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所得倍増は「農家個人ではない」と農水大臣・・・意味不明の「農村所得」

 政府の「農業・農村所得倍増目標10カ年戦略」の分かりやすい農業情報研究所の説明
この所得倍増とは「農家個人ではない」(林大臣)とのこと。では「農村所得」とは・・・“そもそも「農村」とは何なのか。具体的にはどういう範域なのか、それが示されないかぎり、倍増の基準となる所得さえ確定できない” “何を意味するのか分からない”とのこと。
「農業所得」について、倍増目標とは過去最高の1978年の5兆4206億円をも上回る。 1980年と比べ経営耕地面積71%、農家数は半分近く、価格は10%低下。“(生産者)価格が倍以上に上がらないかぎり倍増はない。むしろ減少をこそ恐れねばならない”
10 ヘクタールに農地集約をすれば、経営体数はほぼ7分の1になり、“農村社会は生気を失う恐れがある。” “TPP参加となれば、規模を拡大した担い手農家さえも壊滅するだろう。”
こんな政策はやめるべき、と指摘する。
(メモ者 せいぜい、農村地域に輸入食材の加工工場をつくり「所得倍増」ってこと・・・ )
【意味不明 矛盾だらけの政府・与党の農業・農村所得倍増目標10カ年戦略6/2】

【意味不明 矛盾だらけの政府・与党の農業・農村所得倍増目標10カ年戦略6/2】

 政府・与党が参院選に向けて喧伝する「農業・農村所得倍増目標10カ年戦略」の「農業・農村所得」とは一体何なのか、ますます分からなくなってきた。
 自民党は、「意欲ある地域や担い手の所得が倍増する姿を目標とし、効果的な施策と現場力を 引き出し、『農家が生産する喜びを実感できる』農業・農村を構築し、食料・農業・農村 基本法に基づいて、食料安保と多面的機能の維持を図る」ために、例えば、「土地利用型農業(水田・畑作)にあっては、基幹的農業従事者1人 が平均 10 ヘクタール耕作する姿を視野に農地集積を図り、新規需要米・加工用米の増産による水田フル活用を進めるとともに、国産需要に応える大豆・麦の生産拡大を図る」という。
 
農業・農村所得倍増目標10カ年戦略―政策総動員と現場の力で強い農山村づくり― 2013年4月25日
 https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/pdf098_1.pdf

 ところが、「林芳正農相は29日の衆院農林水産委員会で、政府が掲げる農業・農村の所得を10年間で倍増させるとの目標について『農家個人ではない』と明言した。その上で『農業・農村全体の所得を増大させる観点で多様な地域の状況を踏まえながら検討を行っていく』と述べた」(日本農業新聞 2013年5月30日 農業・農村の所得倍増 「個人でなく全体」 農相)という。

 自民党の言う「意欲ある地域の担い手」には地域の経済活動を主導する多様な主体が含まれようが、その中心をなすのは、やはり「農家個人」であろう。とすれば、政府と与党の間には、明らかに齟齬がある。そして、自民党の言う「農業・農村所得」が何を意味するかについてはある程度見当がつくが、政府の言う「農業・農村所得」が何を意味するかはまったく不透明だ。
全体としての「農業所得」の意味はほとんど自明だが、「農村所得」が何を意味するのか分からない。そもそも「農村」とは何なのか。一定の地理的範域を示すことは確かだろうが、具体的にはどういう範域なのか、それが示されないかぎり、倍増の基準となる所得さえ確定できない。とすれば、こういう目標の実現に向けて総力で取り組みますと言うこと自体、農家・農村地域票を増やすための甘言にすぎないと受け取られても仕方がないだろう。

 何を意味する分からない「農村所得」については、なにかれ言うこと自体が無意味だろう。そこで、「農業所得」を問題にしよう。
 全体としての厳密な意味での「農業所得」は、農水省が公表する「生産農業所得統計」に示される「生産農業所得」であろう。これは、米をはじめとする穀類・豆類・いも類・野菜・果実・工芸作物など諸耕種作物、諸畜産物、加工農産物の産出額を基に得られる「生産農業所得」で、その実額の推移は下図に示す通りである。2011年現在2兆2700億円、これを10年で倍増させるということは、10年で5兆5600億円に増やすということであり、これは過去の最高記録である1978年の5兆4206億円をも上回る。
 現在(2010年)の経営耕地面積は335万3619㌶で、1980年の470万5587㌶の71%しかない。農業生産を担う農家の数は、1980年の466万1384戸から257万7348戸へと半分近くに減少している。生産農業所得を倍に増やすには、価格低下傾向(2010年を100とする農産物総合価格指数は1980年代には110を超えていたから、10%以上低下している)を考えれば、生産を倍以上に増やさねばならない。耕地、農家(農業労働力)がますます減少していくなかで、そんなことが起こり得るだろうか。(生産者)価格が倍以上に上がらないかぎり、生産額、生産所得倍増などあり得ない。むしろ減少をこそ恐れねばならない。
 
