安保理が認めてない攻撃は違法 国連事務総長
「軍事力の行使は国連憲章51条に基づく自衛権の行使か、安保理が認めた時にのみ合法だ」と当然の警告を発した事務総長の発言。これまでの軍事介入と違って米国内の反対の声が強い。
さて日本政府。今度も「中立性の原則に反する」と異議をとなえるのだろうか。というか、事務総長の役割にそんな原則はないし、国連の価値を守る立場と踏破る立場の「中立」とは、「踏破る立場を黙認しろ」という極めて偏った主張であることがよくわかる。
【シリア攻撃に反対=国連総長、オバマ政権けん制 時事9/4】
【シリア軍事介入、6割反対=議会承認に影響も-米世論調査 時事9/4】
日本共産党の志位さんの談話。英訳もして、国連常任理事国をはじめ関係各国の駐日大使館、国際機関に送り、主要国の大使館には国会議員が訪問し働き掛けている。 外交でも明確な改革方向を示し、実践している。
【シリアへの違法な軍事攻撃の企てに強く反対する 8/30 日本共産党委員長 志位和夫】
【シリア攻撃に反対=国連総長、オバマ政権けん制 時事9/4】【ニューヨーク時事】国連の潘基文事務総長は3日の記者会見で、シリアでの化学兵器使用疑惑を受けてオバマ米大統領が決断した対シリア武力行使について、「いかなる懲罰的な措置も、それがさらなる流血の阻止や紛争の政治解決に向けた努力に与える影響をわれわれは考慮しなければならない」と述べ、シリアへの武力行使に反対する姿勢を明確に示した。
事務総長はさらに「軍事力の行使は国連憲章51条に基づく自衛権の行使か、安保理が認めた時にのみ合法だ」と述べ、米国による安保理決議なしの単独行動の法的根拠に疑問を呈した。潘事務総長が米国をこれほど強い表現でけん制するのは異例だ。
【シリア軍事介入、6割反対=議会承認に影響も-米世論調査 時事9/4】【ワシントン時事】3日発表の米ワシントン・ポスト紙とABCテレビの合同世論調査結果によると、米国によるシリアへのミサイル攻撃に反対する人は59%に上り、支持の36%を大幅に上回った。調査は8月28日から9月1日にかけ、全米の成人1012人を対象に電話で実施された。
オバマ大統領はアサド政権が化学兵器を使用したと断定し、限定的な軍事攻撃を議会に承認するよう求めている。こうした世論の動向は、9日以降にシリア軍事介入の是非を議決する上下両院の動きに影響を与えそうだ。
【シリアへの違法な軍事攻撃の企てに強く反対する 8/30 日本共産党委員長 志位和夫】一、内戦が続くシリアに対し、米国などが、政府軍が反政府勢力に化学兵器での攻撃をおこなったと一方的に断定し、軍事攻撃をおこなう構えを見せている。化学兵器の使用は、誰によるものであれ、人道と国際法に反する重大な残虐行為であるが、事実の解明は現在、国連の調査団が進めている途上にある。
そうしたもとで、国連安保理の決議もないまま一方的に軍事攻撃を強行することは、明白な国連憲章と国際法違反である。日本共産党は、米国などによるシリアへの攻撃計画に強く反対する。
一、米国などは、化学兵器使用の禁止という「国際規範への違反」を口実にシリア攻撃を正当化しようとしているが、軍事介入で化学兵器問題を解決することはできない。
シリアは、化学兵器の全面禁止と全廃を義務付けた化学兵器禁止条約に加入していない数少ない国の一つである。国連が中心となってシリアでの化学兵器使用をめぐる事実を明らかにし、国際社会が一致して化学兵器の廃棄を迫ることこそが、この問題の解決の道である。一方的な軍事攻撃は、こうした国際社会の協力に障害をもちこむとともに、シリア国内での化学兵器拡散という極めて重大な結果をもたらす危険がある。
一、潘基文(パンギムン)国連事務総長は、内戦の双方の当事者に外部から軍事的支援をおこなうことに対して、「軍事の論理が、一つの国を完全な破壊の瀬戸際に追いやり、地域を混乱に陥れ、世界規模の脅威をもたらしている。なぜ火に油を注ぐのか」ときびしく警告している。外部からの軍事介入は、さらなる人的被害と内戦の激化をもたらし、地域全体に破壊的な影響を及ぼすものである。シリア問題の軍事的解決はありえないことを、強調しなければならない。この点で、国連安保理決議なしに外部から軍事介入したイラク戦争などの過去の経験から学ぶべきである。
