社会保障の基本は「自助の共同化」 「国民会議」報告(メモ)
もともと「社会保障改革推進法」にもとづいて設置された「国民会議」なので、その範囲を超えるものではないが、日本の社会保障制度は「国民皆保険・皆年金に代表される『自助の共同化』としての社会保険制度が基本」というとんでもない前提ら出発している。報告に、憲法も子どもの権利条約もILO条約も一言も出てこない。権利の主体としての国民という姿はない。市場原理主義と戦前的発想のあわせわざのように感じる(と、いうか新も旧も自由主義に社会権の概念はない、ということか)。
以下、報告から、私なりに気になる部分のメモとコメント。
【社会保障制度改革国民会議報告書 ~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~平成25年8月6日】
【社会保障制度改革国民会議報告書 ~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~平成25年8月6日 】
◆第1部 社会保障制度改革の全体像
1 社会保障制度改革国民会議の使命
(1)これまでの社会保障制度改革の経緯
・少子化対策の遅れ、高齢化の一層の進行に伴う制度の持続可能性、医療・介護の現場の疲弊、非正規雇用の労働者等に対するセーフティネット機能の低下等の問題が顕在化した。
→ これを社会、経済の構造の変化でかたずけている。自然現象ではない。財界中心の政治の失政の結果ある。
2 社会保障制度改革推進法の基本的な考え方
(1)自助・共助・公助の最適な組合せ
・日本の社会保障制度においては、国民皆保険・皆年金に代表される「自助の共同化」としての社会保険制度が基本であり、国の責務としての最低限度の生活保障を行う公的扶助等の「公助」は自助・共助を補完するという位置づけとなる。なお、これは、日本の社会保障の出発点となった1950(昭和25)年の社会保障制度審議会の勧告にも示されている。
→ この報告には、憲法も子どもの権利条約もILO条約も出てこない。先進国クラブ「OECD」のレポートが二度ほど手で来るだけ。
(2)社会保障の機能の充実と給付の重点化・効率化、負担の増大の抑制
・「自助努力を支えることにより、公的制度への依存を減らす」ことや、「負担可能な者は応分の負担を行う」ことによって社会保障の財源を積極的に生み出し、将来の社会を支える世代の負担が過大にならないようにすべきである。
→ 権利としの社会保障・国の責務という憲法規定の無視。国民間の水平的な公平だけで、資本主義国家におれる資本と労働者という垂直的、階級的な公平については視野の外におかれている。
(3)社会保険方式の意義、税と社会保険料の役割分担
・社会保険方式は、国民の参加意識や権利意識を確保し、保険料を支払った人にその見返りとして受給権を保障する仕組みであり、いわゆる自助を共同化し、国民の自立を社会的に支援する仕組みである。
→ 「見返りとしの受給権」・・・民間保険に、そのまま接木される論理
・国際的にみても、低所得者や無職者まで含めて制度に加入させる仕組みは一般的なものではなく、1961(昭和36)年という日本がまだ貧しい段階でこれを実現したことは特筆に値する。
→ 社会保障が「自助の共同化」という同報告が、如何に劣化した認識であるか、1960年の厚生省の認識とくらべて見たい。
国保法は「社会保障」「国民保健(メモ者/健康)の向上に寄与する」(1条)と規定し、「国は・・・運営が健全に行われるようつとめなければならない」(4条)と責任の所在を明記している。
この4条について1960年出版された厚生省保険局国民健康保険課編「詳解 国民健康保険」では
「(これは)国民健康保険の社会保障体系に占めるすぐれた地位を承認し、福祉国家へ歩むわが国の態度を明らかにしたものといえよう。このような規定は二〇余年前、わが国が一八、一九世紀的な自由主義的市民的法治国家にとどまっていた当時に生まれた旧国民健康保険の中にはうかがうことさえできない。
旧法では、国民健康保険は市町村の固有事務として把握し、国はその水準の維持をはかるために必要な援助を行うにとどまり・・ 新法は、このような旧法に臨んだ国の態度を脱ぎすて、国民健康保険を国自らの事務とし、市町村に保険者として国民健康保険事業を行わせるが、この場合、市町村の事務いわゆる団体委任事務と解するにいたっている」
③ 税と社会保険料の役割分担
・給付の大宗を社会保険制度で賄っている年金・医療・介護については、既に財源の4 割弱が公費(税財源)で占められており、これらの給付が増えれば、必要となる税財源が増えていくこととなるが、社会保障をめぐる財政は、社会保障関係費が増大する中で、それに見合った税負担がなされておらず、その不足分をいわゆる赤字公債で補っている状況であり、消費税が増税された後でもこの構造が解消されるわけではない。こうした状況は、国・地方を通じた財政の健全化、社会保障の持続可能性、世代間の公平という観点から極めて問題である。こうした日本の財政状況も踏まえれば、社会保険への税の投入については、上記の所得格差の調整を含め、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とすべきである。
