秘密法修正 「官僚支配」促進~みんなの党の本質
政府のトップである首相が「第3者」になるわけがない。これを「修正」としてみんなの党が賛成へ。
赤嶺さんの質問で、政府は、行政の長が指定するのは「事項」だけで、具体的な判断、実務は官僚が実施していることを認めた。その官僚支配が強化される法案。みんなの党は、「脱官僚」が一枚看板だが、たんなる票欲しさのポピュリズムでしかなかったことを自ら証明した。
安倍の暴走があまりにも酷いため…「そんなことは起こらないだろう」と現実感をもって受けとめられてない空気も存在する。そこにどう働きかけるか。「湯で蛙」にならないために。
【秘密法修正協議 民主主義を壊す妥協だ 琉球新報11/20】
【社説:秘密保護法案を問う 与党・みんな合意 毎日11/20】
【秘密法修正協議 民主主義を壊す妥協だ 琉球新報11/20】「開かれた政府」と「国民の知る権利」。民主主義国家に不可欠な土台が、壊滅的に掘り崩されようとしている。
情報は国民のものであり、公開が原則だ。秘密は例外的に認められる。政府が恣意(しい)的に秘密を指定し、都合の悪い情報を隠すことを許さない情報公開制度は、欧米など、世界の民主主義国家では常識と言っていいだろう。
だが、国家機密を漏らした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法案は、その備えが全く整っていない。そもそも、特定秘密保護法がなくとも、既存の法律で十分に対処できることは明らかだ。
情報公開制度に不備がある中、この法律が成立すれば、情報公開が例外となり、秘密にすることが圧倒的優位に立つ異様な国になり果てる。日本は大きな岐路に立たされている。
特定秘密保護法案をめぐり、自民、公明両党とみんなの党が、修正協議に合意した。みんなは採決で賛成する方針を明確にし、野党の反対の一角が崩れた。
首相が秘密を指定する統一基準を策定し、その基準は閣議にかけて決める-が合意の骨格だ。
だが、首相が秘密指定や解除に対する説明や改善を求められる形となっても、自ら選んだ閣僚が行う秘密指定に対し、指揮監督できるだろうか。屋上屋を架すような実効性なき微修正でしかない。
要するに、実務を担う各省庁が、秘密指定の実権を握る構図は全く変わらない。国会による国政調査権も優先順位が下位に置かれ、政府が秘密をやみくもに指定し、国民の知る権利が侵害される特定秘密法案の問題点は何一つ改善されていないのである。
この重要法案をめぐるみんなの党内の論議は、党利党略のそしりを免れない。渡辺喜美代表には、長期政権をにらむ安倍晋三首相に接近し、ごたごたが続く党内基盤を強めようという思惑がある。
みんなの党の結党の精神は、「脱官僚」「地域主権」だ。増税の前にやるべきことがあるとして、小さな政府を志向し、無駄を極力排する行政改革の断行をとなえている。
しかし、今回の微修正合意は、脱官僚や「国民に政治を奪還する」という結党宣言と逆行し、情報管理を厚くする。つまり、政府の肥大化を招く。政権与党にすり寄る、安易な妥協というしかない。
【社説:秘密保護法案を問う 与党・みんな合意 毎日11/20】◇まるで修正に値しない
特定秘密保護法案について、与党の自民、公明両党とみんなの党が、修正で合意した。首相が特定秘密の指定、解除などの基準を作成して閣議決定し、「行政機関の長」に秘密の指定について指揮監督したり、必要に応じて資料の提出を求めたりする権限を持つという内容だ。第三者的な観点から首相のチェックを働かすと、みんなの党は説明する。
だが、条文上、「政府」となっている基準を決める主体を「首相」に変えるに過ぎない。そもそも政府のトップである首相が第三者であるはずもない。修正の名に値しない。
国会での議論は不十分だ。採決を急ぐべきではない。
首相が膨大な量の特定秘密を個々にチェックするのは現実には不可能だ。修正案によっても、行政側の裁量で秘密指定が行われる根幹は変わらない。首相が「行政機関の長」を指揮監督するのは当たり前で、条文に明記するまでもない。
また、秘密指定の実施状況について、政府が毎年、国会へ報告し公表する規定も条文に盛り込むという。だが、個々の秘密指定の中身を国会がチェックできる仕組みではない。行政監視という国会の役割を担保する内容とはほど遠い。
国会審議で指摘された問題点に応える内容になっておらず、法案の本質は何ら変わらない。
与党は、日本維新の会との協議で、秘密の指定を恣意(しい)的にさせないよう第三者機関の設置検討を法案の付則に盛り込む考え方も示した。だが、このこと自体、本気で設置を目指しているのか甚だ疑問だ。
一方、民主党は、特定秘密の範囲を外交や国際テロに限定し、さらに指定の是非をチェックする独立性の高い第三者機関の設置などを柱とする対案を衆院に提出した。
公文書管理法や情報公開法の改正も併せて行い、特定秘密は原則30年で公開とする。延長する場合は、第三者機関の承認を必要とする。また、秘密を漏らした公務員への罰則も、政府案の最高懲役10年から懲役5年に引き下げる。
現行法の枠内で一定の秘密保全がされている現状に照らせば、民主党案もさらに精査が必要だ。ただし、国民の知る権利を大きく侵害する恐れのある政府案に比べ、懸念材料が少ない内容に改善されているのは確かだ。
政府案の概要公表は9月になってからだ。民主党案の提出が遅いとの批判は当たらない。民主党案を吟味もせず、政府案を強引に採決することは許されない。
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