物価高でも、年金が増えない仕組~安倍首相の虚言
アベノミクスが「物価上昇2%」をかかげている。
安倍首相は、4月17日の党首討論で「「物価が上がれば物価スライドするから、年金は上がる」と発言しているが詐欺に等しい。
年金は、単純な物価スライドではなく、賃金変動率と組合されている。賃金アップの壁がある。
さらに「マクロ経済スライド」のスライド調整率0.9%という壁がある。
しかも、実際には下がる事は決定されている。
年金額決定のしくみは概略以下のようになっている。
年金額決定のしくみは概略以下のようになっている。
1.物価・賃金の動向の反映
①前年の消費者物価変動率、②過去(前々年度以前3年間)の賃金変動率(被用者年金加入者の平均標準報酬月額の変動率)の組み合わせで決まる
「①<0%」のとき①
「0%<②<①」のとき②
「②<0%<①」のとき0%
・物価2%あがっても、
賃金が1%増なら、年金は1%しか上がらない。
賃金が下がれば、年金上がらない。
ということ
これが第一関門。
しかも賃金変動率は、5~3年前までの3年間の数字なので、仮に今賃金があがっても反映は数年後。賃金はこの間、下がりつづけているので、すぐには年金はあがらない。
2.「マクロ経済スライド」 スライド調整率0.9%の適用
公的年金の被保険者数の減少率(実績値)と平均的な年金受給期間(平均余命)の延び率を勘案した一定率で、2025年までは、スライド調整率は平均0.9%
a 賃金(物価)アップ 0.9%以上 → 調整率0.9%分削減
2.0%増なら、1.1%増に抑制
b 賃金(物価)アップ 0-0.9%未満 → アップゼロになるよう調整率を部分適用。
c 賃金(物価)ダウン → そのまま反映。調整率を適用せず
*第3回社会保障審議会年金部会 平成23年9月29日 資料より
物価(賃金)が0.9%を超えてアップしないと年金はあがらないし、アップ率から0.9%が差引かれる。
これが第二関門。
つまり・・・
アベノミクスで2%物価があがっても、年金は当面はあがらないし、賃上げが反映して上がったとしても物価にはとても追いつかない。ということ。
◆準備されている年金引下げ。
①2013年4月から 男性の厚生年金受給が 「60歳→61歳」に
②受給額 2013年から3年かけて2.5%も減額
2013年10月=1%減
2014年4月=1%減
2015年4月=0.5%減
合計=2.5%減
物価下落分を反映されてなかった特例措置の「是正」という説明だが・・・
・物価下落分の「差額」は1.7%。
1998-2010年の物価下落3.6%、年金給付減1.9% →差額1.7%
・なぜ「2.5%」なのか・・・
07,09年に物価上昇(1.7%)したが、賃金が上がってないため0.9%に「本来水準」を抑制。この0.8%分が「上乗せ」された格好になっている。
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Comments
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こんにちは
アベノミクスで格差はますます広がることでしょう。
結果、閉塞感はますます深まり、政情不安につながるのではないでしょうか
Posted by: ロートル医師 | May 11, 2013 05:33 PM