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中間的就労〜 行政の姿勢で真逆の働き

 生活保護の申請手続きの改悪とならんで進められている「生活困窮者自立支援法」。
その柱となる「中間的就労」。釧路市などの例をあげて重要だ、と議会でも取り上げてきた。
 釧路市は「私たちの支援の対象となる人たちは、社会的排除や孤立の中にいて、人に対する信頼、社会に対する信頼を失っています。そうじゃない、人間としての誇りを取り戻し、希望を持って生きる方法があるんだと言うのが私たちの取り組みです。それは、いわば人間回復運動です」と語っている。
 一人ひとり寄り添う行政の姿勢が肝である。でないと、「就労支援」を名目とした生活保護の抑制、「困難を抱えた人を安価な労働力として利用し、労働市場全体を悪化させる、いわゆる『貧困ビジネス』になりかねないという危険性も持ち合わせている」(みずほ情報総研)。そして公務の劣化を促進する。
いくつのレポートより。
【注目される釧路市の生活保護行政(自立支援のとりくみ)日本共産党釧路市議団 梅津則行】
【釧路市自立支援プログラムの取り組み状況
【生活困窮者支援策として注目される「中間的就労」の可能性と課題 みずほ情報総研5/7】
【生活困窮者は日本経済低迷の犯人か!? 再起の可能性を奪いかねない厚労省の困窮者支援策 みわよしこ】

 ここで問題になるのは、釧路市議団もしているが、ケースワーカーの不足、また経験・専門性の低下である。
自立支援など、より添う型の支援には、苦労した人の思いをくみとれる姿勢が必要であり、活用できる社会資源がどこにあり、どこに働きければ、どんなメニューが出てくるか、など幅広い視野と専門知識がいる。また、貧困ビジネスや生活保護者を食い物にしようとする暴力団などの関係については、毅然と対処できる構えも必要である。

たとえば、高知市では、こうしたことに対応できなくなっている。以前なら市役所で対応できたものが、対応できなくなり、それを社会福祉協議会やNPOなどに押し付けられる。「新しい公共」というが、公務の劣化である。
今回の「生活困窮者自立支援法」も高知市は社協に委託する模様である。もっとも複雑で困難な部門が次々とアウトソーシングされている。
  
  中間的就労〜 人間回復運動なのか、生活保護費削減のツールなのか、その姿勢で、まったく違ったものになる。そして後者の流れが柱になるのではと、危惧をする。


【注目される釧路市の生活保護行政(自立支援のとりくみ)日本共産党釧路市議団 梅 津 則 行】

はじめに

 私たちは、毎日の相談活動で、生活保護の申請を勧めることが多い。「借金の返済で行き詰った生活を立て直したい」「リストラになり仕事も貯金も無くなった」「離婚調停中、小さな子どもを抱えて生活をどうしたらいいか」「病気が悪化し、仕事が出来なくなった」「うつ病の息子の今後の生活が心配」など、理由は多岐にわたりますが、困ったときの「最後のセーフティネット」としての役割は大きなものがあります。私たち市議団は、市民の「生活再建」のために大いに活用しています。
 また、私たちは、釧路市の生活保護行政が全国的に行われている「水際作戦」「硫黄島作戦」ではなく、「受給者」への支援に取り組むことを議会で求めてきました。そして、その釧路市の取り組みがNHKに取り上げられるなど、全国からも注目されています。
 そこで、「自立支援」に関わる釧路市の生活保護行政と議員団の取り組みについて報告したいと思います。

1.釧路市の生活保護の現状□~地域経済衰退による被保護世帯数の増加

(1)生活保護率と有効求人倍率

 釧路市の生活保護率は、平成元年から減少を続けてきましたが、バブル崩壊・景気の後退から平成9年度より増加に転じています。そして、平成14年度には基幹産業の一つである太平洋炭鉱の閉山などもあり地域経済がさらに悪化し、受給世帯は増加しています。全国平均では、有効求人倍率が1を超える水準まで改善されていますが、釧路市においてはこの10年間0.4倍台と低迷しています。地域経済の改善、とりわけ「仕事がなければ」保護率を減少させることはできません。それは、「保護率と有効求人倍率」の相関関係からも明らかです。

