いじめ「校名公開せよ」 高知市の審議会~基本方針に逆行
「高知市行政情報公開・個人情報保護審査会は21日までに、高知市教委が作成した小中学校の「いじめ認知件数」の調査資料について、小規模校を除き学校名を公開するよう高知市教委に答申した」との地元紙の報道。
この10月、「いじめ防止基本方針」が作成された。厳罰主義、規範意識のおしつけなどの問題点は残るものの協議の中で、まっとうな意見がとりいれられている。
その中でも「いじめの有無やその多寡のみを評価するのではなく」とわざわざ指摘している。情報公開審議会の答申は、この基本方針を踏まえたものなのだろうか。
【いじめの防止等のための基本的な方針】
・基本方針は、
「いじめ理解」として
「いじめは、どの子供にも、どの学校でも、起こりうるものである」とのべ、被害体験、加害体験がない児童は1割程度で、「多くの児童生徒が入れ替わり被害や加害を経験している」と指摘する。
認知件数として報告されていなかっても、広範に存在している状況である、と示唆している。
そのもとで、数値目標などにこだわれば隠ぺいと重大化がすすむという事実にも立脚している。校名公表も同じである。
だいたい「いじめは、どの子供にも、どの学校でも、起こりうるものである」という基本認識がずれているのではないか、と思う。
「基本的考え」の「いじめ防止」では・・
「児童生徒の豊かな情操や道徳心、自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重し合える態度など、心の通う人間関係を構築する能力の素地を養うことが必要である。また、いじめの背景にあるストレス等の要因に着目し、その改善を図り、ストレスに適切に対処できる力を育む観点が必要である。加えて、全ての児童生徒が安心でき、自己有用感や充実感を感じられる学校生活づくりも未然防止の観点から重要である。 」
具体策として重大事案への対応とともに、条件整備のための財政措置や教員や専門家の体制充実、子どもの意見の反映などに言及されている。解決事例からの学びも強調している。
競争教育・管理教育そのものが問われなければならない。
また法制定の意義について
「大人社会のパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどといった社会問題も、いじめと同じ地平で起こる。いじめの問題への対応力は、我が国の教育力と国民の成熟度の指標であり、子供が接するメディアやインターネットを含め、他人の弱みを笑いものにしたり、暴力を肯定していると受け取られるような行為を許容したり、異質な他者を差別したりといった大人の振る舞いが、子供に影響を与えるという指摘もある。」としたうえで、「『いじめはどの子供にも、どの学校でも、起こりうる』との意識を持ち、それぞれの役割と責任を自覚しなければならず、いじめの問題は、心豊かで安全・安心な社会をいかにしてつくるかという、学校を含めた社会全体に関する国民的な課題である。」となっている。
ブラック企業が横行する社会、生活保護など弱者をバッシングする社会をなくすことも私たちの責任である。
以下、基本方針からの抜粋
第1 いじめの防止等のための対策の基本的な方向に関する事項1 いじめ防止対策推進法制定の意義
いじめを背景として、児童生徒の生命や心身に重大な危険が生じる事案が発生している。
大人社会のパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどといった社会問題も、いじめと同じ地平で起こる。いじめの問題への対応力は、我が国の教育力と国民の成熟度の指標であり、子供が接するメディアやインターネットを含め、他人の弱みを笑いものにしたり、暴力を肯定していると受け取られるような行為を許容したり、異質な他者を差別したりといった大人の振る舞いが、子供に影響を与えるという指摘もある。
いじめから一人でも多くの子供を救うためには、子供を取り囲む大人一人一人が、「いじめは絶対に許されない」、「いじめは卑怯な行為である」、「いじめはどの子供にも、どの学校でも、起こりうる」との意識を持ち、それぞれの役割と責任を自覚しなければならず、いじめの問題は、心豊かで安全・安心な社会をいかにしてつくるかという、学校を含めた社会全体に関する国民的な課題である。このように、社会総がかりでいじめの問題に対峙するため、基本的な理念や体制を整備することが必要であり、平成25年6月、「いじめ防止対策推進法」が成立した。
6 いじめの理解
いじめは、どの子供にも、どの学校でも、起こりうるものである。とりわけ、嫌がらせやいじわる等の「暴力を伴わないいじめ」は、多くの児童生徒が入れ替わりながら被害も加害も経験する。また、「暴力を伴わないいじめ」であっても、何度も繰り返されたり多くの者から集中的に行われたりすることで、「暴力を伴ういじめ」とともに、生命又は身体に重大な危険を生じさせうる。
国立教育政策研究所によるいじめ追跡調査※5の結果によれば、暴力を伴わないいじめ(仲間はずれ・無視・陰口)について、小学校4年生から中学校3年生までの6年間で、被害経験を全く持たなかった児童生徒は1割程度、加害経験を全く持たなかった児童生徒も1割程度であり、多くの児童生徒が入れ替わり被害や加害を経験している。
加えて、いじめの加害・被害という二者関係だけでなく、学級や部活動等の所属集団の構造上の問題(例えば無秩序性や閉塞性)、「観衆」としてはやし立てたり面白がったりする存在や、周辺で暗黙の了解を与えている「傍観者」の存在にも注意を払い、集団全体にいじめを許容しない雰囲気が形成されるようにすることが必要である。7いじめの防止等に関する基本的考え方
(1)いじめの防止
いじめは、どの子供にも、どの学校でも起こりうることを踏まえ、より根本的ないじめの問題克服のためには、全ての児童生徒を対象としたいじめの未然防止の観点が重要であり、全ての児童生徒を、いじめに向かわせることなく、心の通う対人関係を構築できる社会性のある大人へと育み、いじめを生まない土壌をつくるために、関係者が一体となった継続的な取組が必要である。
このため、学校の教育活動全体を通じ、全ての児童生徒に「いじめは決して許されない」ことの理解を促し、児童生徒の豊かな情操や道徳心、自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重し合える態度など、心の通う人間関係を構築する能力の素地を養うことが必要である。また、いじめの背景にあるストレス等の要因に着目し、その改善を図り、ストレスに適切に対処できる力を育む観点が必要である。加えて、全ての児童生徒が安心でき、自己有用感や充実感を感じられる学校生活づくりも未然防止の観点から重要である。
また、これらに加え、あわせて、いじめの問題への取組の重要性について国民全体に認識を広め、地域、家庭と一体となって取組を推進するための普及啓発が必要である。第2 いじめの防止等のための対策の内容に関する事項
2 いじめの防止等のために地方公共団体が実施すべき施策
(5)地方公共団体が実施すべき施策2.学校の設置者として実施すべき施策
○ 学校評価の留意点、教員評価の留意点
・ 各教育委員会は、学校評価において、いじめの問題を取り扱うに当たっては、学校評価の目的を踏まえ、いじめの有無やその多寡のみを評価するのではなく、問題を隠さず、その実態把握や対応が促され、児童生徒や地域の状況を十分踏まえて目標を立て、目標に対する具体的な取組状況や達成状況を評価し、評価結果を踏まえてその改善に取り組むよう、必要な指導・助言を行う※11
・ 各教育委員会は、教員評価において、いじめの問題を取り扱うに当たっては、いじめの有無やその多寡のみを評価するのではなく、日頃からの児童生徒の理解、未然防止や早期発見、いじめが発生した際の問題を隠さず、迅速かつ適切な対応、組織的な取組等を評価するよう、実施要領の策定や評価記録書の作成、各学校における教員評価への必要な指導・助言を行う
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