→ 大企業・富裕層の減税、税の空洞化問題。
新自由主義的蓄積による経済成長のストップ〜税収低迷、保険料収入の頭打ち
という構造的な問題がある
◆第2部 社会保障4分野の改革
Ⅰ 少子化対策分野の改革
1 少子化対策の意義と推進の必要性
・少子化の原因の主たるものとして、若年失業者やフリーターが多いなど若者が社会的に自立することが難しい状況であることに加えて、出産・子育ての機会費用が大きいことがあげられる。
→ これは自民党政治、資本の横暴の結果である。少子化で日本国を消滅させる自民党
・具体的には、まず出産・子育てと就労継続の二者択一状況を解決することが必要である。とりわけ第1 子出産を機に約6 割の女性が就労継続を断念している事実は放置できない。
→ が対策は、M字カーブ問題に限定され、育児休暇のための中小企業への支援、保育所問題となっている。
ワーキングプアと過労死ラインの長時間過密労働を是正、間接差別をふくめた女性差別の撤廃という要になる問題、労働法制の問題が抜け落ちている。(住居、教育費の問題も大きい)
2 子ども・子育て支援新制度等に基づいた施策の着実な実施と更なる課題
・子育て世代の生活環境は変化が激しく、働き方も多様化しつつある。一時仕事を中断したり、再開したりすることもあり、保護者の環境が変化するたびに子どもが保育所から幼稚園に移ったり、その逆の場合もある。保育所を探し回っても適切な保育所が見つからずに就労に多大な影響の出る親が少なくない実態もある。こうした現状を改善するため、認可保育所と幼稚園の2 つの施設類型を超えて、所管を一元化し、認定こども園法に基づき、幼児期の子どもにいずれも保障されるべき学校教育と保育を単一の施設で受けることができる幼保連携型認定こども園など、認定こども園の普及推進が必要である。
→ 相変わらず、幼稚園「教育」、保育「養護」という分断論にたっている。どちらも「教育と養護」が柱になっている。しかも、待機児童の原因を、幼稚園と保育園の移動の問題にすり替え、無理やり認定こども園の推進にこじつけ。認可保育園の圧倒的な不足を無視。「新幼保連携型認定ごども園」は、待機児童の多くをしめる3歳未満児の受け入れは義務化されておらず、しかも市町村の保育実施責任の対象からはずれ、公的責任が大きく交代する。 保育園の死亡事故をみると圧倒的に認可外が高い。認可保育所も規制緩和後に増えている。園庭もない、日もあたらない、水遊び、泥遊びなどもできない、高架下やマンションの一室での「保育」を誰が望むのか。
なにより面積、人的配置、国の財政基準が貧困な状況にあることはまったくふれられていないことに本質がある。
(3)妊娠・出産・子育てへの連続的支援
・新生児遺棄等が後を絶たず、妊婦健診等を受診しないまま飛び込み出産する事例も見られる。さらには親の育児不安や育児ストレスも深刻化しているなど対応すべき課題が多い。
→ 支援拠点というが、非正規雇用でなかなか受診にいけないとか、近くに安心して産める場所がない、という問題が現実には深刻なのである。
また育児不安、育児ストレスに対応するためにも保育の充実は要となる。全保連の報告によると、個別に対応すべき子どもが増えている、一歳児にみられる「噛み付き」などか4-5歳でもみられる「育ちそびれ」が見られるなど、が配置基準は昔のまま、非正規も多く、保育現場も疲労している。
(4)ワーク・ライフ・バランス
・特に中小企業・非正規については、育児休業の取得が難しい状況。企業における仕事と子育ての両立支援を推進するための強力なツールの1 つである次世代育成支援対策推進法について、今後の10 年間を更なる取組期間として位置づけ、その延長・見直しを積極的に検討すべきである。
→ ほとんど役にたたない「次世代育成支援対策推進法」が唯一の方策。ILOの労働時間に係る条約を何一つ批准していない問題はスルー。
「社会保障は労働主階級のもの」・・・社会保障の発展は、労働力の急迫販売を防ぎ、資本の横暴の手を縛り、不安定雇用、貧困をなくすとい取り組みの中で発展してきた。労働時間の短縮も、正規雇用を増やし、労働力の急迫販売を防ぐための一貫である。
3 次世代育成支援を核とした新たな全世代での支え合いを
・質の高い幼児教育・保育を始めとする子ども・子育て支援を進めるに当たって基本となるのは、それを提供する人材
→ 低賃金の問題、配置基準の貧困問題にふれず
・「中高年世代が地域の子ども・子育て支援に活躍し、若い世代を支える機会を増やすことも必要である。」
→ 具体的対策はボランティア? 介護の地域包括ケアと同じ発想。
Ⅱ 医療・介護分野の改革
・医療について言えば、人口当たりの病床数は諸外国と比べて多いものの、急性期・回復期・慢性期といった病床の機能分担は不明確であり、さらに、医療現場の人員配置は手薄であり、病床当たりの医師・看護職員数が国際標準よりも少なく過剰労働が常態化していること、この現実が、医療事故のリスクを高め、一人一人の患者への十分な対応を阻んでいることが指摘されていた。
