消費税増税による使用料・手数料の値上げについて・考
手数料、使用料の値上げの条例案(一般会計分)については、やはり道理はない。
端的に言えば
①自治体(一般会計分)は、納税義務者ではない。増税分を転嫁する必要はない。
②委託料、工事契約費など最終消費者としての負担増はあるが、一方、地方消費税が現在の1%から、1.2%(8%時)、1.7%(10%時)と増額される。「消費税は地方の安定的な財源」と説明されてきた。その分で手当できるはずである。
③使用料は、手数料と違い課税対象とされているが、①②を踏まえれば、本体価格を下げて、実質変更なし、という対応をすべきである。
④指定管理制度で利用料金制をとっている場合・・・業者は納税義務があるが、それは行政が指定管理をしたためである。②を踏まえれば、行政があげない対応を取るのが筋である。
【消費税増税に関する措置について 質疑はこんな感じ?】
来年4月からの消費税増税実施にともない使用料金などの改定を提案されています。市民のきびしい実態をみると値上げは極力避けるべきだと考えますが、いくつか確認も含めてお聞きします。
また、地方自治体が、消費税納税者となるのは、上下水道、病院など公営企業会計分で、自治体が消費税を納入する必要があります。増税分を反映しないと自治体の持ち出しになります。
一般会計分は、 証明書は発行などの行政手数料は課税対象となりません。一方、会館やスポーツ施設の使用料など民間と競合する取引は課税対象となっています。しかし、一般会計に係る業務として行う事業は、消費税法60条6項で「課税標準に対する消費税額と控除することができる消費税額とを同額とみなす」と規定され、結果的に納税額が発生しない仕組みとなっています。
◆まず、この理解で問題ないかお聞きします。
一方、委託料、工事請負額など課税対象となる事業では、消費税増税分のコスト増が発生します。一般財源への影響額については、普通交付税算定における基準財政需要額で消費税加算分が単位費用として考慮されるとも聞きますし、なにより地方消費税の税収増がみこまれています。
◆消費税増税によって、一般会計にかかわる事業のコスト増分は、概ねいくらになるのか、コスト増にたいする財政措置はどのようなものか。また地方消費税の増収分はいくらと判断しているのか、お聞きします。
自治体は、消費税の納税義務者でもなく、増税分を手数料はもとより使用料についても反映させる必要はありません。仮に、手数料、使用料にかかわる制作費、維持管理費などのコスト増分もありますが、財源的にも、「地方財源に資する」と「説明」されてきた地方消費税の税収増分があり、値上げの必要ないのではないか。
たしかに、使用料は課税対象となっていますが、本体価格を下げて、形式的に課税分を反映させた処理をし、実質値上げしないなどやり方は存在します。
◆よって、使用料などの一律的で機械的な改定には、根拠がないのではないか。値上げの根拠について、まったく説明がたりないと思うがお聞きします。
そもそも「社会保障のため」と説明されている消費税増税であれば、すくなくとも子ども、障害者、高齢者にかかわる使用料の引き上げをしないことは、自治体で真剣な検討がされるべき課題です。
◆どのような論議、政策判断がされたのか。
指定管理制度についても基本は委託料と同じですが、利用料金制をとっている場合は、利益分が指定管理料から差引かれでいますし、使用料に増税分を反映させないと業者負担となる可能性があります。が、それが住民負担に転嫁されるのは、行政が指定管理を選択したためです。
◆もともと使用料には実質非課税となっていますので、行政があげない対応を取るのが筋ではないでしょうか。
【補足】地方消費税により収入増は、みかけの数字と、基準財政収入額に吸収される75%分を除いた「真水」の増収分がある。「真水」部分の増収は増税によるコスト増で相殺され、効果はとほんどないのではないか。
これは「地方財政に資する」と推進の根拠に関わる問題で、今後も研究をしていきたい。
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