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安倍政権と集団的自衛権〜その背景と矛盾(メモ)  

 柳澤協二・元内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)の共著「改憲と国防」(2013)より「安倍政権と集団的自衛権〜その背景と矛盾」の備忘録。
 昨今の集団的自衛権の論議が、「公海上の米艦の防衛」「米本土へミサイル迎撃」など、軍事的にあり得ない事態、現実の防衛上のニーズにもとづく議論でなく、現実と乖離し、それ自体がアジアと日本の安全保障にとって極めて危ういものであることを明瞭に解明している。
 最後に、問題の核心を「日本が現代史において戦争を主導した事実を踏まえ、その自己否定の上になりたつ憲法と、そうした歴史観を再度否定して戦争を主導した日本を自己肯定する改憲思想との、いずれが今日の世界において通用するのか。その世界観と自己認知について、日本人は何を恥ずべきなのか誇るべきなのか」を提示し、「こうした深い自覚と知的葛藤なしに国家像を語るべきではない。」と指摘する。

【安倍政権と集団的自衛権〜その背景と矛盾】  

 柳澤協二 2013 「改憲と国防」より

・なぜ「集団的自衛権」なのか—事実にもとづいた真摯な説明はない
 → 第一次安倍内閣「安保法制懇」の説明〜「米国を助けなければ日米同盟が崩壊する」「他国がやれることを日本がやれなくていいのか」とった情緒的説明。

・憲法解釈見直しの主張~「従来の解釈が時代にあわなくなった」が最大の論拠
 → その主張自体が現実と乖離。日本を取り巻く情勢、米国の戦略変化の中で矛盾がさらに拡大。


【安全保障に関する「情勢の変化」と政府の対応】

 憲法解釈の見直しの「根拠」〜「情勢の変化」とは何を指すのか。まずこれまでの対応のスケッチ

(1)冷戦期の政府解釈

・1972年、政府解釈「集団的自衛権の行使は、自衛のための最小限度を超えるため許されない」
 〜 4次防をめぐり国会で激しい論戦/57年、1次防以来、倍々ゲームで加速。「米国の戦争に巻き込まれる」との懸念を払拭する必要に迫られた。
・79年、ソ連のアフガン侵攻を契機に冷戦の激化
〜 「防衛費のGNP1%枠」撤廃。「日本有事において日本防衛に当る米国艦艇を護衛することは(個別的自衛権による)自衛権の範囲」との見解

(2)冷戦終結とPKO

・89年「冷戦終結」、91年湾岸戦争 日本130億ドルの戦費負担
 〜「小切手外交」と揶揄され「湾岸のトラウマ」が残る
 (メモ者 使途のわかっている90億ドル=1兆1800億円のうちアメリカに1兆780億円、クウェートには6億3千万円でしかない、)

・92年、カンボジア内戦の終結。「PKO協力法」を制定、自衛隊を初めて外国領土に派遣
 自己防衛のための武器使用のみを認める〜 論拠/ 自己または自己とともに現場にいる隊員等の防御は「自己保存のための自然的権利」であり、憲法が禁止する海外の武力行使には当らない。
 〜 この考えは、周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法などにも受け継がれ、保護の対象は「自己の管理下に入った者」にまで拡大/  自己保存であれば「シロ」というだけで、他のケースは「グレー・ゾーン」

(3)周辺事態と新ガイドライン

・93年 朝鮮半島危機(北朝鮮の核開発表明)〜 「米軍が北朝鮮の海上封鎖に踏み切った場合、我が国が何も協力できなければ日米同盟は崩壊する」との危機感から、96年、日米安保共同声明
→ 冷戦後の日米同盟に、「地域の安定」という新たな意義づけ/ 日本有事(安保5条事態)を前提として研究されてきた日米協力の範囲をわが国周辺における事態(6条事態)における協力まで拡大
・「日米防衛協力の指針」(ガイドライン)の見直しに
 協力は、情報、輸送、補給、医療、遭難者の探索など「それ自体は武力行使に当らない活動」

→ が、情報・兵站・救助などは戦闘行為を支える活動
→そのため「米軍の戦闘行為と『一体化して』我が国自身の武力行使と評価される」ことのない「歯止め」として「活動の期間を通して戦闘行為が行われない地域」(非戦闘地域または後方地域)という概念を創設