(2)母子世帯の割合

 世帯類型では全道、全国と比べ、高齢者世帯の割合が低く、母子世帯の割合が高い特徴があります。これは釧路市においては、過去一貫して離婚率が高いことが影響しているものです。母子世帯の占める割合は全国平均の約2倍と高い一方で、その稼働率は全国・全道平均を上回っています。母子世帯は、その半数が働いて(稼動)います。これは、就労に努力している面と就労しながらも収入が少なく生活保護を受けざるを得ないことを示していると考えます。つまり稼働収入等で不足する分を生活保護で補っている実態を反映したものです。ここにも地域の経済・雇用環境の厳しさが背景にあると考えられます。
*釧路市には2004年現在、児童扶養手当を受給している母子世帯が2700世帯。そのうち生活保護受給世帯はおよそ3分の1の853世帯で、その約4割の346世帯は母親が就労しています。釧路市の保護世帯の稼働率は15.3%であり、これに比べても母子世帯の稼働率は高いと考えます。

(3)保護開始と廃止理由

 保護を開始する理由で割合が増えているのは「就労収入減・喪失」と「不就労収入減」です。「就労収入減・喪失」の増は、厳しい地域経済、雇用情勢の下、リストラ等による失業、減収が増加した反映です。一旦失業したら、求人が少なく再就職が難しいこと、その求人も35%をパートが占める状態(平成16年)であること、就労できても少ない収入または仕事は不安定であることなどが影響しているものです。
 また、「不就労収入減」の増は、長期化した不況の中で預貯金を取り崩して生活にあて、そのたくわえも底を尽き、保護を申請している方、収入が減り親を扶養出来なくなった子どもから離れて、生活保護を申請する高齢者の方です。そういう市民が増えていることが関係しているものと考えられます。
 平成15年度、16年度において、「就労収入増」による保護廃止の世帯が増えています。これは雇用環境が厳しい中でも、保護を受給している方の努力と釧路市における就労支援員の配置、ハローワークとの連携によるもの考えられます。履歴書の書き方などを含め、具体的な支援の効果ではないでしょうか。平成17年度以降も同様の傾向を示しています。


2.注目されている釧路市「自立支援プログラム」

  昨年12月に放映されたNHKスペシャル「ワーキングプア・~解決への道~」で釧路市が実施している「自立支援プログラム」事業が紹介され、問い合わせが相次いでいます。また、全国から議会視察も後を絶ちません。それは、「生活保護制度を使いながら、ワーキングプアの人たちを支援する」という釧路市の取り組みが注目されているからではないでしょうか? この自立支援プログラムを進める方々の考えも傾聴に値します。「私たちの支援の対象となる人たちは、社会的排除や孤立の中にいて、人に対する信頼、社会に対する信頼を失っています。そうじゃない、人間としての誇りを取り戻し、希望を持って生きる方法があるんだと言うのが私たちの取り組みです。それは、いわば人間回復運動です」と言う点です。「貧困から抜け出すためのプロセス」として釧路市の自立支援プログラムを実践する意義は大きいし、そのことが関心を呼んでいるのだと思います。

(1)  釧路市の自立支援プログラムの特徴

 このプログラムの特徴は、生活保護から自立し、就職するまでのステップをいくつも用意し、それが、被保護者の状態に応じて設定されていることです。心身の不調で働けない人、社会とのつながりを無くした人。こういう人にはまずボランティア活動からはじめもらう。このことを通して「やりがい」や「地域社会とのつながり」を取り戻してもらう。働きたいけど職がない、働いても収入が低くて生活できない人には、資格取得や職業訓練の支援を行い、より条件の良い仕事に就くための手助けをする。就職先も短時間のパートから開始し、徐々に勤務時間を増やす。また、パートから正社員になるというようにステップを少しずつ上がっていく。このように、それぞれのペースで自立を目指すこと、同時に「段階を踏みながら」NPO法人や福祉、環境各法人をはじめ社会資源に依拠した社会参加で進めることなどを特徴としています。

