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障害者総合支援法の現状2013.10(メモ)

 「議会と自治体」2013/10、秋山千尋さんの「障害者総合支援法施行と障害者福祉の課題(上)」から、障害者福祉支援法の施行条件を検証した部分の備忘録。
 国家的詐欺とも言える「障害者自立支援法」の延命・・・「総合支援法」。自己責任を基本に、「自立」を行政が支援するという哲学が名称にしっかりあらわれている。
 ~ 福祉分野に市場化路線が持ち込まれ、体系が極めて複雑かつ頻繁に変わる・・地域での課題を検証するためにも、折に見て整理する必要に迫られる。
 複雑にし、理解できなくし結果として無関心をつくる・・・これも支配の一方法なので・・・。

【障害者総合支援法の現状2013.10】

◇法の輪郭

・骨格提言60項目のうち、総合支援法にそのまま反映されたのは「法の目的と理念」だけ。21項目は不十分で他はなし。/実質的には、自立支援法の一部改定。司法の和解合意を無視した暴挙
・介護保険優先原則の継続  自立支援法7条がそのまま継続
→ 介護保険制度には「社会参加」のための支援サービスがなく、必要な支援が利用できない
→ 障害者福祉では、低所得者の障害者の利用が無料/65歳になったとたん1割負担が発生する。

◇難病「等」に拡大~その実態

・対象となる疾病は、政令でさだめられたもので、現状は、「難病患者等居宅生活支援事業」(市町村の補助事業)の対象130疾患、悪性関節リウマチの人のみでスタート(対象750万人)
・障害者手帳がなくても指定疾患の診断書(特定疾患の場合は受給者証など)で申請可能
→ 障害程度区分認定が必要。/難病の特徴踏まえた認定が必要だが・・・ 利用が減っている
・高次脳機能障害~ 器質性精神障害として診断基準はあるが、法文上に名称がないことから、多くの自治体で対象からはずされてきた。また、失語症は同障害の代表例だが、当事者が知らない例が多い

◇支給決定   コンピュータ判断の比重増 

・これまで/106項目のうち79項目をコンピュータ判定し、日常生活など7項目を追加し一次判定。認定委員会で行動障害など20項目を反映させ、医師の意見書、特記事項を勘案し二次判定。
・支援区分では/ 80項目に減り、すべてコンピュータ判定 ~ 程度区分認定より後退の危険性がある。
→ 法は、支援決定のあり方を3年後に見直しされるが、障害者やその家族の意見を聞くという規定になっていない

◇支援(サービス)体系 ~大枠は変化なし

 総合支援法は、介護給付、訓練等給付、地域生活支援事業という自立支援法の「新体系」の大枠と同じ
→ 骨格提言の無視

①グループホームとケアホームの一元化

・グループホーム、89年に知的障害者向けに開始。ケアホーム、03年自立支援法で導入
→「骨格提言」は、ケアホームを4-5人の規模で、家庭的な環境を出来るとして統一が提案されていたが
→ 厚生労働省は、障害者の高齢化・重度化がすすみ介護が必要なグループホーム入居者が増えること、現に介護の必要な人とそうでない人をいっしょに受け入れる両方のサービス指定を受けている一体型の事業が半分になっていることをあげている。

・報酬単価が低い方に合わされることの懸念
きょうされん「グループホーム・ケアホーム基礎調査等報告書」(2013/5)
 利用料(家賃、食費含む)4-5万円前後多数。正職員22.4%。自治体の単独補助制度59.3% ~ 報酬単価が低く職員が不足、看護婦配置や医療連携が確保できる報酬体系を、24時間支援の確保など・・様々な要望。

→ 厚労省/一元化にともない外部サービスの利用規定を見直して外部の居宅支援事業者と連携すること、1人暮らしをしたいとう要望にこたえ本体居住と連携させたアパートの一室でも可能な「サテライト型居住」のしくみを検討/ が、この見直しも基本報酬の引き上げ、職員の処遇改善なしには実効性はない。

