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特養・障害者施設 ~ 待機問題(メモ)

「住民と自治」2013.11より2つの論稿の備忘録

Ⅰ.特養ホームの待機者問題は、介護保険下の高齢者福祉の質をあらわす
 服部万里子・服部メディカル研究所所長 

Ⅱ 障害者の地域移行策で、施設待機者はなくなるか
  伊藤成康・きょうされん居住支援部会
~ 保育、学童については下記の備忘録があるので上記2テーマのみ作成。
【待機児童と保育制度改革〜子育て支援策を問う(メモ)2013/8】

Ⅰ.特養ホームの待機者問題は、介護保険下の高齢者福祉の質をあらわす  服部万里子・服部メディカル研究所所長 

◇待機問題の要因

(1)要介護者の増加
・65歳以上3186万人(人口の25%)、75歳以上12.3%(総務省2013.9)
・要介護認定者531万人(2012.3)~介護保険スタート時の2倍
・介護保険者の利用者/ 居宅サービス72%、3種の施設入所20%、特定施設・グループホームなど居住系施設8%

(2)特養ホーム設置計画の未達成 
・待機者42万人(厚労省2010.1)/待機者上位10都道県では、未達成が多い

(3)在宅生活が継続できない理由
・さいたま市の待機者に対する調査(08年)~「在宅生活を続けるために必要な条件」 
 「サービスの充実」4割、「家族が一緒に生活してくれる」1割
→ 待機者増の解決策の1つに在宅サービスの充実/ 特に介護保険は家族が同居していることを前提に制度設計されているので、ミスマッチが在宅困難を助長ざている。

(4)無届施設の増加
 ~自宅生活が困難となり、特養ホームに入れない場合・・・

①介護保険前は病院が受け皿~ 今日ではよほど高額の部屋代を払う以外あり得ない

②老人保健施設が受け皿になっていた時期もある~ 現実的には「3ヶ月ごとのたらい回し」が実態/特に介護報酬に「在宅復帰率」が導入されてからは受け皿とはなりえない
→ 老健入所による特養ホーム待機は「困難度」で入所判定が後回しになり、次々と「漂流先を探す」ことになる。

③鐘がれば有料老人ホームが受け皿になる。特定施設の8割が有料老人ホーム。「特定」をとらず介護保険を目一杯導入する有料老人ホームも増加/ 「特定施設」の増加は、市町村の介護給付の増加につながるため「住所地特例」が適用させることになる
→ 介護保険の7割は女性、80歳以上が約半数/ 自費で有料老人ホームに入れない人はどうするか。

☆「安価に入れる施設」への需要増~ 無届施設

・千葉県が浦安市の施設を「檻にいれている」「手錠をかけている」と指導、アパートの一室に数人の要介護者を受け入れ在宅介護サービスを導入している事業者を「無届施設」として指導
・群馬県の無届施設「たまゆら」の火災で8名死亡~ 在宅困難な生活保護者を措置していた東京の自治体の対応が問われる自体に
~ これらの無届施設に、サービスの質、設備に問題がないとは言わないが、それ以上に「在宅困難者で金のない人の受け皿となっている」ことはまちがいない/ 家族も「助けられた」と言っている。

→ 金にゆとりがない、家族が面倒をみられない人が、介護保険からはじかれている現実/ 特養待機問題には多様な要因と問題をはらんでいる。


◇サービス付高齢者住宅は受け皿になるか

・待機問題に加え、入院患者の6割近くが70歳以上。高齢者は合併症も多く入院が長引く傾向/政府は、医療費削減のため介護療養型医療施設の廃止を決定~ 「退院の受け皿がない」問題もある。

・「高齢者住まい法」を改正し、「高齢者専用賃貸住宅」を「サービス付高齢者住宅」に変更
在宅サービスを併設させ、効率的な介護提供で待機者や退院の受け皿づくりをねらった/ 現在12万戸
→ が、死ぬまで家賃を払い続けることができるのか、という問題。どこまで介護に対応できるか、という問題がある(メモ者 あくまで自分で自活できる人が対象)
→ 現実には、特養ホームが最後の居場所に。この機能を果たせると思えない/ 死亡退所 特養63%、療養型施設37%、老健3.8%(07年度介護・サービス施設事務所調査の概要)


◇在宅をより長く続けられるように制度設計を変え、待機をへらそう

・政府は、介護給付抑制のため要支援を、ボランティア・NPOがケアする方針
→ 要支援の介護給付は5%にすぎない。逆に悪化をもたらし介護給付が増大する懸念がある。
・特養ホームを介護3以上に限定する方針
→ 認知症とか在宅困難者など「措置」に近い入所で非現実的(メモ者 批判を受け一定の是正)

☆より長く在宅で暮らし続けられるようにすることが基本

①状態の悪化から入院し、戻れなくなる実態に注目する
 在宅の要介護者が入院する理由=悪化につながるリスクをアセスメントし予防を具体化する
→ 熱中症、脱水、転倒骨折、低栄養、肺炎等の感染症、服薬管理できない問題を、どう予防するか。

②廃用症候群(生活意欲の低下)への取組
 高齢で要介護になっても「行きたいところ行き、やりたいことをひきだい」支援/ 配偶者の死亡、孤独感、周囲からの孤立にむきあい、やりたいことをあきらめない工夫

③介護者支援の具体化
 介護者の苦痛、不安、ストレスと向き合い、サービスが使い勝手が悪く介護者に負担をしている実態に注目し支援を具体化すること
→ 介護が喜びや得るものがあると実感できる支援/ 個別支援のケアマネジメント、それを具体化する他職種との連携、生活全体を支援する地域資源の活用~ 三位一体のとりくみ

