辺野古移設を押し付ける政府に抗議の意見書・全文 那覇市議会
市議会のHPに全文がアップされた。政府への抗議と普天間基地の閉鎖・撤去をもとめる意見書。
知事も県議会で「県外移設」を明言。自民党の幹部の一部が脱落しただけで、オール沖縄の声はかわらない。
自民党の態度は、基地の是非をこえて民主主義を否定する態度。 また、「ウソつくこと」を奨励する教育的効果もある。
【辺野古沖移設を強引に推し進める政府に対して激しく抗議し、普天間基地の県内移設断念と早期閉鎖・撤去を求める意見書 那覇市議会12/2】
【那覇市議会意見書 民主的正当性は沖縄に 琉球新報12/3】
【辺野古沖移設を強引に推し進める政府に対して激しく抗議し、普天間基地の県内移設断念と早期閉鎖・撤去を求める意見書 那覇市議会12/2】
私たち沖縄県民は、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念、垂直離着陸機・オスプレイ配備撤回の県民総意を文字通り“オール沖縄”でまとめあげてきた。
本年1月には、県内41市町村のすべての首長と議会議長、県議会議長などが署名した「建白書」を安倍晋三首相に手渡した。9月には、県内の行政・議会の5団体(県議会、県市長会、県市議会議長会、県町村会、県町村議会議長会)が、オスプレイを強行配備した日米政府を糾弾し、全機撤去を求める抗議声明を発表した。
然るに、日米両政府はこの県民総意を無視して、「辺野古移設」を「唯一の解決策」として力ずくで押し付けようとしている。
国土面積の0.6%にすぎない沖縄に米軍専用施設の74%が集中する異常な実態に対する県民の憤りは、いまや限界点をはるかに超えている。
本市議会は、これまでも沖縄の過重な基地負担の問題解決を求め、全会一致で意見書を可決してきた。
私たち沖縄県民は、米軍占領時代から保革をこえた島ぐるみのたたかいで、土地取り上げに反対し、祖国復帰を実現してきた。いま、求められているのは沖縄のアイデンティティを貫き、県民の心をひとつに県民総意の実現へ頑張り抜くことである。
よって、本市議会は、沖縄への圧力を強め、政治家に公約の変更を迫り、「県民総意」を分断し、県知事に新基地建設のための公有水面埋め立て申請の許可を迫るなど、子や孫の代まで米軍基地を強要しようとしている日本政府のやり方に、激しい怒りを禁じえない。同時に、市民、県民の生命と安全を守る立場から、辺野古沖移設を強引に推し進める政府に対して激しく抗議し、県民総意である普天間基地の県内移設断念と早期閉鎖・撤去を強く求める。以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成25年(2013年)12月2日
那 覇 市 議 会
【那覇市議会意見書 民主的正当性は沖縄に 琉球新報12/3】 これは人間の尊厳を踏みにじる国策への異議申し立てである。同時に、県民の命と暮らしの擁護者になるという、議会人の不退転の決意の表明だと評価したい。 那覇市議会が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画を強引に進める政府に抗議し、全会一致で可決した「県内移設断念と早期閉鎖・撤去」を求める意見書のことだ。 県民総意に対する「無視」「圧力」「分断」「強要」「強引」-意見書には、政府の非民主的な対沖縄政策を糾弾する文言が並ぶ。 「いま、求められているのは、沖縄のアイデンティティーを貫き、県民の心を一つにして県民総意の実現へ頑張り抜くことである」。意見書はこう県民に呼び掛ける。 しかし、それは一人沖縄県民だけが悩んだり、苦しんだりすることではあるまい。国民主権や地方自治を尊重する民主政治を続けるのか、それを押さえつける強権政治を許すのか。本土住民にとっても人ごとではないはずだ。 1996年の普天間飛行場返還の日米合意から17年余。県民は知事選や国政選挙、県議会や市町村議会などで熟議を重ね、普天間飛行場の県外・国外移設、閉鎖・撤去を求める県民総意を築いてきた。民主的正当性が沖縄にあることは、県民が一番よく知っている。 