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貧困広がる高知市で、他都市なみに中学校給食を

 子どもの貧困対策は、「重大問題」「喫緊の課題」であると県も高知市も言う。
 高知市の公立中学生の4割が生活保護基準水準で生活している。同世代の9世帯に1世帯が貧困率が極めて高いひとり親世帯(就学前家庭の調査)である。
どの指標を見ても厳しい状況にあるが、全国的に8割近くで実施している中学校給食の実施率は16.6%(対生徒率)と最低クラス。「学力テスト」の結果で高知市の中学校に課題があるというが、そもそも「食」の面でハンデを背負っている。
 新庁舎計画は90億円弱から140億円を超える規模に簡単に膨れ上がる。あまりにもひどい。
 これまでの論点を整理してみた。


【子どもの貧困対策は、喫緊の課題】

◆高知県教育推進計画(09年9月)
 「全国に比べ厳しい高知の家庭と暮らし」のパラグラフでは 

「平成18 年度の高知県の県民所得(2,170 千円)は、全国平均の約7 割であり、全国で下から4 番目となっています。また、生活保護被保護率、離婚率や母子世帯数比率も全国平均を大きく上回るなど、厳しい家庭状況を表しています。」とし、「経済的に厳しい状況にある中で、家庭の教育力をどのように向上させていくか、また、子どもへの教育をどう保障していくかが、大きな課題です。」となっている。

◆子どもの貧困は「重大問題」「喫緊の課題」 知事、高知市長

・子どもの貧困問題について、知事は「これは非常に重大な課題」、教育長は「貧困の世代間連鎖はむしろ教育の力で断ち切っていかなければならない」(09年2月県議会)。高知市長は「深刻な影響をおよぼす」もので、「喫緊の課題」((2010年3月)と答弁している。

◆高知市の中学生  生活保護水準の世帯が4割

・生活保護法の最低生活費の認定基準は、児童養育加算、その地域の実際の家賃を反映した住宅扶助の特別基準をもとにしているが、就学援助では反映してない。
(高知市の就学援助の判定は、文科省特別支援教育課発行の「特別支援教育就学奨励費負担金等に係る事務処理資料」にもとづいているのだが、それに、児童養育加算、住宅扶助の特別基準が入ってないことによる。)

・住宅扶助(年間)
 生活保護504000円  就学援助 156000円    
  (中核市41市中、19自治体で、住宅扶助の特別基準を採用している。)
・児童養育加算(年間)
 生活保護120000円 
~就学援助の方が、子ども1人47万円、2人なら59万円も低くなり、1.3倍をかけても、生活保護とほぼ同じとなる。

・高知市(公立)の就学援助の受給者割合は、04年~11年で、
  小学校25.51% → 28.85%
  中学校30.31% → 40.19%
 となっているので、中学生の4割が、生活保護水準ということである。

 なお、中学校給食を実施している校区では、就学援助で給食費が出ているが、未実施のところには出ていない。未実施地域は、この点でもさらに負担を強いられている。

◆高知市 11%が1人親世帯     

・母子3400世帯 8916人 
 母子世帯(他の世帯員がいる) 4408世帯、13048人
・ 父子417世帯1081人
 父子世帯(    〃   )  740世帯、 2450人

・就学前の子どものいる世帯のうち母子9% 父子2%とひとり親世帯が11%
「高知市次世代育成支援にかかるニーズ調査」(平成21年1 月実施)

* ひとり親世帯とは,未婚,死別又は離別のひとり親と,その未婚の20歳未満の子供のみから成る一般世帯をいう。(ひとり親世帯は、相対的貧困率が66%と、突出している。)
* 高知県は私学志向がつよく、公立中学校は特に困難が集中する。

【高知市の中学給食実施率は最低クラス】

◆公立中学校給食の実施率

・全  国 対学校比82.4%、対生徒比75.9% (2010年)
・高知県 対学校比60.5% 対生徒比42.8% 
・高知市 対学校比31.6% 対生徒比16.6% 「高知県の学校給食」2013年3月

~四国の他の県都は100%実施。県平均を引下げているのは高知市が主因

・中核市等の中学校給食実施状況一覧 姫路市 H25年5月 
http://www.city.himeji.lg.jp/var/rev0/0050/1171/siryou8.pdf#search='%E7%A5%9E%E6%88%B8%E5%B8%82+%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E7%B5%A6%E9%A3%9F+%E9%AB%98%E7%9F%A5%E5%B8%82'

◆食の重要性 ~ 教育推進計画、食育推進計画

①高知県教育推進計画(09年9月)
 また振興計画の基本方針・視点のトップは、“心身ともに健やかで「夢」と「希望」にあふれた土佐人を育てよう”となっている。「心身ともに健やか」の土台は食である。
 また、困難さとともに、「教育に生かせる高知県の強み」として、恵まれた自然とその活用をあげ、「米飯給食率が全国第1 位(平成19 年度)で地産地消率も全国トップクラスを誇る食育の取組は、全国を先導する教育実践の一つです」と書かれている。

②高知県食育推進計画(07年3月)
・核家族化や共働きの増加などによるライフスタイルの変化もあり、個食のひろがりなど食の乱れなどをあげて、「特に次世代を担う子どもに対して食育の必要性が高まっている」ことを強調。
・「基本方針に基づく今後5年間の具体的な施策」において、「学校給食の普及充実」は掲げている。
(米飯給食の実施率、地場産物活用割合が具体的数値目標あるのに対し、給食の普及実施は、具体的目標がない。)
 
 県のとりくみの足をひっぱっているのが高知市といえる。

【財 源】

◆財政再建プランの超過達成
5年間で244億円の収支不足ということ財政再建プランを実施してきた。4年経過した時点で「190億円の超過達成」と、9月市議会で当局も認めた。年50億円近い超過達成である。
(なぜか地元紙は一行も報道していない。)

◆学校給食のかかわる経費
・基準財政需要額として交付税の中には学校給食運営費が1億3千万円算入されている。

【提 案】
・早期に実施すること(財政問題も含め)。少子化傾向であること。南海地震対策の視点を入れる。
・三点を考慮すると、津波被害にあわない場所に。6ヵ所程度の給食センター(計5千食)を、災害時の炊き出しセンター(淡路市に先行例)と併用して建設することが妥当ではないか
・一ヶ所、運営費2千万円として1.2億円。建設費用は、合併特例債と防災関係の地方債を併用すれば、市の一般財源はきわめて低く抑えられる。

*淡路市は1ヶ所。調理能力は4500食。建設費は、11億6千万円。財源の内訳は、まちづくり交付金40%、合併特例債57%、一般財源3%。実際の自治体負担は、2億数千万円。
*新庁舎が最初の計画90億円が、簡単に147億円にふくれあがったことをみれば、たいしたことはない。

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