救急医、専門医、かかりつけ医(診療所の医師)等々それぞれの努力にもかかわらず、結果として提供されている医療の総体が不十分・非効率なものになっているという典型的な合成の誤謬ともいうべき問題が指摘されていた
問題の根は個々のサービス提供者にあるのではない以上、ミクロの議論を積み上げるのでは対応できず、システムの変革そのもの、具体的には「選択と集中」による提供体制の「構造的な改革」が必要となる。要するに、今のシステムのままで当事者が皆で努力し続けても抱える問題を克服することは難しく、提供体制の構造的な改革を行うことによって初めて、努力しただけ皆が報われ幸福になれるシステムを構築することができるのである。
→ 「医療亡国論」にたって、医師の抑制、医療費抑制を進めた結果であり、自然現象ではない。「医師・看護職員数が国際標準よりも少なく過剰労働が常態化」「医療事故のリスクを高め、一人一人の患者への十分な対応を阻んでいる」のであり、医療のネットワーク構築にも医師不足で対応できなくなっているのであり、これを機能分担や病床数が多すぎるという問題にすりかえて、「選択と集中」「構造的な改革」のテコにしようとしている。
報告で後述している「日本の医療機関は相当の経営努力を重ねてきており、国民皆保険制度、フリーアクセスなどと相まって、日本の医療は世界に高く評価されるコストパフォーマンスを達成してきたと言える。」という内容とまるで違う。
・医療の機能分化を進めるとともに急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入し、後を引き継ぐ回復期等の医療や介護サービスの充実によって総体としての入院期間をできるだけ短くして早期の家庭復帰・社会復帰を実現し、同時に在宅医療・在宅介護を大幅に充実させ、地域での包括的なケアシステムを構築して、医療から介護までの提供体制間のネットワークを構築すること
→ 現在も一般病床、療養病床の削減により、救急病院からの退院がスムーズに行かず、救急機能を低下する事態がある。後で見るように介護サービスは「充実」どころかさらに低下、切捨てが目指されており、大量の医療、介護難民が生み出されるだけで、ネットワークの構築は不可能。
「選択と集中」の入口は、後期高齢者医療制度の時に問題となった、フリーアクセスを制限する登録「かかりつけ医」制度の導入をねったもの。
(2)医療問題の日本的特徴
・医療提供体制について、実のところ日本ほど規制緩和された市場依存型の先進国はなく、日本の場合、国や自治体などの公立の医療施設は全体のわずか14%、病床で22%しかない。ゆえに他国のように病院などが公的所有であれば体系的にできることが、日本ではなかなかできなかったのである。
→ 民営化をすすめてきたのは誰か。政策的失敗ではないか。
・日本の医療費の対GDP比は、現在、OECD諸国の中では中位にあり、世界一の高齢化水準を鑑みれば、決して高い水準にあるとは言えない。日本のような皆保険の下では、価格交渉の場が集権化され、支払側が供給側と比較的強い交渉力を持つことが、医療単価のコントロールに資してきた。こうした中、日本の医療機関は相当の経営努力を重ねてきており、国民皆保険制度、フリーアクセスなどと相まって、日本の医療は世界に高く評価されるコストパフォーマンスを達成してきたと言える。
→ 「医療費が多すぎる」「非効率だ」という政府の説明はウソだったことの証。
(3)改革の方向性
① 基本的な考え方
・日本の提供体制への診療報酬・介護報酬による誘導は、確かにこれまで効き過ぎるとも言えるほどに効いてきた面があり、政策当局は、過去、そうした手段に頼って政策の方向を大きく転換することもあった。だが、そのような転換は、医療・介護サービスを経営する側からは梯子を外されるにも似た経験にも見え、経営上の不確実性として記憶に刻まれることになる。それは、政策変更リスクに備えて、いわゆる看護配置基準7 対1 を満たす急性期病院の位置を確保しておいた方が安全、内部留保を十二分に抱えておかなければ不安、など過度に危機回避的な行動につながり、現在の提供体制の形を歪めている一因ともなっている。政策当局は、提供者たちとの信頼関係を再構築させるためにも、病床区分を始めとする医療機関の体系を法的に定め直し、それぞれの区分の中で相応の努力をすれば円滑な運営ができるという見通しを明らかにすることが必要であろう。
→ 「医療亡国論」をあおって、医療切り捨てすすめてきた政府の責任ということ
・この意味でのフリーアクセスを守るためには、緩やかなゲートキーパー機能を備えた「かかりつけ医」の普及は必須であり、そのためには、まず医療を利用するすべての国民の協力と、「望ましい医療」に対する国民の意識の変化が必要となる。
→ 医療の制限。後期高齢者医療制度では、当初、病名による定額診療報酬だとか、複数の病院で同じ病名の治療を制限する仕組などがもちこまれようとしたが、そのむしかえし。
② 機能分化とネットワークの構築