(2)  取り組み経過

 平成16年度から2年間厚生労働省の指定により「被保護母子世帯自立支援モデル事業」を実施。公立大学と共同研究を行い、釧路市における母子世帯の実態と今後の課題を明らかにした。この中から、「就業体験的ボランティアプログラム」「日常生活意欲向上プログラム」が策定された。平成18年度からは対象を仕事可能な年齢層まで広げて、本格的自立支援を展開。今までこの事業を支援してくれた関係者からの助言も参考に、新たに公園や動物園での作業や障がい者の施設での作業、多重債務者やDV被害者の支援プログラムも策定された。平成19年度は、更に、「野外農園での農作業体験」「重度障がい児施設でのボランティア体験」を実施し、「成年後見制度活用プログラム」が策定された。更に、高校進学を希望する中学3年生を対象とした「高校進学希望者学習支援プログラム」(みんなで高校行こう会)も実施された。平成20年度はケースアセスメント(診断)を行い1人1人の支援方針を提示し、それに沿ったプログラムに参加できる仕組みをつくることになっています。
 これらの「事業」の参加者は、平成18年度で実人数で155名ですが、延べ人数は978人にのぼります。そして、委託及び連携事業者は別紙のとおりです。

(3) 「自立支援事業」の意義

 私たちは、この「事業」には、2つの大きな意味があると思います。
 この事業の参加者には、単身の年配者もおり、いままでは行く場所もなく、人と話す機会も少ない方がいます。そういう方が障がい者の作業所にボランティアとして参加し「行くところができて楽しい。外に出ると言っても病院とスーパーくらい。あとは一人でテレビを見ているだけの生活だった。家にいても余計なことを考えてしまうだけ。ボランティアが生きがいになっている」と感想が述べられています。この事業で新たな出会いや作業経験を通して社会と触れ合うことで、「行ってよかった」と思っています。この事業が、「自分を確認する場」「能力を生かせる場」など、その人の「居場所」を提供できる事に大きな意味があります。
 また、被保護世帯は、それぞれの事情により、長期にわたり社会との関係が希薄になってしまいます。その方が、いま一度社会への一歩を踏み出そうとするときに、自分を生かせる場を取り戻して、「自分にもできる」と感じること、人からお礼を言われ「誰かに役立っている」と感じ、自分自身が好きになる。自己肯定感が持てる。そんな取組にもなっていると思います。
 この事業を通して、自己肯定感が持て、新たな自立への「自信」が生まれてくることに大きな意義があると思います。

3.共産党市議団の対応と議会論戦

 「100億円を超える生活保護費が財政を圧迫している。それにも関わらず不正受給者も多い」。財政問題にからめて生活保護受給者を「攻撃」する質問が議会で出されます。また、地元マスコミも「生活保護費100億円を超える」などの一面を強調する報道に終始しています。私たちは、「不正問題」にはきちんと対処すること同時に、憲法25条を生かした「生活保護行政」を進め、生活保護受給者への援助と支援を強く求めてきました。そして、財政問題についても、生活保護費が財政を圧迫しているわけではないことを論戦で明らかにしてきました。