(4)ミサイル防衛システムの導入

・03年 北朝鮮のミサイル発射をうけて、ミサイル防衛システムの導入を決定
・05年 実戦配備とともに自衛隊法の改定/ 事故などで我が国領域に落下するミサイルの破壊措置を制定
→ 他国からのミサイル飛来は、通常は武力攻撃であり個別的自衛権の範囲。/事故などでは、相手側の攻撃の意図が不明で、日本有事と認定できないので、自衛権でなく被害防止のための警察権を根拠とした。

★事実の確認 /事の賛否は別にしても、冷戦時も冷戦後も、日本政府は「情勢の変化」を踏まえ「集団的自衛権に踏み込むことなく」重要な安全保障上のニーズに応えてきた。

【第一次安部政権の「4類型」】

集団的自衛権に関するこの問題設定は、

・軍事的にあり得ない事態を前提として「これができなければ日米同盟が維持できない」
・PKOについては、わが国がどこまでの任務を引き受けるか、という政策的な課題を棚上げしたまま「他国並みの任務ができないのはおかしい」

〜として見直しを求めている/ が、現実の防衛上のニーズにもとづく議論ではない。

(1)第一類型 公海上における米艦の防衛

・問題設定〜“公海上において自衛隊艦艇の近傍にいる米艦が攻撃されたとき、これを共同で防衛しなければ同盟の信頼が損なわれるため。米ガンを防護することが必要ではないか”

・日本有事の場合は、米艦を個別的自衛権として防護できる、との政府見解がある。

・では、「日本有事でない」状況で、自衛隊の近傍にいる米艦が突然攻撃させる場合とは?

 例)北朝鮮への威嚇効果を持った演習、北朝鮮に接近した海域での情報収集活動
→そうした行動をとる米軍が、なんら警戒態勢をとらずにいることはあり得ない/ そのような状況で突然米艦が攻撃されなすすべもなく損害を被れば、艦長、指揮官は軍法会議もの

・北朝鮮であれ中国であれ、米軍を攻撃すれば相応の報復を招き、本格的な戦争となることを覚悟する必要がある。全軍が戦闘態勢に入ると考えるべき。/そのような動きは、必ず察知され、米軍も態勢を整える
→ これこそが政府の言う「抑止力」の本質 /それゆえ、攻撃が未然に「抑止」される。

・意図的な攻撃なら、米軍の報復の拠点となる在日米軍基地、自衛隊基地を同時に攻撃すると考えるべき

★意図的な攻撃は抑止されるというのが政府の基本認識/仮に抑止が失われた場合、米軍への攻撃は日本の攻撃と並行して行われ、日本有事となり、「個別的自衛権」で対応できる。/必要ならば「敵基地攻撃」も可能

・自衛隊の近傍で米艦が攻撃される可能性があるのは、戦争の意図のない「摩擦的衝突」
→ この場合は、外交的な危機管理によって事態の早期収拾を図るべき。/やみくもに自衛隊が応戦して事態をエスカレートさせるのは、アメリカにとっても望ましいことではない。/現にアメリカは、冷戦期以来、かかる事態には、外交的解決をはかってきた。

(2)米国に向う弾道ミサイルの迎撃
・問題提起〜“米国本土がミサイルで攻撃されれば、我が国の防衛にも支障をきたす”“ミサイルの軌道を分析するには一定の時間が必要となるため、当該ミサイルが米国に向う可能性がある場合も含めて、早期にこれを迎撃できるようにする必要がある”

・ミサイルの迎撃には正確な軌道解析が必要〜軌道を解析するには、推進ロケットが燃え尽きて弾頭に与えられる運動エネルギーの総量を確定する必要がある。それをもとに弾頭が描く放物線を特定し、その放物線上の未来予測位置にむけて迎撃ミサイルを発射する。
〜 迎撃ミサイルは、通常、弾頭よりも速度が遅い。向ってくるミサイルに対する「待ち伏せ」に近い

