改憲、ナチスの手口学んだら 副総理 ~国会放火・共産党弾圧、排外主義
麻生抜く総理が「ワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。あの手口を学んだらどうか。」と語ったという。
これは、国会放火事件を「理由」に、共産党の弾圧・非合法化など、民主主義の圧殺のもとですすめられた。「いつの間にか」ではない。学ぶとしたら、民主主義の圧殺のもとで・・・ということでしかない。
もうひとつ。ベルサイユ条約の過酷な規定が、ドイツ内部の不満を鬱積させ、排外主義へとすすんだ。「歴史認識」など排外主義をあおるのが「いつの間にか」の土台である。
邪魔者を消し、メディアを抱き込み、「ウソも100回言えば真実になる」もとで改憲・・・ 本質が良く分かる発言。
なお、自民党は、ナチスの起こした戦争も「侵略」と認めていない(89年、不破質問に対する竹下登首相の国会答弁「後世の史家が評価すべき問題だ」)。
【ナチスの手口学んだら…憲法改正で麻生氏講演】
追記 8/1
【麻生氏「ナチス」発言 看過できない重大問題だ 琉球新報・社説8/1】
【ナチスの手口学んだら…憲法改正で麻生氏講演 . 麻生副総理は29日、都内で開かれた講演会で憲法改正について、「狂騒、狂乱の中で決めてほしくない。落ち着いた世論の上に成し遂げるべきものだ」と述べた。 その上で、ドイツでかつて、最も民主的と言われたワイマール憲法下でヒトラー政権が誕生したことを挙げ、「ワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。あの手口を学んだらどうか。(国民が)騒がないで、納得して変わっている。喧騒けんそうの中で決めないでほしい」と語った。
【麻生氏「ナチス」発言 看過できない重大問題だ 琉球新報8/1】失言・放言癖のある人だから、では済まされない重大発言だ。
麻生太郎副総理兼財務相が講演で、憲法改正をめぐり戦前ドイツのナチス政権時代に言及する中で「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」と述べた。
当時、世界で最も民主的で先進的といわれたワイマール憲法を現在の日本国憲法になぞらえて、改憲の必要性を説く中で出た言葉である。
麻生発言の向こう側に、ワイマール憲法破壊後に戦争に突き進んだナチス政権と、憲法を改正して国防軍創設などを目指す自民党、安倍政権の姿勢が重なって見えると言ったら言い過ぎだろうか。
1933年の政権奪取後、ナチス政権は「一家に1台フォルクスワーゲン」のスローガンの下でアウトバーン建設など公共工事を推し進めて景気を回復。一方で、反ユダヤ主義などでナショナリズムを刺激し、政権基盤を固めた。
その「手口」に学び、アベノミクスによる景気回復を強調し、尖閣などの領土問題や歴史認識問題でナショナリズムを刺激する。こうした中で「改憲やむなし」の空気を醸成する。そういうことか。
ナチス政権は国会議事堂放火事件を政治利用し「緊急事態」に対処するためとして、内閣に立法権を一時的に付与する「全権委任法」を成立させた。同法を根拠にナチス以外の政党の存在を認めずに、独裁と戦時体制を確立したのだ。
自民党の憲法改正草案も98条と99条で「緊急事態」に関する規定を設けている。有事や大規模災害時に、法律と同等の政令を制定することができるなどの権限を内閣に付与するものだ。これもナチスの「手口」に学んだのか。
自民党、安倍政権の改憲目的は、戦時体制を整えるためにあるのかと思われても仕方があるまい。しかし、緊急事態規定がいかに権力によって乱用され、悲劇的な結果を招くかはナチス政権を見ても明らかだ。
昨年の衆院選での自民党同様、ナチス政権も民主的制度の下で合法的に政権を奪取した。しかしその後に、かつての日本と同様に戦争への道を歩んだということを、国民は肝に銘じる必要がある。
首相の任命責任も重い。麻生氏は民主主義を否定するつもりはないとも述べたが、額面通り受け取る人がどれだけいるだろうか。
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