(1) 保守系議員と財政当局の「財政圧迫論」に対して

 この10年間の生活保護費は、予算ベースで平成10年度67億円→平成20年度119億円と急増しています。しかし、そのことが釧路市の財政を厳しくしているわけではありません。それは、生活保護費の4分の3は国庫負担金、4分の1は地方交付税で、国から「支払われる」ものです。釧路市の負担はほとんどありません。この意見に対して市は「地方交付税が減ってきているので、その影響は大きい。とくに義務的経費のうち扶助費は増え続けている」と反論します。もちろん、地方交付税の減額は地方財政を直撃しています。しかし、補助金などを除いた市税や地方交付税などの経常一般財源は、総額は扶助費より公債費(借金の返済)が多額です。これは、国の「指導」のもとで行った「不要不急の大型公共事業」のツケが大きいと考えます。ですから、生活保護費が増えることで「財政がピンチ」になるわけではありません。財政問題を言うのであれば「借金の総額」を減らすことに力を注ぐべきでしょう。また、生活保護に関わる費用は、本来、人件費も含めすべて国が手当すべきものと考えます。

(2) 財政措置と自動車所有の拡大を求める

 私たち市議団は、財政問題の論戦と同時に自立支援の取り組みを継続することが重要と考えています。そこで、平成17年度6月議会では、「母子家庭世帯自立支援モデル事業」から個々の家庭に応じた自立支援プログラムの取り組み、平成18年度2月議会では、自立支援プログラム事業について市独自の支援策の強化を求めてきました。
 この事業は、平成16・17年度はモデル事業として全額が国の負担で実施されています。その後も、釧路市は「先進市」として、市の財政負担はありません。しかし、全国的には、国の負担が2分の1で、自治体も2分のⅠの負担があり、「自立支援事業」の取り組みは広がっていないと聞きます。また、釧路市においても、平成20年度より、2分のⅠの負担となるようです。本来、生活保護費は「法定受託事務」ですから、自立支援プログラムの費用は国が全額負担すべきです。しかし、国が財源を削減する中で、釧路市としての財政措置も検討すべきと考えます。

○自立支援予算
平成16年度 655万円 平成17年度1,095万円 平成18年度 886万円
平成19年度 977万円 平成20年度1,207万円

 さて、「就労のチャンス」を広げるには車の所有が欠かせません。私たちの相談においても、車の処分が「足枷」となって生活保護の申請を躊躇する事例が多くあります。それは、車を処分すると「探す仕事の範囲」が非常に狭くなるからです。自立を勧めながら、車処分を求めるのは矛盾しています。また、一般的には、被保護者が車を所有している場合に、事情を知らない市民から苦情も出てきます。そんなことから、仕事上不可欠な自動車の保有が認められていても、積極的な対応とはなっていません。そこで、平成18年度6月議会では、被保護者が「ホームヘルパー」「病院給食調理」の仕事で車使用を認めている事例を示して、車の使用を広げるように求めました。今後も、就労に必要な事例を積み重ねていきます。


(3) 「就労指導」の留意点

 全国的には「自立支援プログラム」が導入されて「就労の強要」が広がっていると言います。「就労指導」は、年齢や性別、健康状態はもちろん、個人や世帯の実情などを踏まえて実施されるべきものです。釧路市においても、「就労を強要された」と受け取る被保護者が出ている中で実施されている自立支援プログラムです。自立支援プログラムにおいては、保護を受けている人に「内容及び手順を明確に提示した上で、被保護者の同意を得ることを原則とする」としています。釧路市においても、今までと同様に、この原則をしっかり堅持して進めることを求めていきます。

(4) 体制上の課題

 さて、生活保護需給世帯が増え保護率が急上昇し、被保護世帯80人に一人のケースワーカーという標準数を確保することが困難となっています。その一方で嘱託職員を導入しています。

 (表 略)
 
 増える受給世帯と難しい複雑な問題が福祉事務所に集中する状況において体制強化と職員の高い専門性と経験が求められます。
 その点では、他の課が人員削減する中で、若干の人員増と多くの嘱託職員の採用は、財政が厳しいなか努力が伺われます。しかし、自立支援員の方の手取りが10万円あまりで、人件費削減で、前の年より5,000円減っていることは看過できません。支える側の生活が十分保障されない、NHKがいう「支える側もワーキングプア」という問題が残されています。

