法制局長官の差し替え~危険で姑息な「改憲」手法
9条改憲にも96条改憲にも国民多数が反対しているので、「法の番人」といわれる内閣法制局のトップを集団的自衛権行使に前のめりな人物に交代させる。
本来、国会発議、国民投票を経なければならないものを、姑息な手法で「突破」しようとする。
時々の政権の思惑で法解釈が変われば法治主義は崩壊する(それを「突破」しようとした小沢一郎氏の「政治主導」と同じ)
そもそも安倍首相は、参院選の演説では、アベノミクスのことしか語っていない。自民党の選挙公報にも集団的自衛権の行使については一言も書いていない。
【法制局長官 異例人事 チェック機能弱まる 東京8/3】
なお、現憲法で集団的自衛権が行使できないことは「議論の積み重ねを経て確立され定着している解釈は政府が基本的に変更することは困難」(98年大森法制局長官)というのが解釈である。
九条が踏み破られたときに、国際社会がどう反応するか。まったく考えていない。
集団的自衛権行使の「四類型」には、柳澤協二・元内閣官房副長官補(安全保障担当)も、不必要と批判をしている(後日、メモにする予定)。
【法制局長官 異例人事 チェック機能弱まる8/3】集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の見直しに意欲を見せる安倍晋三首相がトップの交代を決めた内閣法制局。「政府の憲法解釈の番人」と呼ばれ、長官は憲法の解釈について国会で答弁し、その積み重ねが政府の見解となってきた。首相の意に沿う人物を長官に起用する今回の人事は、時の政権から距離を置き、客観的な見解を示さなければならない法制局のチェック機能をそぐ恐れもある。 (金杉貴雄)
内閣法制局は政府提出の法案や政令案について、憲法や他の法令と矛盾がないかを事前に審査するほか、憲法や法令の解釈で政府の統一見解を示す役割を担う。定員七十七人で、課長級以上は各省庁からの出向者で占められている。
憲法解釈は法律の専門知識が必要なため、首相らを補佐する形で長官が国会で答弁することが多く、その答弁が政府の公式見解と位置づけられてきた。同盟国が武力攻撃を受けた際、自国が直接攻撃を受けていなくても実力で阻止する集団的自衛権についても、戦争放棄を定めた憲法九条に照らし「国を防衛するための必要最小限度の範囲を超える」と解釈し、行使を禁じてきた。
首相はこの解釈を変更する布石として、集団的自衛権行使の容認に前向きな小松一郎駐仏大使の長官起用を決めたとされる。
憲法解釈をめぐっては、過去に政治家と法制局が「確執」を演じたことがある。有名なのが小沢一郎氏(現・生活の党代表)だ。
国連決議に基づく多国籍軍が、クウェートを侵攻したイラクを攻撃した九一年の湾岸戦争の際、自民党幹事長だった小沢氏は「人的貢献も」と奔走したが、法制局の「自衛隊の海外派遣は違憲」とする見解にはね返された。この経験から、二〇〇三年に自由党党首として「内閣法制局廃止法案」(廃案)を提出した。
その後、政権交代を実現した民主党時代には、政治主導を理由に、一時、法制局長官の国会答弁を禁止した。
安倍首相が法制局のトップを自らの意向に沿う人物に代えるやり方は、政権の意に沿わない長官の答弁を封じた小沢氏の手法と似ている。
<小松 一郎氏>(こまつ・いちろう)一橋大を中退し、1972年に外務省入省。欧州局長、国際法局長などを経て、11年9月から駐フランス大使を務めている。62歳。神奈川県出身。
« 四国電力、来月から値上げ~原発なければ黒字だったのに(怒) | Main | 最低賃金額の大幅な引上げを 日弁連・声明2013/8 »
「平和・憲法問題」カテゴリの記事
- 高額療養費制度改悪 がん患者・障碍者団体が声明。知事からも「国家的殺人未遂」と批判の声(2025.02.18)
- 地方自治体へ国の指揮権 範囲曖昧、権力の暴走に歯止めなし 参院で廃案に (2024.06.02)
- 2405地方議員学習交流会・資料(2024.05.16)
- 最高裁元判事のコメント・考 ~「司法における固定観念化とジェンダー差別」克服の重要性(2024.05.04)
- 「特定利用港湾 何が問題」(2024.04.30)
« 四国電力、来月から値上げ~原発なければ黒字だったのに(怒) | Main | 最低賃金額の大幅な引上げを 日弁連・声明2013/8 »
Comments