消費税増税やインフレによる家計のダメージは意外と大きい ニッセイ基礎研
収入が増えないのにインフレや消費増税となると、その影響は「以外と大きい」と同コラム。
コラムでは消費増税の場合を試算しているが、物価上昇とくみあわせると・・・
物価上昇2%、消費税10%で、年間で0.7か月分の収入がなくなることになるのではないか。
GDPの6割を占める経済の最大のエンジンが、実質6-7%低下する?!
消費税増税で、不況の深刻化、税収減は、経験ずみのこと。
【消費税増税やインフレによる家計のダメージは意外と大きい ニッセイ基礎研究所 研究員の眼 2013-09-02】
①世帯主が65歳以上の年金世帯。1ヶ月支出20万円、消費税1万円
・消費税10% 2万円 計22万円
・物価2% 20.4万円 消費税2.04万円 計22.44万円
が、払えるお金は21万円。すると・・・
物価上昇前の20万円分の支出水準を18.72円と93.6%%に低下させなくてはならない。(年15万円相当)
②40 歳代~50 歳代の場合は 支出28万円 消費税1万4千円
・消費税10% 2.8万円 計 30.8万円
・物価2% 28.56万円 消費税 2.856 計31.416円
が払えるお金が、29.4万円とすると
物上昇前の28万円を、26.2万円に。93.6% 〃。 (年22万円相当)
【研究員の眼 消費税増税やインフレによる家計のダメージは意外と大きい ニッセイ基礎研究所 研究員の眼 2013-09-02】アベノミクスと家計の関係を超シンプルに考えるとこうなる PART2
ニッセイ基礎研究所・金融研究部 主任研究員 井出 真吾アベノミクスが家計にどう影響するのかシンプルに考える3回シリーズ1。PART1:インフレは政府が儲けるための仕掛け?では、アベノミクスとは物価上昇を通じて家計から政府へ実質的な所得を移転させる政策でもあること、そしてモノの値段が上がっても同じように家計の収入(給料)も増えれば今までと同じ暮らしが出来るので困らないこと(=“良いインフレ”)を説明しました。
でも、年金で生活している人は収入が増えません。現役世代の人でも給料が増えるとは限りません。
もし収入が増えないのにモノの値段が上がってしまったら、すなわち“悪いインフレ”になったら、家計はどのくらいダメージを受けるのでしょうか。今回は数字を見ながら具体的にイメージを膨らませてみましょう。そうすることでインフレや消費税増税が自分の生活にどのくらい大きな意味を持つのか、きちんと把握できると思います。先に言ってしまうと、影響は意外と大きいですよ。
では実際にみていきましょう。図をご覧ください。これは総務省の家計調査(平成24 年)ですが、世帯主の年齢が65 歳以上、つまり標準的な年金生活世帯が1ヵ月間に使うお金(消費支出)を表しています。これを見ると1ヵ月に使うのは約21 万円で、内訳はモノやサービスの税抜価格が約20 万円、残りの1万円が消費税です。
では、消費税が10%に引き上げられた場合を考えてみましょう。税率が今の2倍になるわけですから、増税後に現在と同じだけのモノやサービスを買うためには2倍の消費税を納めなければなりません(図の増税後A)。つまり、今と同じ生活を続けるだけでも毎月1万円、1年間では約12 万円多くのお金が必要になる訳です。これは65 歳以上の平均的な世帯の場合です。子育て世帯の割合が多い40 歳代~50 歳代の場合は消費支出が平均30 万円弱なので、毎月1万4千円、1年間では約17 万円が追加で必要になります。某有名司会者ではありませんが、「奥さん、どうしますか?」ですよね。
もし増税分のお金を払うことができなければ、買うモノを減らすしかありません(増税後B)。例えば、毎月の楽しみにしている夫婦での外食を2ヶ月おきに減らす。それだけでは足りないので晩酌のビールを発泡酒や第3のビールに変える、孫に会うたびに買ってあげるプレゼントを「今回はゴメンね・・・」と言わなければならない、といった具合です。
年間17 万円が追加で必要になる40~50 歳代の場合はどうでしょう。17 万円といえば家族3~4人で簡単な旅行ができる金額です。贅沢しない外食なら10 回以上に相当するでしょう。増税分を追加で負担できなければ、これらの出費を削る、即ち“実質的に生活水準を落とす”ことを強いられます。
退職金などの貯蓄がある人はそれを取り崩せばよいと思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。貯蓄の取り崩しで当座を凌ぐことは出来ます。しかし、これは将来使うはずのお金を前倒しで使ってしまう行為に他なりません。貯蓄が早く底を突くだけのことですから、根本的な解決にならないのです。つまり、増税分を貯蓄の取り崩しで賄おうとすると、長生きしたときに自分で自分を困らせることになってしまいます。
ここでは消費税が増税された場合を考えてきましたが、インフレ(物価上昇)でも基本的には同じことです。例えば、消費税率が3%上がり、更に日銀が目指しているとおり2%のインフレになれば、消費者はこれらを合わせた5%分を追加で払う必要があります。是非一度、この考え方をご自分の家計に当てはめてみて下さい。インフレや消費税増税の影響が意外に大きいことを実感できると思います。
次回はこうした事態に備えるための対策を考えたいと思います。キーワードは「おカネにも働いてもらう」です。
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