・日本は諸外国に比べても人口当たり病床数が多い一方で病床当たり職員数が少ないことが、密度の低い医療ひいては世界的に見ても長い入院期間をもたらしている。他面、急性期治療を経過した患者を受け入れる入院機能や住み慣れた地域や自宅で生活し続けたいというニーズに応える在宅医療や在宅介護は十分には提供されていない。
→ 入院期間の長さを「病床数が多く、密度の低い医療」と無理やり結合させている。
貧困な住環境、長時間過密労働・不規則労働など「家」で看ることの限界。農業や商店街など地域経済の崩壊がもたらした人口移動(高齢化・過疎化)。中山間地の多い日本では在宅医療や在宅介護のサービス提供体制を確保することは極めて困難。などの問題があり、「病床数が多すぎる」ことが諸悪の根源という一面的断定。
(2)都道府県の役割強化と国民健康保険の保険者の都道府県移行
・国民健康保険の運営に関する業務について、財政運営を始めとして都道府県が担うことを基本としつつ、保険料の賦課徴収・保健事業など引き続き市町村が担うことが適切な業務が存在することから、都道府県と市町村が適切に役割分担を行い、市町村の保険料収納や医療費適正化へのインセンティブを損なうことのない分権的な仕組みを目指すべきである。
知事会単独で、「構造的な問題が解決され持続可能な制度が構築されるならば、市町村とともに積極的に責任を担う覚悟」との見解を表明している
→ 前述したように「国の責任を持つ」が基本。それがふけている。年間3千数百億円にのぼる法定外繰入をなくし「保険制度」として「公正さ」を担保するという仕組。「構造的問題解決」には、国庫負担をふやす、雇用は正規があたりまえに変える以外にない。
(3)医療法人制度・社会福祉法人制度の見直し
・医療法人制度・社会福祉法人制度について、非営利性や公共性の堅持を前提としつつ、機能の分化・連携の推進に資するよう、例えばホールディングカンパニーの枠組みのような法人間の合併や権利の移転等を速やかに行うことができる道を開くための制度改正を検討する必要がある。
複数の医療法人がグループ化すれば、病床や診療科の設定、医療機器の設置、人事、医療事務、仕入れ等を統合して行うことができ、医療資源の適正な配置・効率的な活用を期待することができる。
あわせて、介護事業者も含めたネットワーク化や高齢化に伴いコンパクトシティ化が進められているまちづくりに貢献していくことも見据えて、医療法人や社会福祉法人が非営利性を担保しつつ都市再開発に参加できるようにする制度や、ヘルスケアをベースとしたコンパクトシティづくりに要する資金調達の手段を、今後慎重に設計されるべきヘルスケアリート等を通じて促進する制度など、総合的な規制の見直しが幅広い観点から必要である。特に、社会福祉法人については、経営の合理化、近代化が必要であり、大規模化や複数法人の連携を推進していく必要がある。また、非課税扱いとされているにふさわしい、国家や地域への貢献が求められており、低所得者の住まいや生活支援などに積極的に取り組んでいくことが求められている。
→ 研究が必要。大きな民間病院が付近に介護施設を多数建設し、地域一体が「○○病院街」のようになってる事例があるが、これを行政の計画に載せていくということか。
(4)医療と介護の連携と地域包括ケアシステムというネットワークの構築
・地域ごとの医療・介護・予防・生活支援・住まいの継続的で包括的なネットワーク、すなわち地域包括ケアシステムづくりを推進していくことも求められている。
・高齢者の地域での生活を支えるために、介護サービスについて、24 時間の定期巡回・随時対応サービスや小規模多機能型サービスの普及を図るほか、各地域において、認知症高齢者に対する初期段階からの対応や生活支援サービスの充実を図ることが必要である。これと併せて、介護保険給付と地域支援事業の在り方を見直すべきである。地域支援事業については、地域包括ケアの一翼を担うにふさわしい質を備えた効率的な事業(地域包括推進事業(仮称))として再構築するとともに、要支援者に対する介護予防給付について、市町村が地域の実情に応じ、住民主体の取組等を積極的に活用しながら柔軟かつ効率的にサービスを提供できるよう、受け皿を確保しながら新たな地域包括推進事業(仮称)に段階的に移行させていくべきである。
→ 介護予防の切れ捨て、「柔軟かつ効率的」(基準もなく、安上がり)なボランティアまかせの事業を本格推進する。現行の「介護予防・日常生活支援総合事業」は今年3月時点で実施自治体は37とまったく機能していない。
・中低所得層の高齢者が地域において安心して暮らせるようにするため、規制改革等を進めつつ、地域の実情に応じ、介護施設等はもとより、空家等の有効活用により、新たな住まいの確保を図ることも重要である。
→ 介護の責任を放棄し、貧困ビジネスを推進。
・地域包括ケアシステムを支えるサービスを確保していくためには、介護職員等の人材確保が必要であり、処遇の改善やキャリアパスの確立などを進めていく必要がある。
→ 処遇改善は当然必要。が保険料にはね返る。保険料とあげないということになると、よって介護基盤を縮小するということになる。
