などの課税対象経費であると考えられるものの合計金額を算出しますと、概ね633億円であることから、この金額に掛け合わせて単純な試算を行うと、8パーセントに引き上げられた場合は約18億円、10パーセントに引き上げられた場合は約30億円の経費負担が増加すると見込まれます。」

→ 実際の増収=留保財源分では、消費税8%段階で17.5億円、10%段階で30億円であり、コスト増分18億円、30億円と、測ったように一緒である。

■アウトソーシングによるコスト増

一般会計の人件費には、消費税はかからない。が、アウトソーシングによる委託料には消費税のコストが発生し、上記のように、実質、その分は自治体の負担となる。
人件費が多数を占める委託業務では、その価格比較では、1.08倍、1.1倍などして考えることが必要がある。

 ~ 消費税増税で、住民のくらしや地域経済が困窮すれば、さらに行政の手当がもとめられることになる。

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