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「扶養義務強化」は、障害者の「当たり前」の生活を奪う

生活保護の扶養義務の強化は、「親が生きている間は親の家で、親亡き後は施設で」という選択肢のない時代へ逆行させることになる。障害のない人にとっての、時には疎ましい「あたりまえ」の生活を奪い取るということだ。・・・いつもながらリアルで説得力ある記事。生きるとは… 自立とは… ことの本質がよくわかる。(アマルティア・センの「潜在能力」のことが浮かんできた。)
 記事は、DPI(障害者インターナショナル/当事者たちの国際団体、国連の諮問機関てもある)日本会議・事務局長の尾上浩二さんのインタビューをまじえている。(ダイヤモンドオンライン配信)
 以下は、とくに気になった部分の引用
【生活保護法改正案の「扶養義務強化」が障害者にもたらす破壊的ダメージの中身 みわよしこ9/8】

かつての日本の障害者は、充分な教育を受けることもできず、したがって就労することもできず、親とともに家で、親亡き後は施設や病院の中で生涯を送る以外の選択肢を持たないことが多かった。

障害者が障害によって失う機会は、就学・就労以外にも、実に数多い。「地域で暮らす」という選択肢を障害者から奪い取ることは、障害者から「『今日の夕食にはアジの開きが食べたい』と考え、調理して食べる」「生活をしやすくするための数多くの工夫を自分で行う」「近隣の人間関係に悩んで解決方法や折り合いを考える」といったさまざまな機会、障害のない人にとっての、時には疎ましい「あたりまえ」の生活を奪い取るということだ。

生活保護制度は、極めて不完全ながら、障害者たちに対して「地域で『あたりまえ』の生活をする」機会を提供し、支えてきた。

「自立」の内容は、「誰の助けも借りない」ということではなく、「自分の生活、自分の人生を、自分で選びとる」ということである。この「選びとる」の中には、必要なら他人の助けや制度の支援を得ることも含まれる。「生活保護を利用する」も、「自立」の一環として選び取られてきている経済的「自立」の手段の1つだ。

親族の扶養義務が強化されてしまったら、どうなるだろうか? 障害者は結局のところ、「親が生きている間は親の家で、親亡き後は施設で」という生活に戻るしかなくなってしまうのではないだろうか? 


「『障害者を施設に入所させることは、本人にとって幸せ』という都市伝説・・・風光明媚、すなわち人里離れた場所にあり、夏は涼しく冬は暖かい屋根の下にいられて、医療・介護を提供するスタッフがいて、食事が出てきて。障害者はそういう場所で暮らすことが幸せなんだという。(尾上)」・・・

夜、ちょっと散歩して夜風に吹かれたかったら、外出する。文化施設や教育機関に行きたかったら、行って参加する。夜遊びしたかったら、居酒屋やカラオケボックスに行く。健常者なら誰もが享受している「あたりまえ」。しかし、そんな自由はないのが、障害者施設だ。

生活保護問題については、「真に困っている人」だけを助ければよい、という見方も強い。・・「『真に困っている人』を、誰かが選ぶとしたら、それは『生きてよい人なのか、生かしておく価値のない人なのか』に関する選別ですよね。生活保護の『無差別平等』の意味を、良く考えてみるべきだと思います。生活保護が『無差別平等』でなくなったら、障害者も含めて、恣意的な切り捨てが次から次に起こるでしょう。」(尾上)

そもそも、障害者だから困っているとは限らないし、困っている人が障害者であるとも限らない。働いている障害者もいるし、合理的配慮があれば働ける障害者もいる。就労にかぎらず、幅広い意味での社会参加を重層的に支える支援の仕組みが、すべての人に対して開かれていれば。そのための、生活保護制度であれば。筆者は強く、そう思う。

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