・米国に向う長距離ミサイル〜相当の高度・速度で、日本から離れていく/ これを弾頭より遅く、到達高度の低い迎撃用ミサイルで「追跡して」打ち落とすことは不可能。

・06年7月 北朝鮮のミサイル発射演習〜スカッド、ノドン、新型ミサイルテポドン2の7発発射
→新型ミサイルは失敗したが、意味は明瞭。スカッドは勧告国内、ノドンは日本、テポドン2は、ハワイ、ガァムにある目標を同時に攻撃する能力を誇示したもの
→ 米国の攻撃は韓国、日本への攻撃と連動する。米国攻撃は「日本有事」と一体であること。

・その状況で、米軍は期待するのは在日米軍と日本事態の防衛であり、米本土の防衛ではない /自己完結的な戦略防衛力を自国で賄うことは、米軍事戦略の重要な構成要素〜同盟国といえ他国に依存することはない。

(3)第三類型 国際的な平和活動における武器使用

・問題提起〜“任務遂行の妨害排除や、いわゆる「駆けつけ警護」を含む他国要因の防護のための武器使用を認めなければ、他国軍隊との齟齬を生じ、今後の国際的な平和活動への参加が限定される”

→ これは第4類型と同様、「国連の集団措置や多国間協力にかかわるものであって、集団的自衛権を含む個別国家の自衛権の問題ではない」

・政府解釈〜憲法は国際紛争を解決する手段として武力行使を禁じており、PKO等における武器使用も相手が「区にまたは国に準ずる主体」である場合には、国際紛争に該当する可能性がある。
→ 安保法制懇の指摘するように、国際紛争を停止・解決するための国際活動とわが国が当事者である国際紛争を同一に扱っている点で再考の余地がある。/国際的な秩序形成において、より積極的な役割を果たす必要がある・・一般論としては同意できる

→が、我が国が他国と同様に、武装勢力との戦闘を前提とした、すべての活動に参加すべきか否かは、別の問題/ すぐれて日本自身の国家像の問題

・従来の解釈は、「日本は海外において戦闘任務には従事しない」という国家像を表現したもの

・アベコベの発想 「他国並みに武器使用ができないから、他国並みの任務を果たせない」
→ 武器が任務を決めるのではなく、任務が武器を決める。/日本がいかなる任務を果たす必要があるか、を具体的に議論すべき

(4)第四類型 PKO等に参加している他国の活動に対する後方支援

・問題提起〜“後方支援業務を行う場合、「武力行使との一体化」の基準を適用すれば、武器・弾薬の輸送や現地の治安情勢が変化した場合に医療を継続することが難しく也、日本が得意とする輸送・医療といった能力を活かすことができなくなるのではないか”

→ PKOを例示しているが、停戦合意、当事国の受け入れ合意、中立の維持など「参加5原則」があって「非戦闘地域」概念が採用されていない。/問題設定自体に違和感がある。

・この論で言えば、イラク派兵でより危険なバクダットなど戦闘地域に派遣できる。周辺事態法で、「日本有事」ての線引きをした「一体化」概念の放棄し、日本有事でない場合も武力行使できる
→第三類型、第四類型は、国民の理解の得やすいPKOを例示しながら、実質的には「周辺事態」やグローバルな対テロ戦争における米軍協力を念頭においたもの。
→本音と論理の乖離/ 同時に、米国が対テロ戦争から撤退しつつある現状との乖離が拡大

【米国は何をもとめているか】

・冷戦期 〜ソ連海軍の太平洋進出を制約/ 三海峡封鎖、1千海里のシーレーン防衛
 〜 日本は、対潜水艦能力、防空能力の向上を「個別的自衛権」の範囲内で米戦略の不可欠の構成要素

・冷戦後 〜 兵員・物資の輸送、資金協力/ 民間は応ぜず。資金提供も最初は小額だったため、米国は「トゥー・リトル、トゥー・レイト」と不満を露に/ 日本には、「人的貢献」しなければ国際的な評価は得られないとの「湾岸のトラウマ」が残る

・北朝鮮危機 ガイドラインの改定で、集団的自衛権に踏み込まず、やるべことを明確にし、米側も評価

・ブッシュ政権 アーミテージ国務副長官 集団的自衛権に踏み込むことを公然と求める。イラク戦争への自衛隊派遣のもとで、この要求は米国政府内で勢いを増す。/米国主導の有志連合による新たな国際秩序維持の枠組みの中で、日本により積極的な役割を求める
・オバマ政権〜 米国の優先目標は、台頭する中国に対するアジア太平洋地域の軍事均衡の維持へイラクのようにグローバルな同盟協力をもとめる声はきかれなくなった。