 また、福祉事務所の職員採用の点でも問題があります。昭和48年~50年ころは、一般事務職とは別に「ケースワーカー職」採用があったと聞きます。しかし、現在は専門職の採用が、極めて限られています。また、この4月から図書館に指定管理者制度が「強行」されましたが、その背景には司書採用をしてこなかった事も、一つの問題点として残っています。現在の福祉事務所で仕事をしている職員で「ケースワーカー職」として採用された方は4~5名にとどまっています。また、「生活福祉事務所のケースワーカー」として通算15年~25年の経験を持っている職員が少なく、3年未満のケースワーカー経験職員が半数近くを占めます。福祉の分野も一定数の「専門家」が必要です。その点での改善も求められています。
 さて、その一方で「限られた人数」の中で、受給者増への体制を変更しています。昨年度から、高齢者世帯だけを専門に対応する第八担当を設置し「見守りと高齢者独自の支援課題」に取り組み、一方で、高齢者以外の「傷病・障がい・母子・その他」世帯については「就労から生活」までの自立支援を進める体制をつくりました。このことは、「組織的な条件づくり」として「可」ですが、今後の「実績と課題」に注視したいと思います。


【釧路市自立支援プログラムの取り組み状況】

◇目的
 生活保護受給者の「自立」をエンパワーメントの視点で地域資源と共に「支援」することを目的としています。

◇内容

 受給者の自尊意識を回復させるため、中間的就労として地域のNPO等各事業者と協力し、有償・無償のボランティア活動等を通じ受給者の居場所づくりに取り組んでいます。
 こうしたことをきっかけに新たな就業の場の発掘につながったり、再就職の道が開けたり、その人なりの自立した生活が営めることを目指しています。


 釧路市の自立支援プログラムは・・・・・

A「就労支援プログラム」
B「就業体験的ボランティアプログラム」
C「就業体験プログラム」
D「日常生活意欲向上支援プログラム」
E「その他のプログラム」
に分かれています。

特徴はB、C、Dが一般的な就労支援とは異なるところにあります。
具体的にどんな事を行っているのか、活動の様子を写真で紹介します。


・インターンシップ事業(廃材分別作業)
・授産施設作業体験(古着の裁断、ウエスづくり)
・動物園ボランティア(クマの餌の箱詰め)
・公園管理ボランティア(花壇の植え替え)
・介護施設ボランティア(ふまねっと実践)
・農園ボランティア(除草作業)

◇ボランティア参加者の感想

・公園管理ボランティア
ボランティアでは、いい汗をかいて清々しくとてもやりがいがあった。
いろいろと話もするし、冗談も言えるようになった。
生活面でも前向きに、日々がんばっています。

・動物園・公園管理ボランティア
週2回のボランティアのおかげで、就職することができました。
社会復帰する第一歩だと思います。お世話になりました。

・福祉施設ボランティア
家の中にいる時間が多いので、ボランティアは気分転換になる。

・病院ボランティア
初めは慣れなくて戸惑いもありましたが、患者さんとお話するのが楽しみになりました。患者さんに言われた「ありがとう」という言葉はとてもうれしかったです。

・農園ボランティア
生活のリズムが出てきて体調が良くなった。
自立しようと頑張った昔を思い起こす感じです。

◇自立支援に協力いただいている団体

・財団法人 釧路市公園緑化協会
・NPO法人 釧路市動物園協会
・NPO法人 おおぞらネットワーク
・NPO法人 くしろ・ぴーぷる
・介護老人保健施設 ケアコートひまわり
・社会医療法人孝仁会 星が浦病院
・グループホーム はまなすの家
・デイサービス わたすげ共栄・興津
・ヘルパーステーション わたすげ
・社会福祉法人釧路恵愛協会 いずみの里
・NPO法人 地域生活支援ネットワークサロン
・阿寒町観光振興公社
・株式会社 ビケンワーク

