「負担軽減」約束の実態~ 普天間運用停止、地位協定改定 米側が拒否
米国防総省のウォレン報道部長は「5年内の普天間飛行場の運用停止」について「できない」、米国務省のハーフ副報道官は、日米地位協定の改定にも「今後交渉を始めることも考えていない」と相次いで発言している。
政府が「負担軽減」を口約束することで、知事に「埋立て許可」を出させる・・・という筋書き。知事の要望には、上記2つの他「オスプレイの12機程度を県外の拠点に配備」の3点。アメリカがばっさり切り捨てた。
政府は、沖縄に「負担軽減」の「話」をするなら、米国と決着つけてきたらどうか。
地元紙は、この要求自体が、県民の普天間基地の閉鎖・撤去と県内移設断念の声、「県外移設」の知事の公約に反すると批判し、埋立て不許可の決断をもとめている
知事を屈服されても、何も解決しないどころか、政治転換をもとめる声は高まざるを得ない。まずは、市長選が重要である。
【地位協定改定、米が拒否 「交渉開始考えてない」 琉球新報12/19】
【普天間停止要求 口先の空約束は通じない 琉球新報12/21】
【埋め立て知事判断 後世に誇れる歴史的英断を 琉球新報12/24】
【社説[要請に正当性あるか]可否前に説明すべきだ 沖縄タイムス12/24】
【埋め立て知事判断 後世に誇れる歴史的英断を 琉球新報12/24】仲井真弘多知事は、選挙公約、県の基地・環境政策との整合性、法律要件に適合するか否か、戦後68年間も米軍基地の過重負担に耐えてきた県民の苦しみなどを最大限考慮し、歴史の批判に耐え得る「不承認」の英断を下してほしい。
政府が知事に求めた普天間飛行場の名護市辺野古移設計画に伴う埋め立て申請への判断のことだ。
県が先に政府に行った沖縄振興と基地負担軽減に関する要請のうち、特に「普天間飛行場の5年以内の運用停止、早期返還」「日米地位協定の条項の追加等、改定」「オスプレイの12機程度を県外の拠点に配備」の3点は、従来の県の政策や県民意思と相いれず、要請の民主的正統性に疑義がある。知事は2期目の選挙公約で普天間飛行場について「県外移設」を約束した。「県外移設」を今回の要請書に明記しなかった理由、真意は何か、公約を変更するのか、県民に対し説明を尽くしていない。
県と県内市町村はかねて、国にオスプレイ配備撤回と地位協定の抜本改定を求めてきた。もし知事の独断で常駐配備容認、協定の部分改定に主張を変更するなら市町村長や議会、県民への背信となる。
今年1月にオスプレイ配備に反対する県民大会実行委員会、県議会、県下41市町村の首長、議会の連名で首相に提出した建白書も、オスプレイ全機の配備撤回、普天間基地の閉鎖・撤去と県内移設断念を求めた。これが最大公約数の県民意思だ。「県民の強い思い」をねじ曲げて、政府に誤ったメッセージを送ってはならない。在沖海兵隊の国外分散推進に伴う辺野古移設合意の事実上の破綻、森本敏前防衛相も認めた県内移設の軍事合理性の欠如、辺野古アセスのずさんさなどの観点からも「不承認」こそ合理的だ。
防衛省は辺野古の軍港機能拡充を県民に隠し、米国防総省に対してはジュゴン関連の膨大な環境調査情報を削除したアセス資料を送付していた。県民を欺き、政権上層部、国会への説明を怠った疑いが拭えない。
知事は防衛省の強権的かつ詐欺的手法に加担せず、後世に誇れる決断を下してほしい。国の申請が公有水面埋め立て法の要件を満たしているか厳格に判断すべきだ。曖昧な点があれば、来年1月の名護市長選への直接的影響を避ける観点から、選挙終了まで知事判断を留保するのも選択肢だ。
【社説[要請に正当性あるか]可否前に説明すべきだ 沖縄タイムス12/24】全閣僚と県知事で構成する「沖縄政策協議会」という公式の場で、仲井真弘多知事が安倍晋三首相に直接、要請書を手渡してから1週間がたつのに、県サイドから県民に対しいまだに何の説明もない。
要請書から選挙公約の肝だった米軍普天間飛行場の「県外移設」の文言が消え、その代わり普天間の「5年以内運用停止」が盛り込まれた。知事の真意は何なのか。要請書の「予算確保」の項目には、那覇空港滑走路増設がある。「次のステップへ(沖縄のさらなる発展に向けて)」の項目では、鉄軌道の導入決定・早期着工、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」の候補地域として検討するよう求めている。いわゆる「カジノ法案」である。自民党などが衆院に提出し、来年の通常国会での成立を目指している。
要請内容には既視感がある。仲井真知事が初当選したのは2006年12月。当時は条件付きで辺野古移設を容認するスタンスだった。