(5)医療・介護サービスの提供体制改革の推進のための財政支援
・医療・介護サービスの在り方が「地域完結型」に変わるからには、それに資するよう、診療報酬・介護報酬の体系的見直しを進めていく必要がある。
(6)医療の在り方
・医療職種の職務の見直しは医師不足問題にも資するものがある。医師不足と言われる一方で、この問題は必ずしも医師数の問題だけではなく、医師でなければ担えない業務以外の仕事も医師が担っているために医師不足が深刻化している側面がある。その観点から、医師の業務と看護業務の見直しは、早急に行うべきである。
→ 特定看護師は、ただでさえ深刻な過重労働、健康破壊による看護師不足を加速する。
・「病院完結型」の医療から「地域完結型」の医療へと転換する中で、人生の最終段階における医療の在り方について、国民的な合意を形成していくことが重要であり、そのためにも、高齢者が病院外で診療や介護を受けることができる体制を整備していく必要がある。
・医療行為による予後の改善や費用対効果を検証すべく、継続的なデータ収集を行うことが必要である。例えば、関係学会等が、日々の診療行為、治療結果及びアウトカムデータ(診療行為の効果)を、全国的に分野ごとに一元的に蓄積・分析・活用する取組を推進することが考えられ、これらの取組の成果に基づき、保険で承認された医療も、費用対効果などの観点から常に再評価される仕組みを構築することも検討すべきである。
さらには、国が保有するレセプト等データの利活用の促進も不可欠である。具体的には、個人情報保護にも配慮しつつ、現状は利用者の範囲や使用目的が限定されている使用条件を緩和し、幅広い主体による適時の利活用を促すため、データ提供の円滑化に資する対策を講ずべきである。
→ マイナンバー制度と一体。 個人の監視、プライバシーの商品化など・・・
(7)改革の推進体制の整備
・まず取り組むべきは、各2 次医療圏における将来の性別、年齢階級別の人口構成や有病率等のデータを基に各地域における医療ニーズを予測し、各地域の医療提供体制がそれに合致しているかを検証した上で、地域事情に応じた先行きの医療・介護サービス提供体制のモデル像を描いていくことであり、こうしたデータ解析のために国が率先して官民の人材を結集して、先駆的研究も活用し、都道府県・市町村との知見の共有を図っていくことであろう。
→ 注視
3 医療保険制度改革
(1)財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に関する公平の確保
・国民健康保険の財政的な構造問題を放置したまま、国民健康保険の保険者を都道府県としたとしても、多額の赤字を都道府県に背負わせるだけである。したがって、抜本的な財政基盤の強化を通じて国民健康保険の財政的な構造問題の解決が図られることが、国民健康保険の保険者を都道府県に移行する前提条件となる。その財源については、後述する後期高齢者支援金に対する負担方法を全面総報酬割にすることにより生ずる財源をも考慮に入れるべきである。
なお、多くの非正規雇用の労働者が国民健康保険に加入しており、被用者保険の適用拡大を進めていくことも重要である。
・ず、国民健康保険の低所得者に対する保険料軽減措置の拡充を図るべきであり、具体的には、対象となる軽減判定所得の基準額を引き上げることが考えられる。
このような低所得者対策は、低所得者が多く加入する国民健康保険に対する財政支援の拡充措置と併せ、今般の社会保障・税一体改革に伴う消費税率引上げにより負担が増える低所得者への配慮としても適切なものである
→ 高すぎる国保が問題(財政支援は、大企業に多い健保組合からの支援金の増額)。
・国民健康保険において、相当の高所得の者であっても保険料の賦課限度額しか負担しない仕組みとなっていることを改めるため、保険料の賦課限度額を引き上げるべきである。同様の問題が被用者保険においても生じており、被用者保険においても標準報酬月額上限の引上げを検討するべきである。
→ 国保については、高所得者でなくても簡単に最高額に達するという問題がある。中間層に対する負担増でしかない。
・後期高齢者支援金に対する負担方法/2015(平成27)年度からは被用者保険者間の負担の按分方法を全面的に総報酬割とし、被用者保険者間、すなわち協会けんぽと健保組合、さらには共済組合の保険料負担の平準化を目指すべきである。この負担に関する公平化措置により、総数約1400 の健保組合の4 割弱の健保組合の負担が軽減され、健保組合の中での保険料率格差も相当に縮小することにもなる。その際、協会けんぽの支援金負担への国庫補助が不要となる
日本の被用者保険の保険料率は、医療保障を社会保険方式で運営しているフランスやドイツ等よりも低いことや、前述のとおり健保組合間で保険料率に大きな格差があること、その他被用者保険の状況等を踏まえ、被用者保険における共同事業の拡大に取り組むことも検討が必要である
→ 支援金を報酬制にすることには大企業が反対するだろう、果たして実現するのか。大企業減税とセットで対応するということか。
(2)医療給付の重点化・効率化(療養の範囲の適正化等)
