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鳥取県の児童手当差し押さえは違法 判決が確定

銀行口座に振り込まれたばかりの児童手当を、県が即座に差し押さえ、滞納していた県税に充当したのは違法という判決が確定した。
今年2013年3月29日に鳥取地裁で、11月27日に広島高裁で、それぞれ原告勝訴の判決があり、原告、被告とも上告しないことで確定判決となった。
原告弁護団は上告しない理由を5点あげている。
 (1)高裁判決が、県の差し押さえを「児童手当法15条の趣旨に反するものとして違法」と明確に判断したこと。
 (2)同様の事例は今後、行政が不法行為責任を負う(故意、過失の権利侵害を問われ損害賠償請求の対象となる)こと。
 (3)児童手当だとは知らなかったとの鳥取県の不合理な主張が地裁・高裁判決において否定されたこと。
 (4)県は、高裁判決を受けて徴税業務を改めると約束した(マニュアル改訂等)こと。
 (5)平井伸治知事が、12月10日の県議会において謝罪したこと。

この確定判決は、各自治体の徴税業務に改善をせまることになる。
【鳥取県の児童手当差し押さえは違法--県と原告が上告せず判決が確定 佐々木憲昭12/13】

 現在、多くの自治体では、公的な保護・援護等として支給されたもの給付は差押禁止財産だが、これらが預貯金の口座に入った時点で、“受給者の預金債権に転化し、受給者の一般財産になるから、この預金債権は原則として差押等禁止債権としての属性を承継しない”とした平成10年2月10日の最高裁判決をもとに、差押えが可能との立場をとっている。

 3月の鳥取地裁は、それに「待った」をかけた判決であった。

 鳥取地裁判決の意義について、弁護士の楠晋一さんは以下のように説明している大阪社保協の学習会 2013年4月27日)。

①預金に振り込まれると差押禁止性は引き継がれないという最高裁の考え方と同じ立場に立ちながら、実質的に見て差押禁止債権から回収しており、行政もそのことをしりつつあえて差押を行った場合は、差押えの権限濫用として無効にするとしており、一定の歯止めをかける画期的な判決。
② 最高裁の判決を引用しておらず、最高裁平成10年2月10日判決が単なる事例判決(普遍的な規範を提供する 判決ではなく、その事例についてのみ当てはまるような判決)であることを再確認した判決。
③ 差押え前に、他により差押えに適した財産がないか、差し押さえることが家族の生活にどのような影響を与えるかを検討した上で差し押さえないと国家賠償法上違法となると判断した点でも画期的。

 なお、高裁判決では・・1審では「正義に反する」と認められた損害賠償は、2審では「故意・過失はなく不法行為ではない。信義則違反はない」と、退けられているが、違法が確定した以上、今後は、「故意・過失はなく」ということにはならないだろう。それが原告弁護団の理由の(2)にあたる。


【鳥取県の児童手当差し押さえは違法--県と原告が上告せず判決が確定 佐々木憲昭12/13】

 たいへん嬉しいニュースです。
 銀行口座に振り込まれたばかりの児童手当を、県が即座に差し押さえ、滞納していた県税に充当したのは違法という判決が確定しました。
 これは、鳥取市の自営業の男性(41歳)が県に差押の取り消しなどを求めていた訴訟です。鳥取県が上告を断念し、原告側も上告しないことを決めたため、判決が確定したものです。

 私は、鳥取県の児童手当差し押さえ事件を国会の質問で、何度も取り上げてきました。

 最初に取り上げたのは2009年4月17日の財務金融委員会でした。
 http://www.sasaki-kensho.jp/kokkai/090417-000000.html

 鳥取県で不動産を営むAさんは、病弱な妻と認知症の父親、それに子ども5人の8人家族です。事業が営業難になったAさんは、夜間警備の仕事をして収入は月に15万円に満たない状態で、家族の暮らしをまかなっていました。

 2008年、預金残高73円しかなかった銀行口座に、児童手当13万円が振り込まれたわずか9分後に、県税事務所が無慈悲に13万73円全額を差し押さえたのです。

 私は、児童手当法が「児童手当の支給を受ける権利は、差し押さえることができない」と定めていることを指摘し、「差押え禁止財産を法に反して、いきなり差し押さえるという重大な問題だ」と迫りました。
 Aさんは、この児童手当で、滞納している給食費や教材費に充てようとしていたのです。私は、児童手当の差押えは「児童の健全育成などに資する」とした児童手当法の趣旨に反すると強調しました。

 与謝野大臣は「児童手当は、子どもの養育に使うという目的に達せられるべきものだ」と答弁し、そのうえで「権利の差し押さえ」は、受給者が「(差し押さえ)によって、児童手当を使用できなくすることを禁止するように解釈するのが正しい」と明言しました。
 これは、たいへん重要な最初の答弁でした。

 もともと児童手当は、児童手当法により、児童を養育している者に支給され、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的としています。第15条で児童手当の受給権は、差し押さえることができないとしています。

 その後も、児童手当などの差し押さえ事案について、財金委員会や予算委員会などで、政府を質してきました。

 http://www.sasaki-kensho.jp/hunsenki/090425-172617.html
 http://www.sasaki-kensho.jp/kokkai/100301-000000.html
 http://www.sasaki-kensho.jp/kokkai/111026-000000.html
 http://www.sasaki-kensho.jp/kokkai/111130-000001.html
 http://www.sasaki-kensho.jp/hunsenki/130415-141728.html

 今年2013年3月29日に鳥取地裁で、11月27日に広島高裁で、それぞれ原告勝訴の判決がありました。

 広島高裁判決の後、原告弁護団は上告しないことを決めました。
 その理由は、以下の5点です。
 (1)高裁判決が、県の差し押さえを「児童手当法15条の趣旨に反するものとして違法」と明確に判断したこと。
 (2)同様の事例は今後、行政が不法行為責任を負う(故意、過失の権利侵害を問われ損害賠償請求の対象となる)こと。
 (3)児童手当だとは知らなかったとの鳥取県の不合理な主張が地裁・高裁判決において否定されたこと。
 (4)県は、高裁判決を受けて徴税業務を改めると約束した(マニュアル改訂等)こと。
 (5)平井伸治知事が、12月10日の県議会において謝罪したこと。

 そのうえで、県に対して年金などの差し押さえ禁止債権などについても、今後同様の事例が発生しないよう徴税行政を監視していくとしています。

 私は、これまでの質問のなかで、千葉県長生村では老齢年金が差し押さえられた滞納者が餓死し、大阪市では特別児童扶養手当まで差し押さえできるとして一括納付を求めているなどを指摘しました。
 差し押さえ禁止債権を狙い撃ちする滞納処分が各地で行われており、「法令上の規定が無効化してしまう。自治体の徴収部門に徹底すべきだ」と求めてきました。

 今年3月の予算委員会では、新藤総務大臣は「問題意識を共有している。全国の税務担当課長会議などで、滞納者の生活を窮迫させるときは執行を停止できると発言している」と答えています。

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