そのうち汚水タンク群に近付けなくなる?
タンクからの汚染水漏れ、4か所で高線量を確認。最大毎時約1800ミリシーベルト。4時間浴び続ければ死亡する線量に当たる。配管からも新たな漏れも・・・
パッキンを使った組み立て式は数は少ないが汚染水の7割を溜めている。3-5年という耐久性。あちこちで漏れだしたら、それこそタンク群に近付けない、手のつけられない状況になるのではないか、と危惧する。
政府は、五輪招致を前にして、事態を小さく見せようとしているとしか思えない。
【タンク4カ所で高線量=最高毎時1800ミリシーベルト-福島第1汚染水漏れ・東電 時事9/1】
【配管からも汚染水漏出 福島第一、タンク見回りを増員9/1】
【汚染水 ボルト穴から漏出か 東電見解 タンク底の鋼板付近 東京8/31】
【五輪招致への影響、指摘も 汚染水問題、各国が報道 共同9/2】
【タンク4カ所で高線量=最高毎時1800ミリシーベルト-福島第1汚染水漏れ・東電 時事9/1】東京電力福島第1原発で放射能汚染水を保管しているタンクから水漏れがあった問題で、東電は31日、同原発敷地内の同型タンク群4カ所で高線量を確認したと発表した。このうち2カ所についてはこれまでに高い線量が確認されていた場所だが、さらに値が上昇し、最大毎時約1800ミリシーベルトだった。4時間浴び続ければ死亡する線量に当たる。
残りの2カ所は今回新たに判明。東電担当者は「4カ所とも汚染水が漏れている可能性は否定できない」としている。
接合部にゴム製のパッキンが使われている同原発内の同型約350基の安全性に対する懸念がさらに高まるのは確実。汚染水の保管は危機的状況が続いている。
【配管からも汚染水漏出 福島第一、タンク見回りを増員9/1】【小池竜太】東京電力福島第一原発の4カ所のタンク付近から高い放射線量が検出された問題で、東電は1日、このうち1カ所で新たな汚染水漏れを確認したと発表した。タンク間をつなぐ配管の継ぎ目からで、タンク本体だけでなく、配管にも危険が潜む現状が浮き彫りになった。東電は2日以降、見回りの作業員をこれまでの10人程度から60人まで大幅に増やす。
漏れが見つかったのは、先月19日に約300トンの汚染水漏れが分かったタンクがある「H4」と呼ばれる区画から、南西に約100メートル離れた「H5」区画。
31日に見回り中の作業員が継ぎ目部分の外側の保温材を押したところ、水滴が落ち、床面を測ると毎時約230ミリシーベルトを検出。保温材を外したところ、配管とタンクをつなぐ継ぎ目部分から約90秒に1滴の割合で漏れているのを見つけた。継ぎ目のボルトを締めると漏れは止まったという。
また、31日に表面で毎時1800ミリシーベルトが検出された「H3」区画のタンクを1日にあらためて調べたところ同1100ミリシーベルトだった一方、同じタンクの反対側で同1700ミリシーベルトを検出した。ただ、主に透過力が弱いベータ線で、防護すれば遮蔽(しゃへい)できる。東電は今後、このタンクの汚染水を別のタンクに移す方針。
【汚染水 ボルト穴から漏出か 東電見解 タンク底の鋼板付近 東京8/31】東京電力福島第一原発で原子炉を冷やした後の処理水三百トンがタンクから漏れた事故で、東電は三十日、タンク底の鋼板をボルトで締めている付近から漏れた可能性が高い、との見解を示した。東電は、鋼板の接ぎ目を五回にわたって改良してきたことも明らかにした。問題のタンクは、改良が加えられる前のタイプで、福島第一には百二十基ある。
東電の説明では、漏えいが見つかった後、タンク内の水をポンプで抜く作業がほぼ終わった段階でも、外の堰(せき)に水が漏れ出てくる状態だった。その後、鋼板同士を締め付けるボルト辺り(水位は約四センチ)で、水位が安定したという。