・集団的自衛権推進論者のマイケル・クリーンにしての「誤解」〜 最大の実質的障害として、日本が得た情報をもとにアメリカが軍事行動とれは集団的自衛権に抵触するため情報共有ができない(朝日新聞インタビュー2013/2/21)
→自衛隊の艦艇・航空機は、米国のデータリンクに加入しており、情報共有は実施されている。政府は「何時何分に向かって撃て」というなら武力行使だが、単なる情報の提供であれば「憲法に抵触しない」と答弁
→ 実務家のグリーンの認識がこのようなものである以上、米国においても集団的自衛権の行使がなければ同盟が機能しない事態が何か、具体的なケースを提示できない、というべき。

【中国脅威論と集団的自衛権】

 米国が対テロ戦争から完全に手を引き、アジアにおける力の均衡維持に重点を移している今日、対テロ戦争で世界規模での対米協力の拡大を目的とした6年前と同じ問題意識で、憲法解釈の見直しをすることに、どんな意味があるのか

・「平和のフロンティア部会」報告書(2012夏)〜アジア諸国との連携強化のために集団的自衛権に関する憲法解釈の見直しを求めた/が、日本が何をしようとするのか、アジア諸国が何を求めているかは触れていない。
→ 仮に南シナ海の海洋の安全確保の協力〜日本の役割は海洋情報の提供、警察機関の能力向上で「自衛権」は関係ない。

→ 領土問題での不安、不満のうっ積は事実/が、集団的自衛権行使の要否は、安全保障戦略から判断されるべきで、感情的反発で決められるべきでない。/しかも、領土防衛は「個別的自衛権」の問題

→ 「他国の領土問題に関与しないという米国に尖閣防衛を軍事的支援を確約させるため、他の場所における米国の戦争を支援する必要がある」という論/ 米国が自国の国益に反する軍事介入することはない。何より安保条約第五条は、そんな条件つきのものではない。

→ 東南アジア諸国と協力して中国に対抗する意味なら、アジア諸国は対中包囲網となるような日本との軍事協力はのそんでいない

★一言で言えば、中国脅威論を前提とした集団的自衛権はなりたつ余地はない

【アジアの緊張の中核にいる日本】

・アジアの緊張要因~海洋権益とその前提となる島の領有権をめぐる対立の存在
〜 南シナ海を除けば、いずれも日本が当事者として関係。日本の対応がアジア諸国から注目されている/平和的な解決の道筋を確立すれば、アジア全体の「お手本」として歓迎される/逆なら全体な悪影響に
〜 加えて、日本には過去の侵略戦争にかかわる歴史認識をめぐる軋轢があり、問題を複雑化している

→ 領土問題の解決の糸口をつかめないまま、「タカ派路線」に転換しつつあると受け止められている日本は、まさに地域の不安定要因になっている。

・領土問題はゼロサムで妥協の余地がない。いずれも歴史問題とリンクしており国の威信をかけた象徴的な問題になりやすい 〜 漁業や資源の問題なら、合意によって分配する方が合理的

・軍事的な視点/ 中国の狙いが南シナ海、西太平洋への進出にあるなら、戦略拠点として尖閣の軍事的価値は乏しい/ 他の多くのルートがあり、戦術的にも攻めやすく守りにくい島を死守する作戦は犠牲が大きい
→ それでも対立が先鋭化/ 軍事戦略的動機よりも民族的対立の象徴だから。/米国が介入しないのは、その認識があるから。関与すれば歴史的スパンでの関与が余儀なくされる

・日中韓の国家関係の中心〜 経済的文化的相互依存関係/その中で、最後の敵対的要因として、歴史を含む自己認知の食い違いがある。

→ 拒否的抑止力(メモ者 侵略を撃退するための抑止力。通常の相手国に耐え難い被害を与えることを目的として「抑止力」とは違う概念)は必要だが、根本的解決には、軍事的解決よりも相互の危機管理が急務/ より長期的には、相互の認知の相違を認め合う思想の枠組みづくり。