事務方トップの防衛次官を長く務め、普天間問題に当初から深く関わった守屋武昌氏の著書によると、07年早々、仲井真知事が受け入れの条件として、那覇空港の滑走路新設、モノレールの北部地域までの延伸、高規格道路、カジノを挙げたことが記述されている。県経済界の重鎮が仲井真知事の使者として、当時の県選出国会議員を介して伝えてきたことを明かしている。今回の要請書とほぼ符合する内容である。■ ■
政府、自民党本部は11月、「県外移設」を選挙公約に掲げた県関係の党国会議員5人と、党県連を力ずくで辺野古移設容認に転換させた。圧力に屈した県連はその後、政府と党本部に五つの基地負担軽減策を要請している。
「普天間の5年以内の運用停止状態」「24機のオスプレイの半数を県外に分散配備」「牧港補給地区(キャンプ・キンザー)、那覇港湾施設(那覇軍港)の早期返還」「日米地位協定の改定(環境条項追加)」などが主な内容である。県連の要請は、知事の要請書とほぼ重なっている。
辺野古移設の姿勢を鮮明にし活発に活動している県経済界の中心人物は、辺野古移設をめぐって経済界の「意思統一」を図ろうとしたが、異論が相次ぎまとめることができなかった。知事の要請書は経済振興で経済界の中心人物ら、基地負担の軽減で自民党県連の要望を取り入れて作成したとみていい内容である。■ ■
国が県に提出した辺野古沿岸部の埋め立て申請は事務審査がほぼ終了した。川上好久副知事、當銘健一郎土木建築部長らが23日、都内の病院に検査入院している知事に報告した。事務段階では環境保全に関し適否を示しておらず、土建部は詰めの作業を急ぐ。
要請書は県庁内のごく限られた者しか関与させずに作成している。公約との整合性は保たれているのか。手続きに正当性はあるのか。事前に官邸とすり合わせており、疑念が膨らむ。知事は可否判断の前に、県民に対する説明責任を果たさなければならない。
【普天間停止要求 口先の空約束は通じない 琉球新報12/21】あまりにあけすけな口ぶりである。米国防総省のウォレン報道部長は仲井真弘多知事が安倍晋三首相に要請した5年内の普天間飛行場の運用停止について「できない」とにべもなかった。
政府は「辺野古に代替基地が完成していれば」との条件付きで、5年内運用停止を請け合うつもりだったかもしれない。空約束だが、当座のところ沖縄の反発をかわせると見込んだのではないか。首相が「最大限努力する」と言っていたから、少なくとも「前向き」な姿勢くらいは示すつもりだったのだろう。仮にできなくても「代替基地が完成していないから」という逃げ道が用意されている、というわけだ。
そんな「芝居」ができないよう、早速米国からくぎを刺されてしまった格好だ。沖縄は、「朝三暮四」の猿ではない。政府は、もはや口先だけの「負担軽減」では通用しないと知るべきだ。
それにしても、米国の言いぶりには怒りを覚える。「日本の国内問題だ」という姿勢のことだ。
沖縄の被害は、事件事故にしろ騒音にしろ環境汚染にしろ、米国の軍隊が起こしていることだ。米国は当事者そのものである。特権的な日米地位協定も米国が求めたものだ。人ごとのような口ぶりは許しがたい。
その地位協定の改定要求も、「われわれは改定に合意していない。今後交渉を始めることも考えていない」と即座に却下した。これで「米国は引き続き日本や地域のパートナーを支援する」とは、空々しいにもほどがある。
地位協定の改定要求は、特別な「わがまま」ではない。日本が主権国家であるなら当然行使できることを行使できるように、という当たり前の求めにすぎない。
現状は犯罪者も基地に逃げ込めば逮捕もされず、証拠隠滅も口裏合わせもやりたい放題。環境汚染をしても連絡せず、地域の人の立ち入り調査さえたびたび拒む。夜中の3時に110デシベルもの爆音を響かせる。ニューヨークで日本人がそんなことをして許されるのか。
異民族の「同盟国」に、68年間も軍隊を駐留させ、しかも特権的地位を続けたのは第二次大戦後の米国だけだ。世界史的にも例のないそんな二国間関係は、不安定要因であることに米国も気付くべきだ。そして、持続可能な、対等な関係を築き直すべきなのだ。
【地位協定改定、米が拒否 「交渉開始考えてない」 琉球新報12/19】【ワシントン17日=島袋良太本紙特派員】米国務省のハーフ副報道官は17日の記者会見で、仲井真弘多知事が日本政府に日米地位協定の改定を求めたことについて「われわれは改定に合意していない。今後交渉を始めることも考えていない」と強く否定した。首相は知事の要求について17日の沖縄政策協議会で、米軍普天間飛行場の辺野古移設への理解を得ることを念頭に、「最大限努力する」と返答していた。
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