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生産調整、戸別所得補償等の廃止~大規模経営ほど崩壊

  生産調整(減反)を見直し、生産調整協力農家に支払われる直接支払を大規模農家に絞り込む・・・この政策は、大規模経営ほど影響がおおきい。「競争力強化」といって後押しする論調を、現場の実態をまったく知らない・・・と農協情報研究所。

◇生産調整協力水田作農家に支払われる米所得補償金の年受け取り額
・作付面積0.5㌶未満の農家2.7万円、3.0〜5.0㌶42.6万円。10-15㌶94.8万円、20㌶以上155.2万円
・農家総所得に対する比率は、それぞれ0.6%、8.1%、10.3%、10.2%

◇廃止が言われている水田活用補助金との合計
 1.0%、15.0%、31.3、37.4%

 と大規模経営へのインパクトの大きさを示している。

 同研究所は、「補助金削減ではなく増強をこそ考えるべきときである。とりわけ大規模・効率化もままならず、小規模兼業農家が辛うじて支えている中山間地域の水田農業の支援の強化は急務である。それが環境保全や地域活性化 において持つ 絶大な価値に気づくべきである。」と主張している。
【農政「改革」 政府の尻叩く中央大手マスコミは現実知らずで筋違い 農業情報研究所10/27】
 (11/6 数字の訂正。いっそうインパクトの強さがあきらかに)
【既発表記事「政府・与党 農政改変に着手・・・」付表の訂正 大規模米農家の所得の4〜5割が所得補償・水田活用補助金】

【農政「改革」 政府の尻叩く中央大手マスコミは現実知らずで筋違い 農業情報研究所10/27】
 安部政府と与党の農政「改革」の方向が見えてきた。漏れ聞こえくるところによると、生産調整(減反)を見直し、生産調整協力農家に支払われる直接支払を大規模農家に絞り込むということだ。この大規模農家とは、北海道で10㌶以上、都府県で4ヘクタール以上という憶測も流れている。ただし、生産調整をどう見直すかはまだはっきりしない。産業競争力会議の民間議員が言うように廃止となれば、このような直接支払自体が消えてしまい、大規模農家に支払う新たな直接支払、生産調整と関連づけられない直接支払を創設するのかどうかが問題になる。
 ともかく、はっきりしているのは、小規模農家への補助金を減らし、大規模農家に支払を集中する一方、浮いた金は中山間地など大規模・効率化が難しい地域の支援にも充てようということのようだ。

減反:自民、反発抑制へ激変緩和策提示 毎日新聞 13.10.26
減反補助金、北海道内10ヘクタール以上 政府・与党が対象絞り込み 北海道新聞 13.10.26

 こうした政府・与党の動きを受け、予想どおり、中央大手マスコミには早速、これを後押し、さらには生産
調整そのものと生産調整協力農家への直接支払(戸別所得補償)、米販売価格の大幅値下落に際して支払われる米価変動補填金、大豆や麦に転作する農家への水田活用直接支払を3年後に廃止すべしとする産業競争力会議民間議員の提言さえ支持する論調が現れた。

 今日(10月27日)付産経新聞が掲載する「主張」は言う。

 減反見直し 競争力強化へ避けられぬ(主張) MSN産経ニュース 13.10.27
「減反に応じることを条件に、国はコメ農家に各種の補助金を支給している。民主党政権が導入した戸別所得補償制度は、自民党政権下でも経営所得安定対策と名称を変えて基本的に今も続いている」
「減反は四十数年来、兼業・小規模農家を保護する名目で続けられてきた政策だけに、こうした農家を票田とする自民党の一部にも反対論は根強い。減反による価格維持の恩恵を受けてきた農業団体などの反発も必至だ」、 しかし、「安倍晋三首相は、農業を成長戦略の主要分野と位置づけ、これまでも「産業として伸ばしていく」と再三、言明してきた。首相にはこうした抵抗勢力にひるむことなく、改革姿勢を貫いてほしい」。減反廃止をう要求する民間議員の提言にも「しっかりと耳を傾けるべきだ」。

 こういう議論が現実を全く知らない筋違いの議論であることは、つい先日指摘したばかりだ(政府・与党 農政改変に着手 生産調整、戸別所得補償・・・廃止 大規模経営こそ崩壊の危機,13.10.25)。
 
例えば、生産調整協力水田作農家に支払われる米所得補償金の年受け取り額は、作付面積0.5㌶未満の農家で2.7万円、0.5〜1.0㌶農家で7.0万円、1.0〜2.0㌶農家で14.7万円、2.0〜3.0㌶農家で24.6万円、3.0〜5.0㌶農家で42.6万円だ。その農家総所得に対する比率は、それぞれ0.6%、1.7%、3.4%、5.6%、8.1%である。たったこれだけの補助金が、どうして「兼業・小規模農家」を保護し・大規模化を妨げてきたと言えるのだろうか。
 逆に、10〜15㌶、15〜20㌶、20㌶以上の農家では、この比率は11.9%、10.3%、10.2%と高まり、やはり廃止が提言されている水田活用補助金と合わせれば、この比率は実に31.3%、25.3%、37.4%にもなる(10㌶未満農家では15.0〜1%)。10㌶以上農家は、この補助金を失えばやっていけなくなるのは明らかではないか。保護されているのは「兼業・小規模農家」というより、むしろ大規模農家である。生産調整廃止で米価が下がり、かつ補助金がなくなれば、大中小規模農家すべてが消え去り、残るのは生産される米の大半が自家用米か縁故米で、販売額が微小な零細農家だけであろう。

 「改革」がもたらすのは水田農業の総崩れであり、意欲ある担い手の創出どころではない。

 この「主張」はその一方で、「農業改革にあたっては、中山間地の棚田保全といった環境保全の観点などから配慮すべき農地があるのも事実だ。農業の多様な側面に目配りする知恵は不可欠だ」とも言う。だが、そのすぐあとにつづくのは「生産性を無視した改革は成功しない。競争を避ける政策は結局、農家から創意工夫をこらす意欲を奪うだけだ」との文言だ。これでは、「生産性を無視した」中山間地支援など無駄だと言っているようなものではないか。経済的に非効率な中山間地など切り捨てろと言うに等しい。

 もっと聞き捨てならないのは、金を稼ぐための「創意工夫」の意慾を持たない農家をこき下ろしていることだ。これは、「環境保全をはじめとする多面的機能や文化の豊かさ」(星寛治 「破壊される日本の伝統と文化」 農業協同組合新聞 13年10月20・30合併号 TPP特集保存版)が、農家(農民)が何百年こわたりこらしてきた「創意工夫」の賜物であるという現実を全く知らないか、無視する者だけが言えることだ。彼らの「創意工夫」は農民・農家の足元にも及ばない。まさしく「日本の伝統と文化」を破壊するのみ、彼らこそ消えてなくならねばならない。

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