ネバダ州でのオスプレイ事故 「着陸失敗」でなく「墜落」
沖縄タイムスの取材に、事故機の所属する海兵隊ら証言。基地内での会話では、「着陸体勢に入ったとたん、すぐに基地に戻る必要を示す警告ランプが点灯」(オートローテーション機能がないためただちに着陸を試みる必要があり)、「周辺一帯、何もない平地だったのが幸いした。地面に突っ込むような形で着陸し、乗員が機内から外へ飛び出した後に機体は燃え始め、やがて黒こげとなったそうだ」と話されていることが明かになった。同基地は「機体は飛べなくなるほどの損傷を受けた」と米地元紙に答えているとのこと。
住宅密集地での飛行の危険性があらためて明らかになった。
【オスプレイ:「あれは墜落だ」操縦士ら証言 沖縄タイムス8/30】
【米ネバダ州でのオスプレイ事故 「墜落」が濃厚に 琉球新報8/30】
【オスプレイ:「あれは墜落だ」操縦士ら証言 沖縄タイムス8/30】
【平安名純代・米国特約記者】26日午後(日本時間27日午前)、海兵隊垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ1機が米ネバダ州のクリーチ空軍基地近郊で着陸に失敗した事故で、事故機が所属するカリフォルニア州ミラマー基地の海兵隊員らが、事故をめぐる生々しい会話を交わしていることを本紙取材に明かした。米軍は、現場検証やパイロットら乗員から事故発生時の聴取など原因の解明を念頭に調査を進めているが、公表される情報は限定的だ。
ミラマー基地所属のオスプレイのパイロットは本紙に対し、「(事故機は)着陸体勢に入ったとたん、すぐに基地に戻る必要を示す警告ランプが点灯。機内に緊張が走ったそうだ」と話す。
オスプレイは他機種のヘリと違い、オートローテーション機能がない。そのため、着陸を促す警告ランプが点灯した場合、パイロットはただちに平たんな場所を探し、着陸を試みる必要がある。
「周辺一帯、何もない平地だったのが幸いした。地面に突っ込むような形で着陸し、乗員が機内から外へ飛び出した後に機体は燃え始め、やがて黒こげとなったそうだ」
海兵隊員らは着陸を「墜落」と形容し、機体は「黒こげだ」と証言するが、同基地広報は「ハードランディング」との表現に終始し、「墜落」という印象を否定する。
事故発生時の状況をめぐり、情報を共有する海兵隊員らは、「乗員が助かったのは奇跡だ。間一髪の判断で最悪の事態を免れた」「わずかな瞬間の判断が生死の分かれ目となる。パイロットは良い判断をした」などと興奮した声で状況を話す。
オスプレイのパイロットで、2010年アフガニスタンで起きた空軍CV22墜落事故の調査委員長を務めたドン・ハーベル元空軍准将は本紙に対し、「オスプレイにオートローテーション機能がないというのは周知の事実。警告ランプが点灯した場合、ただちに平たんな場所を探して着陸を試みるのは常識だ」と指摘。だからこそオスプレイの事故防止には、機体の整備に関する情報の共有と開示がより重要だと訴える。
今回の事故発生現場は、クリーチ空軍基地から約5キロ、ラスベガスから北西約80キロの公道沿いの地点で、周囲に住宅などがない平地だ。
米軍普天間飛行場には、事故機と同型のオスプレイが配備されている。
もし、こうした状況が同飛行場で起きていたらどうなっていたか。今回の事故は、オートローテーション機能を持たないオスプレイを、住宅街と隣接する同飛行場に配備する危険性をあらためて提示している。
【米ネバダ州でのオスプレイ事故 「墜落」が濃厚に 琉球新報8/30】【ワシントン29日=島袋良太本紙特派員】米西部ネバダ州で現地時間の26日(日本時間27日)に、米軍普天間飛行場配備機と同型の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが着陸に失敗した事故について、事故機が所属する米ミラマー基地は29日、琉球新報社の取材に対し、事故機から乗員が脱出した後に機体が炎上したと明らかにした。炎上を招くほどの強い衝撃が機体に加わっており、事実上の墜落事故だったとみられる。米軍は着陸失敗について「ハードランディング(危険な状態での着陸)だ」と説明している。
ミラマー基地基地広報官のカール・レディング少将は、事故発生地点について「あらかじめ設けた連邦政府の遠隔着陸地だ」と説明。ミラマー基地は事故発生現場から事故機の飛行記録が入った「ブラックボックス」を回収したとも説明した。
事故経緯については現段階で回答は控え「事故原因の調査は継続中だ」と説明した。事故発生地点は事故機が当日に訓練をしていた米空軍クリーチ基地から約5キロの距離。米国内の環境と異なり、市街地と隣り合わせに基地が存在する沖縄で発生した場合、市街地を巻き込む事故になっていた可能性が高い。同基地は既に「機体は飛べなくなるほどの損傷を受けた」と米地元紙に答えている。
一方、在沖米海兵隊は29日、事故機と同型機のオスプレイを米軍岩国基地(山口県)から普天間飛行場に長距離飛行させた。普天間に追加配備される予定だった12機中、岩国基地に駐留したままだった残り1機に動きはなかった。機体に何らかの不具合がある可能性が高まっている。
普天間飛行場に飛来したのは、3日に追加配備されていた番号「11」の機体。午前11時50分ごろ岩国基地を離陸し、午後2時6分ごろ普天間に着陸した。同機は23日、普天間からほかの2機と一緒に岩国に移動していた。ほかの2機は25日に普天間に戻った。
県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)の要請行動で上京中の仲井真弘多知事は29日、事故原因などが公表されずに、飛行を継続していることに「原因究明をしてから飛行するのが当然だ」と不快感を示した。
米海兵隊は30日、CH46ヘリコプターとオスプレイの追加配備機を交換するため、部隊再編式典を開催する予定で、同機は式典に合わせ帰還したとみられる。
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