・大病院の外来は紹介患者を中心とし、一般的な外来受診は「かかりつけ医」に相談することを基本とするシステムの普及、定着は必須であろう。そのため、紹介状のない患者の一定病床数以上の病院の外来受診について、初再診料が選定療養費の対象となっているが、一定の定額自己負担を求めるような仕組みを検討すべきである
・医療の提供を受ける患者の側に、大病院にすぐに行かなくとも、気軽に相談できるという安心感を与える医療体制の方が望ましいことを理解してもらわなければならず、患者の意識改革も重要となる。
・今後、患者のニーズに応える形で入院医療から在宅医療へのシフトが見込まれる中、入院療養における給食給付等の自己負担の在り方について、入院医療と在宅医療との公平を図る観点から見直すことも検討すべきである。また、現在、暫定的に1 割負担となっている70~74 歳の医療費の自己負担については、現役世代とのバランスを考慮し、高齢者にも応分の負担を求める観点から、法律上は2 割負担となっている。この特例措置については、世代間の公平を図る観点から止めるべき
→ 入院療養の給食費(治療食の意義を否定)の負担増。70-74歳の医療費窓口負担2割に、
・高額療養費制度については、所得区分ごとに自己負担の上限が定められているが、現行の仕組みでは、一般所得者の所得区分の年収の幅が大きいため、中低所得者層の負担が重くなっている。低所得者に配慮し、負担能力に応じて応分の負担を求めるという保険料負担における考え方と同様の制度改正が求められる。
患者の自己負担について/「年齢別」から「負担能力別」へ負担の原則を転換するなど、中長期的に医療保
険制度の持続可能性を高める観点から、引き続き給付の重点化・効率化に取り組む必要がある。
→ 高所得とはいくらか・・・
(3)難病対策等の改革
・難病対策については、相対的には他の福祉制度等に隠れて光が当たってこなかった印象は否めず、対象となる疾患同様に原因不明で治療法未確立でも医療費助成の対象に選定されていないケースがあるなど疾患間の不公平が指摘され、予算面でも医療費助成における都道府県の超過負担の早急な解消が求められているなど、様々な課題を抱えている。難病で苦しんでいる人々が将来に「希望」を持って生きられるよう、難病対策の改革に総合的かつ一体的に取り組む必要があり、医療費助成については、消費税増収分を活用して、将来にわたって持続可能で公平かつ安定的な社会保障給付の制度として位置づけ、対象疾患の拡大や都道府県の超過負担の解消を図るべきである。
ただし、社会保障給付の制度として位置づける以上、公平性の観点を欠くことはできず、対象患者の認定基準の見直しや、類似の制度との均衡を考慮した自己負担の見直し等についても併せて検討することが必要である。
→ 難病。対象を増やすが、障害者自立支援法と同じく、「自己負担」を導入
4 介護保険制度改革
・介護保険制度では利用者負担割合が所得水準に関係なく一律であるが、制度の持続可能性や公平性の視点から、一定以上の所得のある利用者負担は、引き上げるべきである。その際、介護保険は医療保険と異なり、利用者自身が利用するサービスの量を決定しやすいことなど、医療保険との相違点に留意する必要がある。
→ 利用料引き上げ。2010年11月社会保障審議会介護保険部会で示した試算では「合計所得200万円以上の自己負担2割」。後段の「相違点に留意」はなにをさすのか不明。注視必要
・施設入所の場合には、世帯の課税状況や課税対象の所得(フロー)を勘案して、利用者負担となる居住費や食費について補足給付により助成を受けることとなっている。その結果、保有する居住用資産や預貯金が保全されることとなる可能性があり、世代内の公平の確保の観点から、補足給付に当たっては資産(ストック)も勘案すべきである。また、低所得と認定する所得や世帯のとらえ方について、遺族年金等の非課税年金や世帯分離された配偶者の所得等を勘案するよう、見直すべきである。
→ 非課税年金。世帯分離の所得は把握の見直し、ようするに負担増で均衡を図る。
地方では土地・家屋は、子どもも帰ってこず、過疎が進む中で、実際は価値がない(むしろ維持にお金がかかる)状況であり、「資産」を口実に低所得者でも負担を上げることにつながる。
★財界提案「社会保障個人会計」/死亡時に財産が余っていれば、保障が手厚すぎたと判断し、遺産・相続財産から給付金を回収する・・と同じ流れ
・特別養護老人ホームは中重度者に重点化を図り、併せて軽度の要介護者を含めた低所得の高齢者の住まいの確保を推進していくことも求められている。また、デイサービスについては、重度化予防に効果のある給付への重点化を図る必要があろう。
→ 低所得者が唯一入られる施設である特養からの軽度者追い出し。デイサービスは通所リハビリテーションと機能が違い、「預かり」「お世話」が基本である。急増しているサービスを「重度化予防」の名で抑制する、ということ。
・今後の高齢化の進展に伴う保険料水準の上昇に対応するため、低所得者の第1 号保険料について基準額に乗じることにより負担を軽減している割合を更に引き下げ、軽減措置を拡充すべきである。