水が抜ける速さから、東電が漏れた場所の大きさを試算したところ、長さ二・五センチ、幅一ミリ程度だという。
ボルト穴の周辺もパッキン(止水材)を使っているため、設計上はボルト付近で漏れは起きないはずだが、他の場所に比べると弱い。
ボルト締め型のタンクでは四回の水漏れが起きている。東電は、底の鋼板をつなぎ合わせた部分をコンクリートで固め、遮水シートをかぶせるなどの改良を繰り返し、最終的にはボルトやボルト穴の周辺を止水材で覆う工法に落ち着いた。
東電関係者は「タンクの底は、中に汚染水を入れた後は修理ができないため、改良を重ねた」と強調。ボルト締め型のタンクは、底の接ぎ目が弱点だと認識していたことも明らかにした。
【五輪招致への影響、指摘も 汚染水問題、各国が報道 共同9/2】東京電力福島第1原発で汚染水が海に漏出している問題が、各国メディアの注目を集めている。深刻な海洋汚染の脅威が現実となりつつある事態が連日報じられ、東京がマドリード、イスタンブールと争う五輪招致への影響も指摘されている。
「日本はもぐらたたきにうんざりしている」。米CNNは相次ぐトラブルへの政府、東電の対応が後手に回っている現状をそう例えた。地上タンクからの漏出が「懸念材料のカタログに新たに加えられた」と表現。「汚染水の海洋放出や土壌の凍結措置も考えられるが、重大な技術、政治的な挑戦となるだろう」との専門家の分析を報じた。
「約千個あるほかのタンクの耐久性にも疑問を生じさせる」とした米紙ニューヨーク・タイムズは、一連の問題が東電への視線を厳しくし、海洋放出の合意形成を難しくしたとの見方を伝えた。
英BBC放送は、敷地内のプールにある使用済み核燃料の危険性も指摘し「日本が国際的な支援を求めないのは大きな過ちだ」との声を伝えた。
事故後、2022年末までの脱原発を決めたドイツでは、保守系のフランクフルター・アルゲマイネ紙が「透明性は皆無」の見出しで、東電の変わらぬ 隠蔽 (いんぺい) 体質を批判。「約束した社内改革は口だけにすぎなかった」と、 広瀬直己 (ひろせ・なおみ) 社長の指導力に疑問を投げかけた。
20年の夏季五輪開催都市が決まる国際オリンピック委員会(IOC)総会は7日(日本時間8日)。「日本が効率的な五輪運営をすることに疑いはないが、まだ原発の危機に取りつかれたままだ」(カナダ紙)など、原発事故と五輪をからめた報道も出てきた。
候補地を抱えるスペインの地元メディア、エウロパ・プレスは「原発の問題が未解決であることは東京の五輪招致にも影響を与えるだろう」との元閣僚の発言を報じた。
政府が原発建設を急ぐ中国でも関心は高い。
共産党機関紙、人民日報の地方支社の幹部は短文投稿サイト「 微博 (ウェイボ) 」に「(日本は)平和憲法の改正を図り、軍国主義が台頭し、大量の汚染水を公海に流している」と投稿し、五輪の東京開催への反対を呼び掛けた。
国営通信の新華社は「原発の危機が東京の招致に暗い影」と報道。安全性を訴える 猪瀬直樹 (いのせ・なおき) 東京都知事の発言などを伝える記事を「日本政府は危機を見くびり続けているが、内外で高まる懸念にIOCが耳を傾けるかどうかが注目」と結んだ。
自国産の水産物などにも風評被害が拡大する韓国では、 日本政府が9月の早い時期にも抜本的対策を打ち出すことについて、 五輪招致への悪影響を懸念し「手をこまねいていた姿勢から急変した」(聯合ニュース)と分析。「根本的な事態解決は期待できない」と懐疑的な見方を伝えている。(パリ、ベルリン、北京、ソウル、東京共同)
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