米情報機関「日本でも諜報活動」~抗議もしない日本政府
アメリカ当局者がNHKの取材に対し、英、豪、加、NZの4つの国以外では諜報活動していると認めた。 安倍政権は米国による盗聴などの問題にダンマリ。官房長官は「情報保全に対応している」と繰り返すだけ。
琉球新報は「特定秘密保護法を制定し、あれこれ理由を付けて「国家の秘密」を保護しても、盗聴を許しては国益は守れない。まさか米国に限っては盗聴を認める、というわけではあるまい。ここでも従属姿勢を見せれば、日本の威信も失墜する」。
茨城新聞は、米国からもとめられ秘密保護法について、まず米国から寄せられた情報の集め方が問題ではないか・・と指摘する。盗聴情報を保護する「秘密保護法」、盗聴国家の仲間入り。
【米情報機関「日本でも諜報活動」NHK11/1】
【広がる盗聴疑惑 凋落する大国の傲りと焦り 琉球新報・社説 10/27】
【盗聴疑惑 秘密の肥大化はごめんだ 茨城新聞11/1】
【米情報機関「日本でも諜報活動」NHK11/1】アメリカの情報機関による通信傍受への国際的な批判が高まるなか、アメリカ政府の当局者はNHKの取材に対し、アメリカは、イギリスやオーストラリアといった一部の同盟国との間で互いに諜報活動を行わないという取り決めを結んでいるものの、日本などそれ以外の同盟国は諜報活動の対象となっていることを明らかにしました。
ヨーロッパなどのメディアは、アメリカのCIA=中央情報局の元職員、スノーデン容疑者が持ち出した情報をもとに、アメリカのNSA=国家安全保障局がドイツのメルケル首相の携帯電話の盗聴などを行っていたと伝え、アメリカに対する国際的な批判が高まっています。この問題を巡って、アメリカ政府の当局者はNHKの取材に対し、アメリカはイギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの4つの国との間で互いに諜報活動を行わないという取り決めを結んでいることを明らかにしました。
英語圏のこれら5か国は「ファイブ・アイズ」とも呼ばれ、第2次世界大戦当時から世界各地で連携して諜報活動を行うなど、情報収集を巡っては「特別な関係」を続けてきたということです。この当局者によりますと、それ以外の同盟国である日本やドイツなどは、アメリカの情報機関による諜報活動の対象となっているということです。
また、アメリカは世界各地のアメリカ軍基地や大使館に情報収集を行う拠点を設けていて、日本国内にも通信を傍受するための施設があるということです。
【広がる盗聴疑惑 凋落する大国の傲りと焦り 琉球新報・社説 10/27】米国情報機関の国家安全保障局(NSA)が外国の指導者35人の電話を盗聴していた、と英紙ガーディアンが報じた。米中央情報局(CIA)の元職員から提供された機密文書の内容だ。
ドイツのメルケル首相への盗聴疑惑が浮上したばかりであり、それ以外の国の指導者への盗聴も十分に類推できる。フランスでは7千万件以上の通話やメールの傍受があったと報じられ、欧州連合(EU)は米国への反発と不信を募らせている。
ドイツやフランスは米国に事情説明を求め、再発防止策を協議する意向だ。米オバマ政権はこの事態を深刻に受け止め、誠意ある説明と改善策を示す必要がある。米国は盗聴の目的はテロ対策と説明してきた。しかし、テロ対策に協調してきた同盟国、友好国の首脳まで盗聴の対象にするのは明らかに目的から逸脱している。
EUは「9・11テロ」以降、国際送金や旅客機利用者の情報を共有し、テロ計画などを探知する仕組みに協力し成果を上げてきた。
しかし今回の盗聴疑惑で、EUからは米国から十分な説明がない場合は、テロへの協力関係を見直すべきだとの声も上がっている。米国の独り善がりな盗聴活動は、テロ防止という本来の目的をも損なう罪深い錯誤と言えよう。盗聴疑惑はブラジルやメキシコの首脳にも及んでいる。こう見ると、一連の盗聴活動はテロ防止というより、政治や経済などの分野で情報を集め、外交上優位に立ちたいとの思惑が働いている。