にもかかわらず、自民県関係国会議員5氏と県連は、普天間問題で安倍政権と党本部の圧力に屈し「県外移設」の選挙公約を撤回、「辺野古移設を含むあらゆる選択肢を排除しない」と方針を転換した。これは県民への歴史的背信だ。 今年1月には、県内41市町村の全首長、全議長、県議会議長などが署名し普天間飛行場の閉鎖・撤去などを求める「建白書」を安倍首相に提出、県民の総意を示した。自民5氏と県議はその「オール沖縄」の結束を公約を撤回し分断した。責任を取って議員辞職し、選挙で信を問うのは当然だろう。 自民党の重鎮で元県議会議長の仲里利信氏は全首長・議長の反対を無視して国会議員、県連を転向させた政府・自民党を批判し「沖縄に民主主義はない。こんなに差別されて黙る必要はない。国連人権委に訴え、沖縄が抑圧されていること、これが民主主義国家のやることかと世界にアピールすべきだ」と述べた。強権政治を跳ね返せるか。県内指導層の歴史観と、沖縄の民主主義の真価が問われる正念場だ。
【社説[辺野古容認]代議制の危機は深刻だ 沖縄タイムス12/2】米軍普天間飛行場の辺野古移設問題で自民党県連(翁長政俊会長)は1日、常任総務会を開き、辺野古移設容認の方針を正式に決めた。翁長会長は政策変更の責任をとって辞意を表明した。
「普天間飛行場の危険性除去と早期返還・固定化を阻止するため、辺野古移設を含むあらゆる選択肢を排除しない」。回りくどくて分かりにくい表現は、官僚の作文をほうふつとさせる。逃げ道づくりに腐心したような表現だ。
案の定というか、「あらゆる選択肢という言葉には県外移設も含まれる」と釈明する国会議員も現れた。
自民党県連は2010年7月の参院選、12年12月の衆院選、12年6月の県議選、今年7月の参院選で、党本部と異なる県外移設の方針を掲げた。
県議会の自民党会派は県議会各会派や県内41市町村と足並みをそろえて東京要請行動に参加し、安倍晋三首相に直接、建白書を手渡した。
どのように抗弁しようとも、今回の組織決定が有権者に対する背信行為であることは明らかである。有権者との約束を裏切り、政治への信頼をずたずたに切り裂いてしまったのだから。
自民党県連は、沖縄の戦後政治をけん引してきた栄光の歴史に、自ら大きな汚点を残してしまった。
選挙の時には「県内移設では戦えない」と県外移設を公約に掲げ、当選すると今度は「普天間の固定化を避けたい」と理屈をつけて公約を変更する。そんなことを許していては代議制民主主義は成り立たない。
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稲嶺進名護市長は、市議会で可決された辺野古移設断固反対の市長意見を正式に県に提出した。埋め立てに伴う環境への影響を調査していた県環境生活部は「懸念が払拭(ふっしょく)できない」との意見を土木建築部に提出した。
地元の反対と、環境保全面の懸念材料。それだけでも県外移設を求める十分な理由がある。だが、政府自民党の最近の対応は、万事が「問答無用」の「どう喝調」だ。
菅義偉官房長官は11月、自民党県連代表と会談した後、記者団に対し、県外移設は「あり得ない」と断言した。県民を愚弄(ぐろう)するような発言である。
普天間移設、オスプレイ配備、「主権回復の日」記念式典、日台漁業協定締結-いずれのケースについても、党派を超えた「沖縄の声」は、安倍政権によって完全に無視された。これほど露骨に強権的に沖縄に対処した政権は、過去に例がない。
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自民党の那覇市議団は県連の方針変更に反発し、市議会で県内移設断念の意見書を採択する。自民党県連顧問の仲里利信元県議会議長は県連に顧問の辞任届を郵送した。
気骨のある政治家がいるという事実は、沖縄の多くの人びとを勇気づける。次は仲井真弘多知事の番である。
党本部からの圧力による自民党県連の公約変更を知事判断の材料にすべきではない。これまで主張してきたこととたがわないような判断を、強く期待したい。
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