◇協力事業所の感想

・皆様の働きのおかげで大変助かりました。
・真面目に一生懸命作業に取り組んでおり、安心して作業を任せられます。

 釧路市では、これらの自立支援プログラムの取り組みにあたり、専属のコーディネーターとして自立生活支援員2名(嘱託職員)を配属しています。
自立生活支援員は受給者と事業所を結ぶ橋渡しの役割を担っており、受給者の希望を踏まえた参加事業所との連絡・調整、参加状況の把握、CWへの状況報告など行っています。

 また、事業所の委託費及び嘱託職員の人件費に関しては「離職者の安心生活支援事業費補助金」(緊急雇用創出事業臨時特例基金)によって賄われています。(平成22年度現在)


◇子供支援

・高校進学希望者学習支援プログラム

 中学3年生を対象に高校進学に向けた学習支援をNPOと協力し行っています。
地域がこどもを支援する居場所をつくり、希望する高校への進学、及び中途退学を無くし将来的な貧困の連鎖防止を目指して取り組みました。
 チューター(勉強を教える人)はNPO職員、大学生、高校生、ケースワーカー、生活保護受給者など様々。
高校生となった子供たちも、チューターとして翌年度以降の学習会に参加するなど、支援される側が支援する側になる循環型スタイルになっていることが特徴であり、ここ「冬月荘」が子供たちだけではなく、大人も含めありのままの自分で居られる大切な居場所となっています。

・こども支援委託事業所  NPO法人 地域生活支援ネットワークサロン

 こども支援協力事業所への委託費は「セーフティネット支援対策等事業費補助金」によって賄われています。


 釧路市生活福祉事務所編集委員会による釧路市自立支援プログラムの現状について書いた本(「希望をもって生きる」生活保護の常識を覆す釧路チャレンジ・A5判・160頁・発行CLC・1,680円)が筒井書房より出版されています。
 これまでの生活保護行政の常識を覆す取り組みとして全国から脚光を浴びています。
 この本は、それに取り組む釧路市の様子を書いたもので、手探りで何の手本もない中で悩みながら歩んできました。この支援によりどのような効果があったのかなどを一冊の本にまとめたものです。

【生活困窮者支援策として注目される「中間的就労」の可能性と課題 みずほ情報総研5/7】

 社会政策コンサルティング部 福田 志織

 2013年1月25日、厚生労働省社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の報告書が発表された(*1)。同審議会は、近年増加の一途をたどる生活困窮者への支援策および生活保護制度の見直しについて包括的に議論したもので、今後の生活困窮者支援に関する施策に大きな影響を与えると考えられる。
同報告書では、地域における新たな相談支援事業の実施や就労支援事業、家計再建の支援といった様々な施策に加え、「中間的就労」という表現で「直ちに一般就労を求めることが難しい者」を対象とした「中間的な就労の場や社会参加の場」、「一般就労に向けた支援付き訓練の場」の必要性が述べられている。

 しかし、このような働き方はまだ定まった概念ではなく、それを取り巻く法制度等の整備もこれからである。ここでは、必要性が指摘されている「中間的就労」について、それがもつ可能性や制度化に向けての課題を紹介したい。

◇中間的就労とは

 前述の報告書に掲げられている「中間的就労」のポイントは次の通り要約できるだろう。中間的就労そのものに関しては、(1)疾病や障がい、生育環境等、様々な理由で一般的な仕事に就くことが難しい人を対象とする、(2)支援付きで軽易な作業を行う一般就労に向けた訓練の場とする、(3)就労のみならず社会参加の場として活用されることもありうる、(4)雇用契約に基づくケースと基づかないケースの両方が想定され、後者でも工賃の支給がありうる、との説明がなされている。また、中間的就労の制度化に際しては、(5)利用者は新たな相談支援事業によるアセスメントを経て決定し、本人同意の下で支援計画に基づいて就労する、(6)中間的就労事業は社会福祉法人、NPO、民間企業等が自主事業として実施する、(7)支援の質が担保され、利用者に対する不当な取り扱いがなされないよう、事業者に対する認定制度等の措置を検討する、といった点が検討されている。
上記のような働き方は、これまでも、生活困窮者支援に携わる民間団体等によって各地で取り組まれてきた。今後、中間的就労が全国的に制度化され、拡大していく上で、現在既に類似の取り組みを行っている団体は、先駆的なモデルとして重要な役割を担うと考えられる。