第2 号被保険者の加入する医療保険者が負担する介護納付金については、現在、第2 号被保険者の人数に応じたものになっており、負担の公平化の観点から、被用者保険について、被保険者の総報酬額に応じたものとしていくべきである
→ 水平間の調整。保険料上昇は、サービスが増えれば保険料が増えるという現行の枠組みが根本的原因である。公費負担を増やさないがきり対応できない。
Ⅲ 年金分野の改革
(3)今後の年金制度改革の検討の視点
・将来的な負担の水準を固定し、給付を自動調整して長期的な財政均衡を図る仕組みとしたことで、対GDP比での年金給付や保険料負担は一定の水準にとどまることとなった。その意味において、今後の社会経済情勢の変化に対応して適時適切な改革を行っていくことは必要であるものの、基本的に年金財政の長期的な持続可能性は確保されていく仕組みとなっている。
→ この基本を維持するためマクロ経済スライドをデフレ化で発動できるように改悪へ
2 年金制度体系に関する議論の整理
(2)具体的な改革へのアプローチ
・短時間労働者等稼得手段を持たず、被用者としての保障が必要な者が増加している状況にある。このような状況に対応するためには、被用者にふさわしい保障を実現するために被用者保険の適用拡大を進める必要がある。また、個人請負のような旧来とは異なるタイプの自営業者や、無職者などの貧困リスクの高い被保険者が制度の保障の網からこぼれ落ちないようにし、負担能力に応じた負担を適切に求めていく観点から、国民年金保険料の多段階免除の積極活用や負担能力を有する滞納者に対する徴収強化を行う必要がある
→ 労働の規制緩和にあわせた制度づくり。最低年金制度など抜本策はない。
3 長期的な持続可能性を強固にし、セーフティネット機能(防貧機能)を強化する改革に向けて
・マクロ経済スライドの見直しマクロ経済スライドについては、仮に将来再びデフレの状況が生じたとしても、年金水準の調整を計画的に進める観点から、検討を行うことが必要である。
→ つまり11年で1割カットになる仕組をつくる。
・基礎年金の調整期間が約30 年と長期間にわたり、水準の調整の度合いも大きくなっている。当国民会議における議論の中では、基礎年金の調整期間が長期化し水準が低下することへの懸念が示されており、基礎年金と報酬比例部分のバランスに関しての検討や、公的年金の給付水準の調整を補う私的年金での対応への支援も含めた検討も併せて行うことが求められる。
→ 私的年金への支援?
・短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大実際に、パートタイム労働者のうち、自らが主たる生計維持者となっている(主に自分の収入で暮らしている)者の割合は約3 割に達しており、若年層の非正規雇用者の約4 割が正社員への転換を希望しているなど、非正規雇用の労働者についても被用者としての保障の体系に組み入れていく必要性は高くなっている。一体改革関連法によって、一定の条件下の短時間労働者約25 万人を対象に適用拡大が行われることとなったが、被用者保険の適用対象外となる週20 時間以上30 時間未満で働く短時間労働者は全体で400 万人いると推計されている
→ そもそも非正規雇用をなくしていくこと。非正規は「一時的、臨時的」であり「同一価値労働、同一賃金」の問題が要。
・高齢期の就労と年金受給の在り方、世界に目を向けると、高齢化の進行や平均寿命の伸長に伴って、就労期
間を伸ばし、より長く保険料を拠出してもらうことを通じて年金水準の確保を図る改革が多くの先進諸国で取り組まれている。
→ 報告の示す「改革」が世界共通と強調。日本の場合、無年金、低すぎる国民年金の問題がある。どうするのか。
・現在の労働力率(15 歳以上人口比約60%)を維持するためには、雇用継続が義務化された60 歳代前半は
もとより、60 歳代後半の労働力率をかなりの程度(男性で2010(平成22)年48.7%→2030(平成42)年65.0%)引き上げることが必要となることが示されている。
→ この説明は、一方で「現役1人が1人」を支える「肩車型」と説明の破綻を示す。
2004(平成16)年の制度改革によって、将来の保険料率を固定し、固定された保険料率による資金投入額に年金の給付総額が規定される財政方式に変わったため、支給開始年齢を変えても、長期的な年金給付総額は変わらない。
→ 変わらないのだったら、年金支給開始年齢の引き上げは必要はない、ということではないか。
・平均寿命が延び、個々人の人生が長期化する中で、ミクロ的には一人一人の人生における就労期間と引退期間のバランスをどう考えるか、マクロ的には社会全体が高齢化する中での就労人口と非就労人口のバランスをどう考えるかという問題として検討されるべきものである。その際には、生涯現役社会の実現を展望しつつ、これを前提とした高齢者の働き方と「年金受給」との組合せについて、他の先進諸国で取り組まれている改革のねらいや具体的な内容も考慮して議論を進めていくことが必要である。