 では、「意欲ある地域の担い手」の所得倍増を目指す党の戦略の整合性はどうか。「意欲ある地域の担い手」とは具体的には何を指すのか、これも極めてあいまいで、従って基準となる現在の所得も知りようがない。だから、ここでは、ともかく将来の担い手の候補者が含まれる可能性があるだろう現在の経営体、あるいは農業従事者(統計数字が得られる「農業専従者」)の所得を取り上げようと思う。いいかげんなはなしと言われるかもしれないが、もとがいいかげなのだから、大変不当だという誹りがあるとすれば、それもまた不当というしかない。
 
ここでは、日本の農村地域に最も広汎に広がるを水田作経営とその農業専従者を取り上げよう。
 表に見られるように、都府県の水田作経営の農外所得も含めた平均農家所得は437万円で、5〜10ha経営ではその倍に届かず、10㌶以上の経営ではその倍以上となっている。農業専従者一人当たり農業所得でも同様である。ということは、現在の平均的な経営所得または農業専従者所得を基準とするならば、「基幹的農業従事者1人が平均 10 ヘクタール耕作する姿を視野に農地集積」を進めれば「担い手」所得を倍増させることができるだろうという自民党の言い分は、ほぼ当たっていることになる。
 
表1 水田作経営作付面積規模別所得(平成22年、都府県)

(1ha未満は05ha未満と05〜1haの区分の平均を取った)
1ha未満 1〜2ha 2〜3ha 3〜5ha 5〜10ha 10ha以上 平均
1経営当たり農業所得①(1000円) -66 491 1,088 2,080 5,271 9,095 398
同農業生産関連事業所得(同) 0 0 0 14 8 7 2
同農外所得(同) 7,543 1,836 2,059 2,262 1,541 1,335 1,906
同年金等収入(同) 2,264 2,058 1,506 1,172 853 612 2,064
同総所得②(同) 4,061 4,385 4,653 5,528 7,673 11,049 4,370
農業専従者一人あたり農業所得(千円) -90 2435 4730 3894 5729 6639 3393
 
しかし、現在(平成24年)の都府県水稲作付総面積は152万7000㌶である(耕地及び作付面積統計)である。この総面積が変わらなとすれば*、所得倍増のためにこれを10㌶ずつ割り当てられる担い手の数は15万2700にしかならない。現在(平成24年)の水田作経営体数は105万6200だから(農業構造動態調査)、水田経営体の数は現在のほぼ7分の1に減ってしまう。7戸に6戸が米づくりから撤退せねばならないということだ。こういう農家がどうして『生産する喜びを実感』できる」のだろうか。それで「『農家が生産する喜びを実感できる』農業・農村」が構築できるのだろうか。

 所得倍増目標戦略は、一握りの農家の所得を倍増させるために、大多数の「非効率」な農家を切り捨てる結果につながる恐れがある。それにより農村社会は生気を失う恐れがある。その上、こういう戦略はTPP参加への抵抗を和らげるために打ち出されたものであることも明白だ。TPP参加となれば、規模を拡大した担い手農家さえも壊滅するだろう。政府・自民党、こんな戦略は一刻も早く見直すべきだろう。さもないと、肝心な農家・農村の信頼も失うことになるだろう(たとえば、→県内農家不安の声「農業・農村維持できぬ」 佐賀新聞 13.5.27)。 

 *日本の米消費減少傾向は簡単には止まらないだろう。政府は「攻めの農林水産業」で輸出市場拡大を目指すというが、農水省がまとめた品目別輸出戦略では米と米加工品の輸出額を現在の5倍の600億円に増やすというが、これは現在の生産額1兆8500万円に比べれば無いにも等しい微々たるものだ。生産拡大どころか、生産調整廃止も難しいだろう。
 最近、住友商事が中国に100万トンを輸出する計画と明かしたが、これもあくまで希望にとどまる。中国の米輸入が急増しているのは確かで、近々世界最大の米輸入国になるとも言われているが、これは国内農家保護のための高米価を嫌う業者がビルマ、ベトナム、カンボジアなどの超安値米の調達に走っているからだ。超高価格の日本米がそんなに売れるだろうか。
 飼料米生産拡大も叫ばれるが、輸入飼料と競うまでに成長するのはまだまだ先のことだ。


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