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消費税・TPP 自民党の「意見書決議」案の本質

 高知県議会。各派から意見書決議案が出てきた。
自民党は、TPP交渉参加で2本、消費税増税で1本を出してきた。
 これが選挙を前にしたゴマカシ以外のなにものでもない。以下、3本の意見書の特徴と解説的意見。
 事態は「守るべきものも守れない」ことを日々証明している。
 【「聖域」死守は半数以下 政府筋 TPPで譲歩方針  東京6/20】
【輸出拡大へあらゆる手段=米通商代表が就任宣誓 時事6/22】

◆TPP協定交渉への参加に関する意見書(案)

・TPPの参加について「食料安全保障の観点からも極めて憂慮すべき事態になる」「園芸作物についても、大きな影響がでることは必至」「食の安全が脅かされることを多くの国民は危惧している」
→ だから高知県議会は、4度も反対の意見書を決議した。

・「交渉参加に踏み込んだ現段階においても、十分かつ正確な情報提供や国民的議論が十分といえない」
→ 交渉過程、内容が秘密にされるのがTPP。無理筋の要求。しかも民主政権よりも大きく後退している。

・具体的な事項では「重要5品目の関税など国益を必ず守るという姿勢でのぞみ、守ることができないのであれば脱退すること」
→ 「守らなくてはならないのもの」を事実上、重要5品目の関税に矮小化。食の安全や漁業の補助金などもある。なにより、これまで4度の意見書決議から後退。今までの決議にたつなら「交渉からの撤退」が筋。

◆医療費の上昇や医療の質の低下と薬価の高騰や不平等なISD条項に繋がるTPP交渉からの撤退をもとめる意見書(案) 

・「医療の質が低下に繋がることを多くの国民が懸念」「薬価の高騰に発展する可能性も指摘されている」「参加してからは引き返すことはできない」「不利益を被る不平等条約を強いられる可能性は否定できません」
→ 意見書のタイトルも、指摘している内容もそのとおり。だから県議会は一貫して参加に反対してきた。

・が、決議案は「このような国益に反する協定になる可能性があきらかになれば交渉からの脱退も辞さないものとすることを強く要望」
→ タイトルと内容が違う。タイトルは「交渉撤退」、内容は、「可能性があきらかになれば・・・交渉からの脱退も辞さないものとする」と、交渉を認め、しかも「辞さない」という曖昧表現。「交渉撤退」を明確にもとめていない。

◆消費税率の引き上げ時期について慎重な判断を求める意見書(案)

・「消費税に引き上げにあたっては、デフレを脱却し経済状況が交点することを条件」と明記。「しかし、地方経済や足元に目をむければ新たな雇用や賃上げ、消費拡大にはさらなる時間と対策が必要とする状況」、税率引き上げは「回復基調にある日本経済に冷や水を浴びせる行為に等しく、実質的な負担の増加、それにより消費の冷え込みおよび税収減に至ってしまうことが容易に想起される」
→ 地域経済は、燃料費、材料費高騰でさらに疲弊している。経済が回復基調にあるとは全く言えないが、増税が、経済を冷えこませ、税収減になることは「容易」にわかるというのはそのとおり。
 97年の増税は、景気も働く者の所得も上向いている中で実施しても、そうなったのだから・・・

・が、意見の内容は、「時期について慎重な判断を行うよう求める」というもので、消費税法付則18条3項の経済情勢によっては「施行の停止を所要の措置を講じる」という「施行の停止」を求めていない。
 
  高知県民の状況から見てどうしろ、という主張はない。
  政府に“「慎重に判断」して、増税を決めた”という免罪符を与えるだけのもの。


【「聖域」死守は半数以下 政府筋 TPPで譲歩方針  東京6/20】

 日本が七月に加わる環太平洋連携協定(TPP)の交渉で、コメなど五分野の「聖域」の半数以下しか守れないと政府がみていることが本紙の調べで分かった。五分野を守るためこれまで輸入農産品にかけてきた税金(関税)が撤廃されれば、対象の農産品は大打撃を受けるが、政府の複数の交渉筋は「聖域にかけている関税の半分を守れればいい方だ」とする。日本は工業製品の輸出拡大へ向けて各国の譲歩を引き出すため、日本の「聖域」では一定の譲歩が必要だとの姿勢だ。
 日本が関税をかけている輸入品は工業製品も含め全体で九千十八品目に枝分かれする。このうち「聖域」五分野は6%強だ。

 TPPはすべての品目の関税撤廃が原則で、日本政府の交渉筋は本紙に「全体の6%強を占める聖域の品目全てで関税を残すという目標は高すぎる。全体の品目の2~3%を守れればいい方だ」と指摘。さらに「何かを獲得するためには、何かを譲るのが外交交渉だ」と説明した。
 判断材料にするのは、米国が韓国やペルーなどと二国間で結んでいる自由貿易協定だ。TPPのように関税撤廃を原則としていないにもかかわらず、関税を残す品目の割合は4%未満で、ゼロに近いケースもある。

 政府は米国とのTPP事前交渉でも、米国が日本車にかけている関税を長期にわたって残す例外を受け入れ、甘利明TPP担当相が「これぐらいの譲歩は許容範囲だ」と発言。オーストラリアやカナダも、日本車にかける関税の維持を強硬に求める方針に転じた。
 甘利担当相は十八日、本紙の取材に対して聖域の譲歩の可能性を「まだ交渉も始まっていないのだから、これからだ」と述べた。

 自民党は七月の参院選で、政策集には「自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の聖域を確保できない場合は(TPP交渉からの)脱退も辞さない」と載せる方針。牛肉などの関税維持を求めている中央畜産会の幹部も「聖域全体を守れないなら、公約通り脱退してもらう」と話している。

<メモ> TPP交渉の「聖域」 自民党が関税を守ると説明するコメ、麦、乳製品、牛肉・豚肉、甘味資源(砂糖やでんぷん)の農産品5分野。具体的な関税を決めている「関税表」によると、例えばコメは玄米や精米、米粉など58品目に枝分かれする。このため5分野は、品目数でみると計586に膨れあがる。

【輸出拡大へあらゆる手段=米通商代表が就任宣誓 時事6/22】

【ワシントン時事】米通商代表部(USTR)のフロマン代表が21日、宣誓を経て正式に就任した。同代表は声明で、米国の製品・サービスの輸出拡大を目指す考えを表明。その上で「公正な競争条件を確保するとともに、米国の通商上の権利を強く主張するためあらゆる手段を駆使していく」と強調した。

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