資源ゴミは誰のもの〜「高知方式」崩壊に懸念
高知市のゴミ行政は、70年代の革新市政時代に、大量消費社会からの転換をめざす市政と市民の共同の取り組みとして進んで来た。
それまで有料だった家庭ゴミの収集を無料化し、あわせて不燃物など資源ゴミの収集は、市民自ら分別し、地域の収集所を管理する方法を粘り強い合意形成をはかりながら推進してきた。
これにより、不燃物の中間処理場がいらず極めて低コストのゴミ処理を実現した。
無料化により、低所得者も金銭的負担なくゴミ出しができ、不法投棄の防止にも役立っている。
地球にやさしい高知市をつくろう、人にもやさしい高知市をつくろう、という共同体として取り組み、主権者としての取組と評価できる。
ところが地元紙に旧春野町から合併した団地で、資源ゴミを直接業者に売って資金を作っていることが、肯定的に報道された。
まったく賛成できない。高知方式に統一するよう粘り強く市は説得すべきである。こうしたことが広がれば高知方式は崩壊する。
高知市のゴミ行政は、コミュニティの論理になりたっている。市場の論理を持ち込めば、当然、資源にならない不燃物の処理は「有料化」と方向に行かざるを得ない。主権者でなく、消費者となれば、売れるもので利益を得る、一方、サービス提供には代価を払う、という論理に、摩り替わっていくからである。
同時に、「高知方式」の資源・不燃物処理には時代にそぐわない問題点が存在する。
リサイクル社会が急速にすすみ、ゴミの資源物として価値が高まってきたからである。
高知市が地域毎に月1回実施している不燃物などの収集業務は、高知市再生資源処理協同組合に特命随意契約で委託されている。
委託内容は、①不燃雑ゴミと②資源ゴミにわかれる。
主な委託内容は、
①は、「不燃物収集の、不燃雑ゴミについての収集運搬の業務」
②は「高知市の指定区域に集められた資源物を市の業務計画に従って行う収集運搬業務及び集められた資源物等について可能な限り活用を図るとともに残処理の必要なものは市の指定場所へ運搬処分」
となっている。
①は、純粋な運搬で、約4千万円弱の委託料。
問題は②。
②について外部監査で「予定価格調書によると収集経費のうち、その15%は高知市再資源処理協同組合の売上金を充てる」とされているが、覚書に規定がなく「一定の算定方法によって積算された収集経費から明確な根拠がないまま減額することは適正でない」と指摘されていた。
そのうえで、08、09年には、1億3千万円前後の契約しておきながら、途中に「70,000,000 円、100,000,000 円の多額の契約変更(減額)を行っている」。
外部監査は、変更の理由が不明として「当該協同組合からの申出書にも、市の変更理由にも社会経済情勢の激変等の理由の“一言半句”も記載されないまま、妥当と判断することは適正でない。」と指摘した。
どういうことかといえば・・・
資源ゴミで多額の収入が発生したために、あうんの呼吸で減額しているのである。しかも、その減額分は、市の一般財源に入っている。
住民組織には一戸あたり年150円の協力金を、再生資源処理協同組合が支給しているが(これもおかしい。住民は、この組合に協力しているわけではない)、市民の協力で得た収入をこっそり市が自分のものにしているということである(これまでどれだけ減額分=資源物での収入があったのが明かにし、市民に報告すべきである。)
では、なぜ、そのようなことが起きるか。「資源ゴミは誰のものか」が不透明だからである。
2012年3月に市は、ゴミステーションから資源物の持ち去り禁止を条例化した(本文は、ホームページの例規集が変更されてないため見られない状態)。
つまり、無主物でなく、市、住民のものであることを条例化した。
しかし、それが運搬する段階で、委託先の高知市再生資源処理協同組合の所有物になっていることが、委託契約からは見てとれる。それを行政が認めているということ。
それが先に示した「売上げの15%の減額」「多額の返還金」となってあらわれている。
要は、資源物は、あくまで市民の財産であることを明確にすれば、その販売は、他自治体でも実施しているような定期的な入札で希望する業者に販売する。その利益は、住民に還元すべきである。
②の契約も、①と同様のもとにして、資源ゴミについては、市民の財産として扱いを明確にしなくてはならない。
財産を扱っているのだから、その適正管理は、公的な関与の強まりが必要となる。公社化など検討しなくてはならない、と思う。
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