②重度訪問介護の対象拡大

・2014年より、知的・精神障害者にも拡大を予定/
・対象は、これまで障害者程度区分4以上かつ二肢以上にまひがあり「歩行、移乗、排尿、排便」のいずれもできない人/ 身体介護、家事援助、見守り、外出時の介護など総合的に提供/ 長時間の利用を想定
→が、国庫補助基準を立てに自治体が支給抑制する問題が発生している。
・現在、知的・精神障害の重度者には「行動援護」がある/ が、「問題行動を抑制する」ことが主目的で、重度訪問介護とは大きな乖離がある。

③地域生活支援事業の拡大/今年4月より。必須事業

・市町村/市民後見人の育成・研修。手話奉仕員による意思疎通支援者の要請、手話通訳・要約筆記者の派遣
・県/とくに専門性の高い手話通訳者、要約筆記者、触手及び指点字を行う人の養成・研修。意思疎通支援者の派遣での市町村相互間の連携調整など広域対応


◇地域移行~保護施設や矯正施設の退所者も対象に(2014年度)

・現在、「地域移行支援」は、施設入居者、精神科病院入院患者の計画策定、相談に応じた支援。「地域定着支援」は、居宅で単身生活する人に常時連絡体制の確保による緊急時訪問など各種の支援/いずれも個別給付

◇地域生活の基盤整備~計画づくりに障害者参加

・現在、自治体は、3年ごとに「障害福祉計画」の策定、各自治体で自立支援協議会を法的に位置づけ
・総合支援法/ 協議会の名称は自由、構成員に障害者を含むことが明記

◇利用者負担〜 応益負担変わらず

・「骨格提言」は、原則無償とし、高額収入者には応能負担。/党は、障害に関する不利益は、収入に関係なく無償という国際社会の当然のあり方を提案。
・総合支援法/支援の量と負担が連動する。配偶者や家族の収入認定がおこなわれる。の基本は変わらず。/「応能負担額」より一割負担が低ければ一割負担を優先させるもの

◇自立支援医療の低所得者世帯の無料化~手付かずの「重要課題」

・「基本合意」では、自立支援医療の低所得者無料化は「当面の重要な課題」とされたが、/13年度も引き続き検討課題で実現せず。/医療の負担上限額も見直しがされず。
・育成医療の中間所得層の負担軽減も「経過措置」。大きな運動で昨年からの継続がなんとか決まった状態

◇相談支援

・市町村または委託法人による相談支援、計画策定相談支援、地域移行支援、成人後見人利用支援など
・障害福祉サービス利用者全員が、支給決定前に「サービス等利用計画案」提出の義務付け(12年度)
→ 利用計画案は、自治体間の格差が大きく混乱を生んでいる(要調査)
→ 作成を担う「相談支援専門員」が圧倒的に不足、利用計画策定は単価が低く人件費を確保するためには100件担当が必要。相談支援事業所も偏在。/〜 これでは谷間におかれてきた難病、発達障害など含め身近な支援態勢が整備できていない。
・障害児の利用計画案 発達支援を十分に踏まえた計画づくりできる事業者は少数

☆相談支援の複雑さに加え、利用計画案の作成のみが強調され、本来の相談支援がゆがめられている。
~相談支援は「当事者との信頼関係を基礎にした相談活動を通じて、その人の願うくらしを自覚化し、必要な社会資源や地域のネットワークを活用しながら当事者の望むくらしの実現をはかる総合的、社会的な取組」(「障害のある人とともに歩む相談支援」KSブック)

◇報酬と人材確保~月払い制度に戻し国の責任で処遇改善を

・「基本合意」は、事業所の報酬を日払いから月払いに戻すことが要求されたが、政府は先送り。
・処遇改善は、交付金から報酬加算となり、利用者負担にはねかるものに変更
→ 国の責任で処遇改善を

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