デフォルト(債務不履行)危機に見られるように、政治、経済、外交などあらゆる分野で国際社会における米国の威信は揺らいでいる。やみくもな盗聴活動には、これまでは黙っていても入ってきた情報が、威信低下に伴い集まりにくくなっているという事情もあるのではないか。凋落(ちょうらく)する大国の傲(おご)りと焦りを見る思いだ。「指導者35人」に日本の首相も入っている可能性が高い。米国内の日本大使館が盗聴対象になっていたことは既に明らかだ。日本政府も各国同様、厳しい態度で臨むべきだ。
特定秘密保護法を制定し、あれこれ理由を付けて「国家の秘密」を保護しても、盗聴を許しては国益は守れない。まさか米国に限っては盗聴を認める、というわけではあるまい。ここでも従属姿勢を見せれば、日本の威信も失墜する。
【盗聴疑惑 秘密の肥大化はごめんだ 茨城新聞11/1】自由と民主主義の国がどうなっているのだ-と問いただしたくなる。米政府による盗聴疑惑が波紋を広げている。通信傍受機関である国家安全保障局(NSA)がドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴していた。
さらに名前や国名は明らかにされていないが、35カ国の指導者らの電話を盗聴していたとの報道もある。ブラジルのルセフ大統領やカルデロン前政権当時のメキシコ大統領府の通信やメールも傍受されていたという。名前が明らかになったのは、米国と友好関係にある国々の指導者だ。米国は何のために友好国の指導者らの電話やメールを調べていたのか。釈明を聞きたいものだ。
メルケル首相の携帯電話盗聴は、まだ首相になる前の2002年から始まっていたとされるから、時期的に見て01年の9・11テロ事件を受けたテロ対策の中で行われたと推測できる。
この春から夏にかけては、NSAが米国内外の一般市民の膨大な量の通信情報を集めていたことが暴露され、問題化した。内部告発文書によれば1カ月で1千億件近くが収集されていた。「外国情報監視法」に基づいた手続きを踏んで、外国情報監視裁判所という組織から令状を得て、連邦議会の情報特別委員会による監視のもとで、合法的に行う情報収集だと、米政府は弁解した。しかし、年間で兆単位に上る件数の情報収集に、どうやって監視裁判所や議会による監視の目が行き届くのか。それも秘密なので分からない。今回の事件を報じる米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、オバマ大統領はNSAが外国指導者らの電話を盗聴していたことを知らされていなかったという。
同紙の報道で気になるのは、盗聴が監視裁判所の令状の趣旨に反すると指摘を受けたNSA側が「盗聴の仕組みを十分理解していないので、裁判所に正確に説明できない」と弁解したことだ。これらが事実とすれば、そこにうかがえるのは、秘密を取り扱うということを隠れみのにして、極限まで肥大化し、ついには自分が、何をしているか分からなくなり、指導者も実態がつかめなくなった「官僚機構」の姿だ。
折しもわが国では、主として同盟国である米国からもらう情報を守ることを重要な目的にする特定秘密保護法の制定が論議されている。今回の米政府の盗聴事件を考えると、一般市民には納得しがたい問題がいくつか浮かび上がってくる。
まず、米国から寄せられる情報は、その集め方からして問題はないのか。そもそも、そうした情報は、本当に米国や同盟国の国益を考えて集められたものなのか。単に肥大化した情報機関が機械的に意味もなく、集めているにすぎないのではないか。
よその国に秘密を守ってほしいという米国が、他方でその国の秘密を強引な方法で集めていることも、市民の常識には異様に見えるだろう。米国は世界の信頼を取り戻すためにも、情報活動の見直しを進めてほしい。
国家の安全のためには時に秘密情報を収集し、その秘密を守る必要があることは市民も理解できるだろう。ただNSAのように秘密を扱うことを隠れみのに官僚機構が肥大化し、指導者も制御できなくなるのは、ごめんこうむりたい。
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