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消費生活センター 非正規職員が主役の現場。改善は急務 

 高齢者の生活不安、将来不安を逆手にとった各種の詐欺商法、インターネット取引のトラブル・・・そんなときに役割を発揮するのが「消費生活センター」。
 その業務をになうのが消費生活相談員。相談内容を聞き取り、問題を自ら解決できるようアドバイスする。特定商取引法、割賦販売法、消費者契約法、各種の業法、民法など知識や実際の経験を踏まえた非常に高いスキルが要求される。さらに消費生活だけでなく様々な相談が寄せられることから、相談を聴きながら、他の部署とつないでいくことも要求される。
 ところがこの相談員のほとんどが非正規であり、月14-16万円の収入しかなく、熱意に支えられている・・という県内の話を聞いたときに、「自治と分権」2013秋号に、相談員のインタビューが出ていたので、処遇改善に関係する部分をメモし、問題意識の整理をした。

【自治体の非正規。関連労働者① 消費相談員】

◇センターができるまで

・1968 消費者保護基本法の制定
・1969 地方自治法改正、消費者保護が自治事務として明確化
・2004 消費者基本法に全面改正~ 事業者規制で消費者保護をはかろうという消費者保護基本法では不十分として、「消費者の権利の尊重」と「消費者の自立支援」を政策の基本とすることを規定
・2009 消費者庁の設置

◇地方消費者行政の充実強化には相談員の処遇改善は急務

・90年以降、悪徳商法の増加など消費者相談の必要性が拡大しているのに、消費者行政が縮小、予算・人員が削減され続ける事態に。
・消費者庁設置関連法案をめぐる国会審議で、地方消費者行政の立て直しと支援策が焦点の1つに

①相談員の「雇い止め」問題での国会論議

≪衆- 消費者問題に関する特別委員会09年03月27日≫
 国府泰道参考人(弁護士・新しい消費者行政を実現する連絡会代表世話人)
「考えていただきたいのは、相談員の皆さんは、法律の勉強であったり、それから食品衛生の勉強であったり、非常に専門性の高い勉強をしてやっています。しかも、事業者とのあっせんをやらなきゃならないということになると、非常に高いスキルが要求されてくるわけです。私ども弁護士の場合でも、三年ぐらいはまだ駆け出しですね。四、五年やってようやく一人前、十年やったら本当の一人前というふうなことからしますと、相談員の皆さんも、やはり四、五年はやらないと一人前にならないということだと思います。そうすると、実態としては、相談員の皆さんに五年、十年やっていただかないと実は困るんです。
 ところが、公務員法制上、非常勤だと、先ほど大阪の例で言ったように、三年でやめざるを得ないという、その制度がうまく実態にマッチングしていないという問題があります。
 多くの市町村の相談員というのは、地方公務員法の三条二項の一般職の非常勤職員であったり、それから、地方公務員法三条三項三号の特別職の非常勤職員であったり、いずれも非常勤職員として雇用期間が短いという問題があります。
 私は、相談員の皆さんを、非常勤ではなくて、常勤の職員として長期に仕事をしてもらうという道をやはり残すべきだと。センターの相談員の中には、いや、私は非常勤でいいと言う方ももちろんいらっしゃいます。ですから、そういう方は非常勤でいく。それから、そうでなくて、やはり長期雇用の一般職の常勤職員もいる、そういうもう少しフレキシブルな相談員採用のシステムというのが必要じゃないかなというふうに思っています。」

≪ 同委員会 野田国務大臣答弁 09年04月16日≫ 「相談員の方たちというのは、研修を積まれて、そして実地でいろいろな被害相談に乗る中であっせんのキャリアを積み重ねていくということで、非常に年数というのは大切だということを、むしろこの委員会で明らかにさせていただいたのではないか。  これまでの地方行政のリーダーの方たちには、そういう学習をなされていなかったがゆえに、むしろ雇いどめをする方が地方公共団体の消費者行政にとって損失になるということをこの場で皆様方に明らかにしていただいて、今後はやはりそれに基づいて、それぞれの地域の消費者行政の円滑な推進のためにはそういうキャリア、ベテランの人たちが非常に大切なんだという意識を持っていただきたいと思っているところです。  政府としては、そういう望ましい地方消費者行政の検討をする中で、相談員の雇用の安定についてしっかり検討を行ってまいりたいと思います。」

②附帯決議 参院・特別委 09年5月28日
 「正規職員化を含め雇用の安定を促進するための必要な措置を早急に講じること」「待遇改善については、地方交付税措置や地方消費者行政活性化基金の活用」を図ること。

③消費者安全法(消費者庁関連法案の1つ)
 都道府県に消費者生活センター設置を義務付け、市町村は、設置の努力義務
相談員の処遇改善等の努力義務

④「消費生活相談員の処遇改善について」 内閣府・通知09年4月1日
 「09年度は消費生活相談員の処遇改善のために消費行政に係る地方交付税措置がされていること、消費生活相談の最前線で活躍している相談員の処遇改善のために活用を」と依頼。