・中国にとって尖閣は危機管理の対象から、野田政権の尖閣国有化をめぐる稚拙な外交の結果、中国の国家レベルの問題になり、中国の目標は「棚上げ」から「日本の実効支配の否定」あるいは「領土問題の存在を認めさせること」に変化
→ 一方、国家間の本質的特徴が対立でなく相互依存である以上、対立が飽和点に達すると修正のニーズが手で来る/ その意味で、悪化しようがないところまで悪化している。
→ 当面は、対立がエスカレートしないよう管理しながら、時間はかかっても互いの信頼関係を1から作り直す努力が必要。

・歴史問題では、相手の「被害認識」に寄り添う姿勢が必要 〜 侵略行為の自己批判を「自虐史観」として排泄する姿勢は、「被害認識」を突き放すものであり、中韓との和解を妨げる最大の要因
→ 米国の懸念もそこにある/ 安倍首相が集団的自衛権を手土産にして訪米し、同盟強化を演出しようとしても、米国がのらなかった理由 / 
→ 周辺国と生産性のない相互認知の齟齬を引きずる日本は、米国の利益にとっても有害

【安倍政権が最大の不安定要因】

・安倍首相が忌み嫌う「戦後レジーム」とは、憲法の平和主義と軍事的対米従属を「車の両輪」としているのに、排斥するのは「憲法の平和主義」だけを限定されている。

→ それを「時代の変化」「情勢の変化」で正当化しようとしている/ 行き着く先は、軍事的対米従属となる平和憲法の価値体系を放棄し、対米従属一辺倒の態勢を構築することに他ならない。

・冷戦後20年を経て確立された対米協力重視の「日米同盟基軸路線」は、米国が、軍事力による世界秩序の構築をめざした対テロ戦争から決別しつつるある今日も、日本政府の外交・安保政策の唯一のよりどころ 

→ 沖縄問題が一向に進展しない背景/米国の抑止力への無批判な依存が思考を固定化していることが要因
/地理的優位性で言えば、沖縄をアジア経済圏のハブとして位置づける道や歴史・文化的に日本の将来にとって重要な資産(琉球王国はもともと広く友好関係を築いてきた)と位置づけることも可能だが、トータルで柔軟な戦略的発想ができなくなっている。政府の発想の貧困が最大の障害。

・米国の軍事戦略のふらつき/米中の経済的接近と軍事的ライバル関係が併存。
〜領土問題 日米で明確な国益の違いがあり、同盟一辺倒では解決の道がない
〜国家像 「米国の同盟国である」「日本の戦争は正しかった」というだけの自己認知では、情勢の対応できない。

・米国の懸念する歴史認識を前面に押し出しながら、軍事的目的が説明できない集団的自衛権によって国益に取り入ろうとする安倍首相の発想は、自らの思考の矛盾に無関心であるたけに、余計に危うい

→ いまや安倍政権こそが、日本の安全保障にとって最大の不安定要因

★憲法は、日本がいかなる世界が望ましいと考え、その世界においていかなる国でありたいか示す
 国民の考える国家像、世界像の反映/日本の場合、そこに二次大戦の引き金となり敗北した国としての過去の清算が含まれている。それゆえ問題は

〜日本が現代史において戦争を主導した事実を踏まえ、その自己否定の上になりたつ憲法と、そうした歴史観を再度否定して戦争を主導した日本を自己肯定する改憲思想との、いずれが今日の世界において通用するのか/ その世界観と自己認知について、日本人は何を恥ずべきなのか誇るべきなのか
ということ。

→ こうした深い自覚と知的葛藤なしに国家像を語るべきではない。/安倍首相をはじめ政治家の言葉はあまりにも軽いのは、そうした知的葛藤の裏づけのない空疎なスローガン製造機になっているから。

・安倍首相「侵略の定義は定まっていない」(2013.4.23 参院予算委員会)
→1国の政治指導者が、自国におこなった戦争に関して侵略かどうかわからないとの趣旨の発言をすること/歴史観のないことの現われ
→ 何が侵略かわからなければ国の安全保障は語れない。/そういう政治指導者をもったことを恥なければならない。

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