「在沖海兵隊=抑止力」のウソ 米公文書で判明
沖縄復帰直後の1972年に米国防総省が沖縄海兵隊の撤退を検討していた。公文書によると、沖縄の海兵隊を含む「すべての太平洋地域の海兵隊をカリフォルニア州サンディエゴに統合することが、かなり安上がりで、より効率的」と結論づけていた。これに対し「日本側が維持してほしい」と要望。
【社説[海兵隊引き留め]思考停止から脱却せよ 沖縄タイムス11/11】
つまり米側は、「抑止力には影響しない」どころか「より効果的」と判断していた。ということ。それは昨今の在日米軍再編でも証明されている。
【沖縄海兵隊は不要〜運用と米軍再編の実態から(メモ)2013/8】
【米海兵隊、豪に揚陸艦配備計画 沖縄駐留の必然性低下 沖縄タイムス11/10】
それでも残ることにしたのは、思いやり予算や兵器の押し売り先、利用価値を見いだしたのだろう。
F35、オスプレイ・・・・米国で採用減、削減となる失敗作、問題作を日本が購入していく。
【オスプレイ 購入中止も、海兵隊総司令官が証言 沖縄タイムス11/10】
だいたい抑止力というのは、相手に耐えがたい犠牲をしいる圧倒的な力によっている。世界の軍事費の約半分を占める米軍の核兵器を含む圧倒的な力そのものが抑止力であり、個々の部隊配置ではない。
【社説[海兵隊引き留め]思考停止から脱却せよ 沖縄タイムス11/11】本土復帰した直後の1972年に米国防総省が沖縄海兵隊の撤退を検討のテーブルに乗せていたことが分かった。
日本政府が米海兵隊の駐留継続を求めたことと、米国も日本から財政支援を引き出す材料になると判断したため、結局、米軍基地の大幅削減は実現できなかった。
沖縄国際大の野添文彬講師(国際政治史)が入手したオーストラリア外務省の公文書から明らかになった。
この公文書が重要なのは、過去の新事実を明るみに出しているから、だけではない。現在につながる構図を浮かび上がらせているからだ。
安全保障のコストを沖縄に押し付け、その利益を本土が享受する構図である。この政策を積極的につくったのが他ならぬ日本政府である。
日本政府が海兵隊を引き留めたのは、米軍普天間飛行場を、民意に反し名護市辺野古沿岸部に移設しようとする姿勢と重なってみえる。
公文書によると、国防総省の分析専門家らは、沖縄の海兵隊を含む「すべての太平洋地域の海兵隊をカリフォルニア州サンディエゴに統合することが、かなり安上がりで、より効率的」と結論づけていた。米政府内では撤退の検討が続けられたが、翌73年の日米安全保障条約運用協議会で、当時の防衛庁防衛局長がアジアにおける機動戦力の必要性を強調し、「米国の海兵隊は維持されるべきだ」と主張。日本から財政支援を引き出して駐留するとの米国の思惑もからみ、海兵隊撤退の検討は立ち消えになった。
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東西冷戦と、終結後の現在とでは、時代背景に違いはあるが、米国が財政的に厳しい状況に置かれ、軍事予算にも大ナタを振るわざるを得ない事情は共通している。
今回の公文書が明らかにした72年当時の米国は、ベトナム戦争による戦費が膨張し、財政が危機に瀕(ひん)していた。一方、イラク戦争による膨大な戦費は現在、財政の逼迫(ひっぱく)を招いている。米政府が進めている歳出強制削減は当然、軍事予算も例外ではない。
国防総省は米本土に移転する沖縄の海兵隊員数を増やすことを念頭に、第3海兵遠征軍司令部(うるま市)の縮小や、公文書と同じカリフォルニア州への統合案を検討していると報じられている。
米軍の海兵遠征軍は全部で三つあり、米国外で唯一展開しているのがうるま市にある第3海兵遠征軍である。
米政府や議会で海兵隊の沖縄駐留をめぐって流動化しているのを忘れてはならない。
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海兵隊を抑止力の象徴ととらえるのはいかにも時代遅れだ。役割は大きく変わっている。海兵隊の大規模な上陸作戦は、50年の朝鮮戦争を最後に行われていない。
組織の生き残りのために、海兵隊は人道支援や災害救援に活動の重心を移しているのが現状だ。海兵隊はアジア太平洋地域をローテーションで移動し、関係国と演習などをしている。海兵隊の実態をみれば、軍事訓練を含め沖縄を拠点にする必要はない。代替施設も要らなくなる。日本政府は「海兵隊=沖縄」の思考停止から脱すべきときだ。
【米海兵隊、豪に揚陸艦配備計画 沖縄駐留の必然性低下 沖縄タイムス11/10】
【ワシントン=島袋良太本紙特派員】在沖米海兵隊再編の一環で、海兵隊がオーストラリアに2500人規模の駐留を計画している件で、米海軍がこれに伴い、2018会計年度(17年10月~18年9月)をめどに、海兵隊の航空機や兵員を搭載する強襲揚陸艦をオーストラリアに配備することを計画している。強襲揚陸艦は上陸戦を含む比較的大規模な作戦に出動するもので、オーストラリアに新たな海兵隊の行動拠点が構築されることが鮮明となり、海兵隊が沖縄に大規模駐留する戦略的必然性がさらに薄れることになる。
在沖海兵隊は現在、米海軍佐世保基地(長崎県)を母港とする強襲揚陸艦と行動している。米海軍制服組トップのグリナート作戦部長は8月に今後の配置計画を公表した際に、「18会計年度までには、5番目となる水陸両用即応グループ(強襲揚陸艦を含む海軍の編成単位)を太平洋地域に新たに構築したい」と述べ、強襲揚陸艦の配備を表明した。
一方、オーストラリアに駐留する海兵隊も拡充が計画されており、20年までには航空部隊や地上戦闘部隊、後方支援部隊などで構成する独立した作戦行動能力を備える海兵遠征部隊(MEU)の規模にまで拡大する。海兵隊は普天間飛行場所属のMV22オスプレイをオーストラリアに移駐することも検討している。
オーストラリアでの計画策定に携わる米海兵隊のウェストーフ少佐は地元紙の取材に対し、海軍の水陸両用即応グループと現地で連携する駐留方式について「人道支援任務だけでなく、さらに大きな共同作戦の『支え』としても機能できる」と強調した。
【オスプレイ 購入中止も、海兵隊総司令官が証言 沖縄タイムス11/10】【平安名純代・米国特約記者】米海兵隊のエイモス総司令官は7日、今後10年間で10%以上の予算を削減する必要が生じるため、2個飛行隊分の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイと4個飛行隊分のステルス戦闘機F35の購入を中止する可能性があることを明らかにした。海兵隊は今後、ハワイにオスプレイ飛行隊を2個、グアムに1個を配備する予定となっており、米軍普天間飛行場に所属する飛行隊の巡回配備が増える可能性がある。
同司令官と各軍幹部らは、米上院軍事委員会(レビン委員長)が同日に開いた公聴会で、歳出の自動強制削減が各軍の戦略に与える影響について証言した。
エイモス司令官は、F35とMV22の原価は、複数年契約方式で計算されているため、「契約違反でペナルティーを支払う必要が生じる」と説明し「海兵隊だけで約65億ドル(約6400億円)かかるだろう」と指摘。対象は「(F35の)4飛行隊とオスプレイ2個飛行隊分」と述べた。
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