◇相談員の置かれている実態

・2012/4/1 消費生活センター 全国で724ヵ所、相談員3391人
・相談員 常勤3.7%、非常勤75.4%、法人委託13.5%、個人委託7.4%
→ 自治体直雇用2683人。うち2557人、94%が非常勤職員

・相談員の平均年収165万円
退職金制度なし95.8%、一時金なし82.5%
(消費生活相談員に関する調査 内閣府08/11)

・土日勤務もある ・・・高知県でも、常勤1人、非正規2人体制で実施。市町村のセンターはしまっているので県内の相談のすべてがまわってくる。

【地方消費者行政の現状分析】

*「聞く」では、劣悪な労働条件でもモチベーションを保てているのは「相談者に『ありがとう』と言ってもらえる嬉しさと、社会をよくしたいという正義感」と語っている。

◇5年経過後の再受験可能に
 消費者庁通知「同じものを再度任用することは排除されないことについて、総務省と認識を共有している」として「消費者相談員の専門性に配慮した任用」「雇い止めの見直し」を求める通知を、2011年2月から毎年発出。(メモ者 「地方消費者行政の充実・強化のためのプラン」も重要)

≪2013年2月27日付 消費者庁長官名の通知 ≫

  消費生活相談員に対するいわゆる「雇止め」の見直しについて(依頼)

 平素より、消費者行政の推進に多大な御尽力をいただき、ありがとうございます。
さて、消費生活の現場である地域において、消費者の安全・安心を守っているのは、消費生活相談や啓発等を担っている消費生活相談員であることは申し上げるまでもありません。

 消費生活相談員には、関係する法令や制度を含めた、複雑化、高度化する消費者問題に関する専門的な知識だけでなく、聴き取り、助言、説得、事業者との交渉などの実務経験の積み重ねがあって初めて習得できる技能も求められます。
 消費者庁においては、平成24年度補正予算において、「地方消費者行政活性化基金」(以下「基金」という。)の上積みのため60.2億円を措置するとともに、事業の実施期限を平成25年度末まで延長しました。これにより、地方公共団体における消費生活相談員の確保・処遇改善を始めとする消費生活相談体制の維持・充実を下支えしてまいります。

 さらに、「地方消費者行政に対する国の財政措置の活用期間に関する一般準則」(平成25年2月27日付け消地協第25号。以下「一般準則」という。)を定めました。一般準則では、消費生活相談体制整備事業(消費生活相談員の配置・処遇改善)、消費生活相談員養成事業、消費生活相談員等レベルアップ事業(研修への派遣等)について、いわゆる「雇止め」を行っている地方公共団体の場合は、基金等の活用期間を原則である7年(又は9年)から、2年短縮することとしました。

 昨年発出した「消費生活相談員に対するいわゆる「雇止め」の見直しについて(依頼)」(平成24年8月28日付け消地協第107号)では、①実態として非常勤職員の行う業務の中にも恒常的な業務があること、②任期ごとに客観的な実証を行った結果として、同じ者を再度任用することは排除されないこと、について総務省と認識を共有していることを明らかにしています。
各地方公共団体におかれては、基金を活用いただきつつ、一般準則の趣旨も踏まえ、再度任用する回数に関して一律に制限を設けることなく、消費生活相談員の専門性に配慮した任用をしていただきますよう、重ねてお願いいたします。

あわせて、指定管理者制度等により地方公共団体が消費生活相談員を直接任用していない場合についても、直接任用している場合と同様、消費生活相談員がその果たしている役割に見合う処遇を受けられるよう引き続き、配慮をお願いいたします。
消費者庁においても、地方消費者行政の維持・強化を支援するため、平成26年度以降の安定した財源確保に向けて最大限の努力をしてまいります。今後とも、地方公共団体との連携・協力をさらに深めながら、地域の取組を支援してまいりたいと存じますので、御支援・御協力のほど、お願いいたします。


◇誇りをもって働き続けるために――8年やって一人前

・以前は「5年で1年前」といわれたが、インターネットがらみの被害、高齢者の詐欺の被害などが増え、聞き取り能力は、5年では難しく、「8年でやっと一人前」という状況に

・経験をつむほど「いい勘が働く」
 相談者がこのことについて話していないのではないか、何か隠しごとをしているのではないかなど、経験による直感が働くこと。

★誇りをもって働くために必要なこと

・雇い止めをなくすことと処遇の改善/ 専門的知見をたもつために自己研鑽が必要な職種。賃金があがることで自己研鑽のモチベーションもあがり、専門性も高まるという好循環を生み出すことになる。
→その結果、社会に役立っているという誇りをもって仕事ができる
 “詐欺まがいの相談など業者が逃げてしまっては対応できない。時間を争う事案が多い。/警察とすれすれのような内容の相談も多いが、警察は立件しないとうごけない。それを待っていたら業者はドロンとししまう”とのこと


【補論】 地方公務員の再任用制度との関係

 年金支給年齢の引き上げに対応するために、定年延長などあり方が検討がされているが、それまでは再任用で対応されている。

再任用については・・・
◇地方公務員法第28条の4
 定年退職者及びそれに準じる者を常勤フルタイム職員に採用するもの。
 任期は1年以内となっていますが更新することができます。ただし、上限は原則65歳として条例で定めることとなっています。

