学テ・学校別公表~失敗に学ばない政府
文科省自体が、学テの「学力の特定の一部」であり、公表は、序列化、過度の競争をもたらすと言っていたのに、また圧倒的な市町村教委は公表に否定的ななのに一点、公表を認める方向に転じた。
過去の失敗だけではない、最近では、アメリカの学テ公表と学校選択を組みあわせた「教育改革」が破綻している。国連子どもの権利委員会から、幾度も是正を勧告されている「過度に競争主義的な競争制度」をさらに悪化させる措置。大手の塾など教育産業の措置でしかない。
失敗にまなばない・・・ 侵略戦争と憲法、新自由的経済政策、原発・・・どれも同じ。
【社説:学力テスト成績 学校別の公表は無用だ 毎日11/30】【「テストのための教育に」 学力テスト 学校別成績公表へ 東京11/30】
【競争と罰--「落ちこぼれゼロ法」の破綻2012/3】
地方の紙の社説でも・・・
【誰のためのテストか 学校別の公表 11/30 信濃毎日】
【学力テスト公表 学校序列化の懸念拭えない 熊本日日12/1】
【学テ成績公表「学校別」が必要だろうか 高知新聞12/2】
【社説:学力テスト成績 学校別の公表は無用だ 毎日11/30】学力向上のためのテストが、学校ランク付けの手段にすり替わりはしないか。文部科学省は、これまで学校が個別の自主判断で出す例以外は禁じてきた全国学力テストの学校別成績公表を、市区町村教育委員会の判断によってできると認めた。来年度のテストから実施される。
一律ではなく、教委が学校と話し合ったうえでとされているが、最終決定権は教委にある。
2007年度に始まった現行テストは小学6年生、中学3年生を対象に国語、算数(数学)の2教科について行われる。民主党政権下で抽出方式も採用されたが、現政権は全員参加方式を続けるとしている。
文科省がテスト実施要領で学校別成績(正答率)の公表を認めなかったのは、1960年代に廃止された旧学力テストで学校や地域間の競争が過熱し、対策補習や不正行為などで混乱した苦い歴史があるからだ。
学力の実態を探るはずのテストが、競争のために取り繕いやごまかしを誘う皮肉な構図になった。
今回、文科省は首長らの要望や「説明責任」などを理由に“解禁”に踏み切ったが、かつての混乱を招かぬという確証はどこにもない。そもそも、判断を教委にゆだねること自体、責任の丸投げではないか。
学校が板挟みになって苦悩する事態が今から懸念される。
またテスト本来の目的に照らしても、学校別成績公表は無用だ。子供たちの得手不得手の傾向や特徴をつかみ、個別の指導に生かすという趣旨からいえば、結果分析をどう指導に反映させ、先に向かって改善していくかが最も肝要だ。学校別数値の差異に一喜一憂することではない。
今回の改定でも文科省は、学校名と正答率だけの公表を認めず、結果の分析や改善策とともに示すよう求めている。正答率で学校を順位付けすることも禁じている。しかし、数値が出れば順位一覧表はできる。
むしろ正答率などより、結果に見る学力傾向と今後の指導計画を保護者や地域に説いた方がずっと理にかなう。そこを主眼とすべきだ。
また、傾向と課題を的確に掌握するには抽出調査で十分と専門家は指摘する。抽出なら学校間の成績競争はない。結果から子供たち全体の改善指導を工夫し、追跡調査で成果を検証していく。その方が、学校の成績順位よりはるかに重要だろう。
教委は、最終決定権者であることで実施を押し通すのではなく、学校や父母とも十分に話し合い、現場の意見をくみとってほしい。
文科省が実施要領に明記するように、テストの結果は「学力の特定の一部分」に過ぎない。決して学校を格づけするものではない。
【「テストのための教育に」 学力テスト 学校別成績公表へ 東京11/30】小学六年と中学三年生を対象に毎年四月に実施する全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について、文部科学省は二十九日、区市町村教育委員会による学校別の成績(平均正答率)の公表を、来年度から解禁すると発表した。すでに、大阪市や静岡県で首長の意向で実施要領に反する公表が行われる中、小中学校の序列化を加速させるような文科省の方針転換に、識者や元教師からは懸念の声が上がる。 (加藤文)
文科省には、全国規模の学力テストをめぐる苦い経験がある。一九五〇~六〇年代の全国学力テストは、一部の都道府県間で順位争いが過熱し、六六年に中止に追い込まれた。
六四年に「三年連続学力テスト日本一」を達成した香川県で当時、小学校教諭を務めた丸岡安さん(77)=同県琴平町=は「テストで成績を上げるための教育に日々、追われていた。紙七~八枚分の模擬テストのような宿題を出し、保護者から千本ノックだと言われたこともあった」と振り返る。
隣の愛媛県では、香川県に負けまいという雰囲気の中、テスト中に子どもの答案に間違いを見つけた試験監督の担任が、黙って二本指で押さえて間違っている所を指し示す「田植え」と呼ばれた不正も行われたという。
これまで学校別の成績公表を認めてこなかった文科省が一転して認めたことに、丸岡さんは、競争過熱が再現するのではと恐れる。「校長ら管理職は評価を気にして、現場の教員にテストのための教育をさせるようになる。点が取れない子は切り捨てられてしまう」
一方で文科省は、学校別成績の公表を区市町村教委の判断に委ねたが、最近でも静岡県の川勝平太知事が成績上位の学校長名を公表したように、全国学力テストの結果公表は、現状でも首長の意向が大きく影響している。
そんな中、中央教育審議会分科会は、教委が持つ地方教育行政の最終的な決定権を、首長に移す教委制度改革案を検討中だ。教委の権限が今より弱まれば、教委の判断を跳び越え、首長の意向に応じ成績が安易に公表される可能性がある。
二十九日の記者会見で、下村博文・文部科学相は「教委がどういう形になろうと、成績の公表は教委が判断できるという点は変えない」と強調したが、今回見直した学力テスト実施要領には、そうした記述は一切ない。
共栄大の藤田英典教授(教育社会学)は、「学校別の成績公表による序列化の危険性や過度な競争をあおることを分かっていたからこそ、文科省は今まで公表を認めてこなかったはずだ。それを否定してまでなぜ公表に踏み切るのか。見識を疑う」と話した。
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