秘密保護法 権限のない代役が「答弁」
国会と国民軽視のひどさ。秘密保護法の実際の所管、担当である菅官房長官は一度も答弁に立たず、内閣情報調査室への指揮監督権を持っていない森・少子化対策特命大臣が答弁。 官房長官は、日本版NSC法案に審議が忙しく、日程の短い今国会で二法案の成立を図るための「代役」。
防衛問題で、厚労大臣や文科大臣が答弁している、というようなもの。
法案作成過程の議事録もなく、担当でもない大臣の答弁は、あうでもない、こうでもないとぶれる。
法案の危険性は、その成立過程ですでに表れている。
【「代役」森氏立て拙速審議 秘密保護法案 NSCと同時成立狙う 東京11/17】
【「代役」森氏立て拙速審議 秘密保護法案 NSCと同時成立狙う 東京11/17】国家機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案の国会審議で、法案担当の森雅子内閣府特命担当相の発言が迷走を続けている。だが実は、森氏は本来の担当ではなく、国会審議だけの「代役」にすぎない。実際に責任を持つべき菅義偉(すがよしひで)官房長官は、一度も答弁に立っていない。国民の権利を侵害しかねない法案で、政府答弁の信頼性に疑問が投げかけられている。 (金杉貴雄、横山大輔)
「(内閣情報調査室への指揮監督権は)持っていません」。十二日の衆院特別委員会。森氏の答弁に対し、共産党の赤嶺政賢氏は「権限を持った人が答弁していない。官房長官の出席が絶対必要だ」と追及した。
法案を作成した事務局は、内閣官房の内閣情報調査室(内調)で、首相のもと官房長官が統括する。森氏は少子化対策などの内閣府特命担当相で、内調とは無関係。安倍晋三首相が九月十七日、同法案の担当に指名したが、既に法案概要は完成し、パブリックコメントも募集されていた。
事実上「国会答弁だけ」が役割。特定秘密を指定し法律を運用する「行政機関の長」ですらないため、成立後は全く無関係になる。審議では森氏の発言と、事務方や他の閣僚の発言が食い違う例が続出。森氏の答弁を事務方が修正するケースも続くが、森氏に指揮監督権はない。政府の答弁が変わり、何が正しい見解か分からず、同じ質疑が繰り返されることも目立つ。
なぜ本来の菅氏ではなく、「代役」が答弁するのか。政権が、同法案と日本版「国家安全保障会議(NSC)」設置法案の二法案を、短い会期の今国会で強引に同時成立させようとしているからだ。
NSC法案の担当も菅氏。現在は衆院を通過し、菅氏は参院の特別委に出席しなければならないが、成立後に特定秘密保護法案の審議を始めたのでは今国会の成立に間に合わない。このため、同時並行で審議するため「代役」を立てた。そこには強引な手法を使っても、国民の批判や懸念が強い同法案は政権の支持率が高いうちに成立させたい、との思惑がみえる。
森氏が選ばれたのは「弁護士出身で法律に詳しい」(政府関係者)との理由だが、もともとは消費者問題が専門で畑違いは明らかだ。地元の福島県議会からは「原発の情報が『特定秘密』に指定される可能性がある。民主主義を根底から覆す」との意見書を突きつけられている。
法案の信頼性が得られない現状で、無理に成立させることは許されない。
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