◇中間的就労における雇用契約

 当社では、厚生労働省の平成24年度社会福祉推進事業として、これらの先駆的な取り組みを行う支援団体を対象とした調査を実施した(*2、3)。

 本調査結果によると、一つの支援団体が中間的就労事業と、相談や職業訓練といったその他の支援事業を行うパターン(以下、内部型と表記)では全体の64.1%が、中間的就労の場を持たない支援団体が、支援対象者を外部の企業・団体に送り出すことで中間的就労事業を行うパターン(以下、外部型と表記)では全体の58.2%が、雇用契約に基づかない中間的就労を実施していた。合わせて実施したヒアリング調査では、中間的就労を一般就労に向かうまでの訓練期間として位置づけているケースや、一般就労が難しい人にとっての居場所としているケース等において、雇用契約に基づかない中間的就労が行われていた。また、雇用契約に基づかない場合の中間的就労においても何らかの形で現金支給が行われているケースは多く、その割合は内部型で69.5%、外部型では50.8%であった。

 現行法制度下では、障害者自立支援法に定められた事業を除き、雇用契約に基づかない就労や現金の支給については、その法的基盤が整備されていない。しかし、本調査によると、現在でも多くの団体において、そのような働き方による中間的就労事業が実施されていることがわかる。前述の報告書にある通り、今後制度化される中間的就労に、雇用契約に基づくケースと基づかないケースの両方を想定するのであれば、雇用契約外の就労や現金支給等に関する新たな枠組みづくりが、今後の課題になると言えよう。


◇中間的就労を適切に運営し、効果を最大化するために

 中間的就労は、就労に何らかの困難や不安を抱える人が「働く」ということに徐々に慣れていく上で、あるいは、地域社会に参加していく上で、非常に重要な支援であると言える。筆者は、調査の一環としていくつかの中間的就労事業所を訪問し、貧困や障がい、就労経験の不足等、様々なハンディキャップを持ちつつも、中間的就労によって自信をつけることで、少しずつ不安感を克服し一般就労に向かう方や、中間的就労の場を通じて地域社会とのつながりを保ち、いきいきと暮らす方々にお会いした。

 このような可能性を秘めた中間的就労は、しかしながら、困難を抱えた人を安価な労働力として利用し、労働市場全体を悪化させる、いわゆる「貧困ビジネス」になりかねないという危険性も持ち合わせている。これを防ぐためには、自治体等の第三者機関が、中間的就労を実施する事業所を厳格に審査する仕組みづくりが重要であろう。

 第三者機関は、利用者の状態や作業内容、指揮命令系統などを総合的に検討し、「雇用契約に基づいて行われるべき労働」であるか、「訓練的性格が強く雇用契約を締結することが難しい働き方」であるかを判断する。審査の結果、前者であると判断された場合には、事業所は必ず利用者と雇用契約を締結し、各種労働法制に則って雇用しなければならないし、これら適切な審査を経て、後者であると認定された場合でも、利用者の就労条件は、中間的就労の理念の下で適切に定められなければならない。例えば、労働保険に代わる補償や、工賃等の現金支給の方法および金額の目安等についてガイドラインが示されることが望まれる。また、中間的就労の定義は「支援付き就労」であり、その「支援」の部分についても、よりよい方法の検討や有効性の検証を行う必要がある。

 なお、「中間的就労」を設けることで、ハンディキャップを抱える人が従来以上に「一般就労」から排除されることがあってはならない。すべての人が、個人としての尊厳や人権を侵されることなく、いきいきと働くことのできる職場づくりへの努力は、どのような形態の仕事であっても、忘れられてはならないのである。