◇地方公務員法第28条の5
 定年退職者及びそれに準じる者をパートタイム職員に採用するもので、常勤フルタイム職員の規定が準用されます。

つまり、短時間勤務職員は、勤務時間が短いとはいえ、現在の常勤職員の行っている業務と「同種」(同質)の業務を担当する職員であることから、給与その他の勤務条件や身分取扱い等の人事管理上の取扱いは、勤務時間数を反映させるべきものを除き、基本的には常勤職員と同様に制度設計されている。

今後、正職員出身のパートタイム職員と同様な勤務形態の非常勤職員で、処遇の大きな違いがでる、ということで職場の運営をむつかしくすることになる、という懸念がある。

・相談員については、非正規のうちほぼ「常勤フルタイム職員」の規定がされる「任期付短時間勤務職員」は、0.2%しかなく、「特別職非常勤職員」81.0%、「一般職非常勤職員」12.1%、「臨時的任用職員」4.6%となっている。

 「任期付短時間勤務職員」は週32時間以内、3年(特に必要なものは5年)というものだが、成績主義にもとづけば再任用もさまだけられない。

 「任期付短時間勤務職員」~ 任期の定めのない常勤職員と同様の本格的業務に従事する職員として、任期を限って採用さる。処遇については、給与及び手当(扶養手当、住居手当等の一部の手当を除く)が支給され、休暇制度は任期の定めのない常勤職員と同様。

 以下のような総務省の見解もあり、次善の策として、どう処遇を改善するか、研究が必要。
 
≪総務省 2013年3月15日 消費者委員会への報告≫
【「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議」に対する総務省の実施状況について】 

◇ 消費生活相談員の雇止めの抑止・処遇改善等(消費者庁、総務省)

消費生活センター・相談窓口の現場を担う消費生活相談員には専門知識や経験の蓄積等が求められるにも関わらず、そのほとんどが臨時・非常勤職員として任用されている。相談員の専門性が高まったところで雇止めとなれば、相談員や地方自治体、地域住民のそれぞれにとって大きな損失となる。雇止めの抑止に向けて、消費生活相談員について一律に任用回数の制限を設けることは適切ではないことについて、自治体に対する周知を徹底すべきである。
また、雇用期間・処遇面での改善を図るための選択肢のーつとして、消費生活相談員が「任期付短時間勤務職員制度」の対象となり得ることを明確化するとともに、専門性を要する消費生活相談員の雇止めを抑止し、適切に処遇するためのより柔軟な専門職任用制度の在り方について、検討を深めるべきである。また、消費生活相談員の専門職としての評価を高めるための資格制度やその法的な位置づけの在り方についても、早期に成案を得るべきである。なお、消費生活相談業務の民間委託や指定管理者制度の導入については、その業務特性や住民に対するサービス水準への影響等を十分に検証した上で判断されるべきである。

以上についての実施状況として

1.消費生活相談員に一律に任用回数の制限を設けることは適切ではないことについて、自治体に対する周知を徹底すること

総務省としては、①実態として非常勤職員の行う業務の中にも恒常的な業務があること、②任期ごとに客観的な実証を行った結果として、同じ者を再度任用することは排除されないこと、について消費者庁と認識を共有している。
消費者庁が「地方消費者行政の充実・強化のための指針(平成24年7月)を地方公共団体に送付した際に添付された内閣府特命担当大臣(消費者)名のメッセージについて、総務省の下記会議において臨時・非常勤職員に関する対応を説明する際に、同メッセージに留意するよう呼びかけている。
・全国人事委員会事務局長会議(平成24年8月28日)
・全国人事担当課長・市町村担当課長会議(平成24年8月29日)
・全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議(平成25年3月4日)

2.消費生活相談員が「任期付短時間勤務制度」の対象となり得ることを明確化すること

任期付短時間勤務制度については、総務省で、毎年運用状況に関する調査を行っており、その調査結果を地方公務員月報(総務省自治行政局公務員部公務員課編)において公表しているところである。
任期付短時間勤務制度の活用を促すため、各地方公共団体における任期付短時間勤務職員の採用事例も公表しており、平成24年10月号の地方公務員月報で公表した調査結果において、消費生活相談員についても任期付短時間勤務職員の採用事例として紹介している。
また、平成24年5月号の地方公務員月報の「任期付短時間勤務職員の活用について」という記事の中で、任期付短時間勤務制度を充てるポイントとなる要素や留意点を明らかにしている。

3.より柔軟な専門職任用制度の在り方について検討を深めること
総務省では、これまでも地方公共団体の臨時・非常勤職員の問題について実態調査や検討会での検討を行い、その任用の適正化や処遇改善等に向けて対応を行ってきている。
今般、改めて臨時・非常勤職員の実態を把握するため、全地方公共団体の臨時・非常勤職員の実態調査を行い、現在調査結果を集計しているところ。今後、実態調査の結果を踏まえ、議論をしていく予定。

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