廃炉すすめば、使用済燃料プールの余裕ゼロに
経産省(原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会2012年2月23日)によれば11年9月末で、全原発の使用済核燃料プールの容量は20630トン。既に貯蔵されている量は14200トン。余裕は6430トン。一年間で約1千トンの使用済燃料が発生するので約6年という計算。
活断層の存在が否定できず廃炉になれば、使用済燃料プールはむき出しの原子炉と言われる危険な存在。移動が必要となる。現状はどうか・・・
①オール福島で廃炉をもとめている福島第一・第二、東海地震の危険から停止している浜岡原発のプールの空き部分980トン分は使える見込みがなく、「余裕」分から除かれる。
②活断層が指摘された敦賀原発、東通原発には、800トンを越える使用済燃料が保管(時事通信「『活断層』の敦賀、東通-安全確保に課題 」)
③福島第一、第二全体3080トン、浜岡原発1140トン。
〜 これだけで、全国の使用済核燃料を保管するプールの余裕はほぼなくなる。
原電と東京電力が共同で建設中の空冷式中間貯蔵施設が完成しても3千トン(最大5千トン)しかない。
・・しかも、全国の使用済燃料を引き受けている六ヶ所村のある下北半島島の沖合にある「大陸棚外縁断層」も活断層の危険が指摘されている。六ヶ所村には3000トン近い使用済燃料があり、「活断層」となれば原発政策は完全にアウトとなる。
廃炉廃棄物も行く先がなく、廃炉が決定しても廃炉が進まず放置される。使用済核燃料も移送できない・・という懸念は十分ある。巨大な廃墟が存在しつづける。地域の使い捨て・・・
【敦賀 残る核燃料リスク プールに使用済み1600体 東京新聞5/25】原子力規制委員会が、日本原子力発電(原電)の敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の直下に活断層があると認定したことで、今後、問題になりそうなのが使用済み核燃料だ。現在、原子炉に核燃料は入っていないが、原子炉建屋に併設されているプールには、一部に熱い核燃料が残る。浜田康男原電社長は二十四日の記者会見で安全性を強調したが、規制委は対応に苦慮している。 (大村歩)
活断層の認定をした二十二日の規制委定例会合で、更田(ふけた)豊志委員は2号機に残るリスク(危険性)について、(1)プールが壊れて水が抜け、核燃料の冷却ができなくなる(2)核燃料が損傷し、放射性物質が外部に出る-の二点を指摘した。
2号機は二〇一一年五月に停止し、炉内の核燃料百九十三体はすべてプールに移されている。その意味では、原子炉自体には炉心溶融などの危険性はなくなった。
やっかいなのは、プールで貯蔵されている約千六百体の使用済み核燃料だ。その多くは既に十分冷えており、理屈の上では安全な場所に移すことは可能。ただ、1号機のプールは核燃料の形式が異なるため使えず、原電が東京電力と合同で青森県むつ市に建設中の中間貯蔵施設(空冷式)は、まだ完成していない。
さらに問題なのが、一一年まで使われた百九十三体。使用済み核燃料は、熱い上に強い放射線を放つため、通常三~五年間はプールに入れ、水で放射線を遮蔽(しゃへい)しながら冷やす必要がある。
熱い核燃料であっても、専用の容器を使えば移送はできるというが、空冷式の施設はもっと冷えた状態でないと使えない。行き場はないのが現実だ。
規制委は、ひとまず2号機のプールが壊れた場合の影響を評価するよう原電に求める方針だ。
使用済み核燃料プールの危険性は、東京電力福島第一原発事故で実証済み。福島事故では、プールは壊れなかったが、冷却装置が止まり、自衛隊ヘリや高圧放水車、コンクリート圧送車を総動員し、かろうじて危機を脱している。
敦賀2号機の直下に活断層があると判断された以上、移せる核燃料だけでも安全な場所に移すなど、打てる手は打つことが必要だ。◆原電「取り出さない」
日本原電の浜田康男社長は二十四日の決算発表会見で、敦賀原発2号機内のプールで保管中の使用済み核燃料に関し、「プールの安全性は確認しているので、心配はない。核燃料を取り出す考えはない」と述べた。
原子力規制委員会から近くプールが損傷した場合の影響評価を求められることについては、「具体的にどういう指示が出るかを踏まえ検討する」と述べるにとどまった。
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