*1厚生労働省社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書」

*2アンケート調査は2012年11月~12月、生活困窮者への就労支援を行う団体318件を対象として実施し、131件から回答を得た(有効回答率41.2%)。ヒアリング調査は2013年1~2月、10の支援団体を対象に実施した。

*3みずほ情報総研株式会社「厚生労働省平成24年度 セーフティネット支援対策等事業(社会福祉推進事業)社会的就労支援事業のあり方に関する調査・研究事業 報告書」


【生活困窮者は日本経済低迷の犯人か!? 再起の可能性を奪いかねない厚労省の困窮者支援策 みわよしこ】より

◆自殺、孤独死へと追い詰めないか 特別部会報告書に対する懸念と疑問

 この特別部会報告書に関し、筆者が最も懸念しているのは、「中間的就労」の有効性と今後である。 
最悪の可能性として考えられることは、困窮者を対象とした「中間的就労」が、困窮者に対する事実上の強制労働となることである。生活保護を利用すると、親族ともども将来にわたって監視の対象とされる方向での法改正も検討されている。それでも、他の選択肢がなくなった人は、今後も、やむを得ず生活保護を申請するか、あるいは自殺や孤独死へと追い詰められていくかであろう。 

 生活保護を選択すると、就労が可能ならば就労指導が行われる。一般就労が困難であれば中間的就労へ、ということになる。それを拒めば、「自立への努力を怠る」という理由で生活保護を打ち切られることになるかもしれない。多くの人々は、いたしかたなく中間的就労に就くことになるであろう。その中間的就労は、経済的自立の可能性へと必ずしも結びつくものではない。また、同じ職場に一般就労者と中間的就労での就労者がいれば、差別・疎外を改めて味わうだろう。中間的就労での就労者だけを集めた職場を作れば、立場による差別への対策にはなるかもしれないが、その風景を思い描く筆者の脳裏には、どうしても「タコ部屋労働」という言葉が浮かび上がってきてしまう。 

 他にも、さまざまな懸念がある。 

 年収500万円と150万円では、必要なマネジメントの性格がまったく異なると筆者は思う。また、「高給取りの人に指導されてムカつく」「お金の使い方を他人に知られたくない」というのが、困窮していればいるほど、困窮者の自然な気持ちではないだろうかと思う。少なくとも筆者は、困窮時に「自分にとって何が必要で、そのために何を犠牲にすることができる」という判断に、他人が入り込んでくることを歓迎できない。必要ならば、公的にあてがわれる誰かにではなく、信頼できるファイナンシャル・プランナーに相談したい。 たとえば、困窮者の家計指導は、福祉事務所のケースワーカーでも新しい枠組みでの支援者でもよいが、困窮した経験のない人に行える性格のものであろうか? 

 就労指導も、特別部会で思い描かれているほどの成果は期待できないと思う。不況時こそ、その業界を熟知している人がいなければ、就労指導は成立しないのではないだろうか。たとえば「仕事を選ばなければ働ける」とされる仕事の代表格である清掃作業は、近年、求められるスキルの性格・就労のありかた・就労後の生活が、対象によって「全く」といってよいほど異なる。病院とホテルと個人の邸宅では、求められるスキルも業務内容も違う。就労指導が行えるとすれば、清掃業界を熟知し、現場から経営まで経験した後でコンサルタントになった人ではないだろうか。少なくとも、ハローワークには困難であろう。 

 最大の疑問は、「この新しい枠組みそのものを困窮者の雇用機会提供に使わないのはなぜ?」ということである。たとえば困窮者に対し、不足している教育・経験を補った後に相談窓口の相談員として雇用すれば、かつての自分のような困窮者に対し、「困窮」ということを熟知した上での「寄り添い」「支援」が可能であろう。 しかし、その「かつての当事者が、その問題の支援を通して納税者となり、社会を支える」という可能性は、全くといってよいほど検討されていなかった。 

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