東電 除染費負担を全面拒否~やはり破たん処理しかない
政府が、金融機関を救済するために東電の破たん処理をしないという方針をとっているので、足元を見られ、やりたい放題となっている。
東電は“土地や建物の価値が減った分の賠償は進めており、ここに除染費用も含まれているため「二重払いになる」”という主張しているとのこと。
賠償は個人の生活の再建のためのもの、除染は加害企業として国土の回復への責任である・・・ 汚染水対策への国費投入、コストカットによる作業員の処遇悪化、人手不足(ロイターが詳しいレポートをしている)。賠償スキームは破たんしている。モラルハザードを防ぐためにも、原発事故がおこれば電力会社は破たんするし、金融機関なども免罪されない、ということを明確にさせなくてはならない。
【東電 除染費負担を全面拒否 「賠償と二重払い」主張 東京10/28】【特別リポート:福島作業員を蝕む「違法雇用と過酷労働」ロイター10/25】
破たん処理を拒否する理由に政府は電力供給が・・というが。事業は継続できる。JAL「再建」など多くの事例がある。
以下は、ロイターからの引用。
「現場の下請け作業員は慢性的に不足しており、あっせん業者が生活困窮者をかき集めて人員を補充、さらに給与をピンハネするケースも少なくない。下請け企業の多くは原発作業に携わった経験がなく、一部は反社会的勢力にも絡んでいるのが実態だ。」
「待遇改善が進まない背景には、東電自体が金融機関と合意した総合特別事業計画の下で厳しいコストカットを要求されているという現実がある。同社はすでに2011年の震災後に社員の賃金を20%削減した。業務委託のコストも厳しく絞りこまれており、結果的に下請け労働者の賃金が人手不足にもかかわらず、低く抑え込まれているという現実を生んでいる。ロイターがインタビューした福島第1の現場作業員の日当は平均で1万円前後で、一般の建設労働者の平均賃金よりはるかに低い。」
【東電 除染費負担を全面拒否 「賠償と二重払い」主張 東京10/28】東京電力が、数兆円に上ると想定される福島第一原発事故による放射能汚染の除染費用を全面的に返済しない方針を政府に伝えていることが分かった。費用は政府が復興予算から立て替え払いし、東電が後に返済することが法律で定められている。しかし、東電は「家や土地に対する損害賠償に加え、除染費用まで払えない」などと主張。このまま返済が滞れば、復興予算に穴があく事態もあり得る。
東電は政府が四回にわたって請求した除染費用四百三億円のうち六十七億円しか払っていない。残る支払いが遅れている理由を「書類を精査しているため」と説明してきた。
しかし、複数の政府関係者によると、東電は既に返済が遅れている分だけでなく、数兆円と想定される将来の負担についても返済を拒否する方針を政府側に伝えた。東電取締役は、政府・与党の関係者に対し、土地や建物の価値が減った分の賠償は進めており、ここに除染費用も含まれているため「二重払いになる」などと強調しているという。
これに対する政府・与党内の考え方はばらばらだ。
経済産業省資源エネルギー庁は、東電に理解を示し、除染費用を国が負担するよう財務省などと協議を始めており、与党内でも国費負担論が出ている。
一方、除染を担当する環境省では、東電に延滞金を科すことも検討している。同省幹部は「汚染水対策が大変だから、などの理由も挙げ、東電は全く払おうとしない。ゼロ回答だ」と憤る。
返済拒否の理由について東電に確認を求めたが、担当者は「(除染の)請求内容を個別に確認させていただいて適切に判断したい」とコメントした。
事故後に施行された除染特別措置法では、東電が除染費用を負担することが明記されている。実質的に国有化されている東電が、巨額の除染費用を支払うのは難しいため、電力各社が負担金を出し合い、そこから東電が資金を受け取り、国に返済する仕組みが既にできている。
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