→ 「人生90年が前提」といった大臣がいたな
・高所得者の年金給付の見直し
高齢期の所得によって基礎年金の国庫負担相当分に係る給付を調整する規定については、三党協議を踏まえた修正に伴い、検討規定に移されることとなった。世代内の再分配機能を強化する観点からの検討については、この検討規定に基づく検討のみならず、税制での対応、各種社会保障制度における保険料負担、自己負担や標準報酬上限の在り方など、様々な方法を検討すべきである。一体改革関連法には年金課税の在り方についての検討規定も設けられており、公的年金等控除を始めとした年金課税の在り方について見直しを行っていくべきである。また、これに併せて、公的年金等控除や遺族年金等に対する非課税措置の存在により、世帯としての収入の多寡と低所得者対策の適用が逆転してしまうようなケースが生じていることが指摘されており、世代内の再分配機能を強化するとともに、給付と負担の公平を確保する観点から検討が求められる。
→ 「給付と負担の公平を確保する観点」と強調されるが、人たるに値する暮らし、低下する貧困線の中で高まる貧困率をどうするか、こそが問題である。
4 世代間の連帯に向けて
(1)国際的な年金議論の動向
・OECDのレポート(Pensions at a Glance 2011)では、
① 年金政策は常に「給付額の十分性」と「制度の持続可能性」という相矛盾する要請を抱え、そのディレンマの中での舵取りがより困難になっていること
② このディレンマから抜け出すルートとして、「就労期間の長期化」、「公的年金の支給努力の対象の中心を最も脆弱な人々とすること」、「進行中又は今後必要となる公的給付の削減を補完するために、退職後のための貯蓄を奨励すること」の3 つが挙げられること
を指摘している。これらは先進諸国の年金改革に共通する事項であるが、日本が直面する課題とも一致する。
(2)世代間の公平論に関して
・個人が納付した、あるいはこれから納付することとなる保険料累計額の現在価値と、受け取った、あるいはこれから受け取ることとなる年金給付累計額の現在価値を比較して、世代によってこの関係が異なることをもって、世代間の不公平を指摘されることがしばしばある。
しかしながら、いわゆる中立命題の本質である私的な扶養と公的な扶養の代替を考えれば、年金制度の中だけで自分が払った保険料と自分が受け取る年金給付を比較する計算は、本来の意味での世代間の公平を表すものではない。仮に、公的年金が存在しなければ、その分同様に私的な扶養負担が増えることとなるだけであり、私的扶養の代替という年金制度が持つ本来機能を踏まえた議論が必要である。
さらに、公的年金制度は、寿命の不確実性のリスクや生涯を通じた所得喪失(障害年金、遺族年金)への対応といった保険としての機能を有しているが、例えば障害年金の周知度は50%程度にとどまって(2011(平成23)年国民年金被保険者実態調査)おり、このような機能の再認識が必要である。
残念ながら、世間に広まっている情報だけではなく、公的に行われている年金制度の説明や年金教育の現場においてさえも、給付と負担の倍率のみに着目して、これが何倍だから払い損だとか、払った以上にもらえるとか、私的な扶養と公的な扶養の代替性や生涯を通じた保障の価値という年金制度の本質を考慮しない情報引用が散見され、世代間の連帯の構築の妨げとなっている。年金教育、年金相談、広報などの取組については、より注意深く、かつ、強力に進めるべきである。
→ 政府、財界、マスコミなどの「世代間の不公平」の問題に苦言
・一方で、世代間の不公平の主張の背景には、給付は高齢世代中心で負担は現役世代中心という日本の社会保障の構造や、必要な給付の見直しに対する抵抗感の強さ、制度に対する信頼感の低下や不安感の増加があることも忘れてはならない。
→ 消費税、保険料など高齢者も負担している。しかも報告では、一方で「世代間の不公平」に苦言をいいながら、「給付は高齢世代中心で負担は現役世代中心」とそれを肯定している論理性のなさ。
(3)将来の生産の拡大こそが重要
・年金制度の持続可能性を高めるためには、年金制度にとって与件である経済の成長や雇用の拡大、人口減少の緩和が重要である。このため、高齢者や女性、若者の雇用を促進する対策や、仕事と子育ての両立支援の強化に取り組むとともに、年金制度においても、働き方に中立的な制度設計、働いて保険料を納付したことが給付に反映する形で透明感、納得感を高める改革が必要である。
・第3 号被保険者制度については、多くの女性の生涯設計に影響を持つ制度となっており、国民の間にある多様な意見に耳を傾けつつ、方向性としては、短時間労働者の被用者保険適用を拡大していくことなど、制度の支え手を増やす方向で検討を進めるべきである。
→ 無年金、低すぎる年金を憲法25条にそって、どう解決するかが基本であるべき。また97年を境に、社会保険料収入が、非正規雇用の拡大、賃下げで頭打ちになっている。働くルールの基本が要である。
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