シリア問題の政治解決を求める国連総会決議(2013年5月15日)は、シリア政府と反政府勢力との双方に、真剣な政治対話を開始し、双方を包括する暫定政権樹立をはかることをよびかけている。国際社会は、政治対話による解決にむけて、紛争当事者を交渉の席につかせるためのあらゆる外交努力を強めるべきである。
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シリア問題での談話 資料(抜粋)
日本共産党の志位和夫委員長が30日に発表したシリア問題での談話で紹介した潘基文(パン・ギムン)国連事務総長の発言と国連総会決議の抜粋は次の通りです。
ハーグの平和宮殿(国際司法裁のある建物)での国連事務総長の演説(8月28日)から
シリアでは、破滅的な内戦が10万人以上の命を奪い、宗派間の緊張に火を付け、地域全体の不安定化を作り出している。今われわれはこの紛争で最も重大な瞬間に到達している。
最近の激化によって恐ろしい犠牲が生まれている。21世紀にわれわれが見たことがないような映像を通じて、化学兵器の亡霊が立ち現われている。
誰によるものであれ、いかなる理由であれ、どのような状況であれ、化学兵器の使用は残虐な国際法違反となるだろう。
事実の確定が不可欠である。国連の調査チームがそれをやるために今現地に入っている。
攻撃の数日後、チームは貴重なサンプルを採取し、被害者と目撃者の聞き取りをした。その仕事には時間が必要である。
この平和宮殿で、こう言おうではないか。平和にチャンスを。外交にチャンスを。戦闘をやめて交渉を始めよう、と。
そして法の支配にささげられたこのホールで私はこういう。国連憲章を順守しよう、と。
双方に武器を供給している者たちにたいし、われわれは問わなければならない。さらなる流血以外に、その武器はなにかを達成したのか、と。
軍事の論理が、一つの国を完全な破壊の瀬戸際に追いやり、地域を混乱に陥れ、世界規模の脅威をもたらしている。なぜ火に油を注ぐのか。
われわれは、当事者を交渉の席に着かせるためにあらゆる方策を追求しなければならない。国連とアラブ連盟の共同特使は、努力を続けている。
なによりも国連の安全保障理事会が、国連憲章に基づく道義的政治的責任を果たさなければならない。
シリア問題の政治解決を求める国連総会決議(5月15日)から
25、シリア当局とシリア反政府勢力をそれぞれ代表する信頼でき、権限の与えられた、相互に承認できる交渉代表による真剣な政治対話の開始をはじめとして、市民がその所属、民族、信条に関わりなく、平等に扱われる民主的で複数主義の政治体制への包括的なシリア人主導の移行への呼び掛けを繰り返す。
28、国連・アラブ連盟合同特別代表(ブラヒミ氏)の任務にたいする支持を再確認するとともに、この点で、2012年6月30日のシリア行動グループ会議(米ロ中英仏、EU、アラブ諸国などを含むジュネーブ外相会議のこと)が発表した最終コミュニケに明記されている移行プランを、早急に履行するために、シリアのすべての関係者が彼の事務所と協力することを要求する。この移行プランの履行は、安定と静穏の雰囲気の中でのすべての人の安全を保証し、しっかりした時間枠にもとづく明確で不可逆的なステップを規定するとともに、大統領職と政府のすべての機能が移譲される完全な執行権力をもった同意による暫定政権を樹立するようなやり方で実行される。さらにこの移譲される権限の中には、軍事・安全保障・情報問題に関するもの、ならびに、包括的な国民対話と自由で公正な多党制選挙にもとづく憲法の検討が含まれる。
29、国連事務総長にたいし、シリア行動グループ会議の最終コミュニケに明記された移行プランの履行にたいする支持と支援を提供するよう要請し、加盟国にたいし、この点で積極的な外交支援を提供するよう促す。
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