~24時間重度介護が必要な場合、常時状態把握が必要な場合は、施設介護は不可欠/ が、本人が希望すれば在宅が続けられる支援が必要〜 より長く在宅できれば施設待機の効果的対応となる。

Ⅱ 障害者の地域移行策で、施設待機者はなくなるか

  伊藤成康・きょうされん居住支援部会


◇いつまでも家族が支援する社会

・50歳を過ぎた全介護の在宅障害者を、80歳の母親が介護している実態~老老介護と同じように深刻な問題
~地域生活を支えるサービスの不足、特に障害の重い人への介護支援が行き届いていない
・家族と一緒に暮らす障害者にとって、家族に不測の事態がおきれば、誰が介護するのか、という問題
→ 一時的にショートステイ。長期化すれば、施設入所か、グループホーム・ケアホームに入居。精神障害者の場合は「社会的入院」もある。入院すれば、長期化して自宅にもどれない場合も多い

・障害者の場合、多くは親が介護。介護者が先にリタイアする/ 子どもの頃からなので介護期間が長く、60年以上も介護の関係が続く
~ 深刻なのは長年親以外の介護を受けておらず、福祉サービス、兄弟の支援さえうけてこなかった場合。特に、60歳以上の障害者の多くは義務教員も就学「免除」され、社会とのつながりがほとんどない人も多い
→ 本人が初めての支援者を受け入れるのには時間がかかり、在宅で残る場合は近所・地域とのトラブルが起こる場合も多々ある。
→ まず入所施設で専門的な支援をしながら、(社会的経験をつみながら、新しい環境に対応できるよう、)社会復帰をめざす必要がある/ 現状では、「暮らしの場を必要としている潜在的な待機者」が地域にかなりいると思われる。


◇施設を希望しても入れない

・大阪府堺市「障害者(児)の生活の場を考える会」の報告
~ 多くの入所施設で100名前後の待機者がおり、潜在的な待機者数はその倍以上いる(2013.2)。
/そのため、家族介護が厳しくなった家庭は、ショートステイを多く使い長期に待機している。
→ 特に、常時見守りが必要な重度の障害者は、グループホーム・ケアホームでは支援が厳しく、施設待機するしかない。数ヶ所の事業所を利用し、ロングショートで入所待ちするしかない
→ 生活の場が次々と変わることは、大変な心労であり、重大な人権侵害問題である。


◇国の障害者施策と暮らしの場の課題

・在宅で暮らし続けるにも、施設に入るにも見通しがないことが「この子が死ぬまで私が面倒みなければ」という親の思いを形勢/障害を「自己責任」として、高齢の親に死ぬまで面倒みさせる社会が問題
・近年、介護ヘルパー、ガイドヘルパーなど福祉サービスが地域に入ってきたが、地方はほとんど事業所がなく、障害者制度は、介護保険以上に地域間格差が大きい
・暮らしの場であるグループホーム・ケアホームの増加/ここ数年、入所施設1万人減、ホームが2倍近くの4万人増 ~ 家族と同居していた多くの人がホームに入居したこと、精神障害者の退院促進も急速にすすんだ。

・入所施設。「真に必要なものに限る」との厚労省の方針により、ここ10年、定員、利用者数減。
~ 現在、厚労省は、規模を縮小しつつ専門性を残そうとして、施設のあり方を検討中
→ 入所施設は、定員を少なくし、個室化・ユニット化の方向/ 利用者の受け皿として、グループホーム・ケアホームへ

・ホーム/ 多くが街中にあり、暮らしの規模も少人数で家庭的環境で、1人あたり4畳半以上の個室が提供され、入所施設よりもプライバシーが保障されている。日中は別の事業所に通う人も多く職住分離もさけており、地域生活の支援の要の役割を期待されている。

・入所施設の希望者もあとを絶たない/ ホームでなく入所施設を選ぶ理由がある。
①夜間の職員体制
ほとんどのホームは、パート・アルバイトが多い。入所施設は配置率は少ないが専門性のかる正規職員
②ホームは小規模ゆえ空間も狭く、行動障害のある人にはスペースのある入所施設が向いている
③費用の問題/ 入所施設に比べホームは利用負担も多い。
作業所給与が少なく障害者年金2級の人の場合では利用料が払えない。


◇制度に置き去りにされた障害児施設

・障害児の入所施設の年齢超過問題も深刻 ~ 18歳未満の児童の入所施設では、年々虐待をうけた子や発達障害の子どもが増えている。/親の保護能力の低下が増えているためか、心に傷を持つ子どもも多く、精神的なバランスを崩してからの入所、病院から移行も多くある。
 → 成人施設以上に職員の専門性が問われる

・その障害者施設が狭き門のため、一般の児童養護施設を多くの障害児が利用
現在、児童養護施設の半数近くが発達障害を含めた障害児といわれる。
→ 障害児の入所施設が少なく、18歳を超えていも退所後の移行先の目処も少なく、延長利用の人が蔓延状況となってる。

・国は、障害児施設そのものを廃止する方向~ 地域の通所療養施設に任せる
→ が、家族が面倒をみられなくなれば、結局、一般の児童養護施設、精神科の入院病棟に入ることになる/ 潜在的な待機者は、成人以上に児童の方が多く、その上深刻で、今後ますます増えてくる。

◇待機者のない社会に

・地域に重い障害をもった人が暮らせる制度があれば「待機者問題」は解決する/ そして必要なときに専門的な施設がフォローし、役割を発揮することが大切
・日本が批准を検討中の「障害者権利条約」/第19条「自立した生活および地域社会で受け入れられる権利」の確立を。

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