ドイツの電気料金が高いのはなぜ?~FITが原因説の真相
「ドイツは太陽光発電の導入量が世界一多い。風力発電でも世界第3位だ。しかし、電気料金は日本よりも高額だといわれている。ドイツは固定価格買取制度(FIT)を導入しているため、再生可能エネルギーが大量普及すると、電気料金が上がる。FIT支払いのための原資が必要だからだ。ドイツの電気料金上昇の犯人は再生可能エネルギーなのだろうか。」と問いかけ・・・
富士通総研の上席主任研究員である梶山恵司氏の分析を紹介している。(後段に「正解」)
◆ドイツの電気料金が高い理由は?
a. 太陽光発電 b. 風力発電 c. 税金 d. 電力の輸入 e. 実は高くない
◆正解:
c. 税金
◆ミニ解説
まずはドイツの家庭用電気代の傾向を把握しよう。
富士通総研の上席主任研究員である梶山恵司氏は、2012年9月に「再生可能エネルギー拡大の課題-FITを中心とした日独比較分析」と題した研究レポートを発表している。同レポートでは「(ドイツは)2009年からの太陽光の急拡大により家計の負担が増している」「ドイツの家庭の電気代の推移をみると、2000年の14セント/kWhから、2011年には25セントへと大幅に上昇してきている」と指摘しており、電気代の上昇傾向は確実だ。
ただし、最大の原因は再生可能エネルギーではないようだ(図1)。図1では電気料金の内容を6種類に分解して傾向を見せている。2011年の数値を見ると、FITの原資である「再エネ買取」(白色)は3.53セント/kWhであり、総額の25セントのうち14%を占めるにすぎない。従って、回答選択肢のうち「a. 太陽光発電」と「b. 風力発電」は誤りだ。
梶山氏はドイツの家庭用電気代を日本の電気代と比較している(図2)。1ユーロを当時の120円で円換算し、日本の料金の例として東京電力の場合を挙げている。図2では電気代を税金、再生エネルギーの買取、その他に分けて示した。
まず、電気料の絶対値を見るとドイツの方が高い。ドイツの30円に対して、東京電力は26.7円だからだ。従って、回答選択肢の「e. 実は高くない」は誤っている。再生エネルギーの買取を見ると、ドイツが4.3円、東京電力が0.3円なので、ドイツの方が14倍以上高い。しかし図2で重要なのはそこではない。もともと安価なドイツの電気代(16.3円)を高額(30円)に変えているのは税金だという点が重要だ。
日本の場合、電気代に掛かる税金は消費税(5%)のみ。ところが、梶山氏によれば、ドイツでは付加価値税(16%)、電気税(8%)、自治体税(7%)が加わり、合計して31%である。
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