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行き場をなくした資金の行方~バブルの後始末がバブルを生む

 安倍政権の次元の違う「量的質的緩和」・・・株式、地価などバブルが始まっている。極めて危険な道。
 ところで2年前、野村HDと日経が運営している「まなぼう」で「世界経済はなぜ、バブルの発生と崩壊を繰り返すのか」のを説明している。
 バブルは、「何らかの理由で市場に大量の資金が供給され、行き場をなくした資金が一部の資産へ投資を集中させる、いわゆる『過剰流動性バブル』の発生が多い」、とし、「バブルの崩壊や経済危機といった世界的な事件が」、政府に大幅な金融緩和、大量の資金供給をもたらし 「次なるバブルの呼び水となる傾向が強い」。

賃金はあがらない、物価はあがる。実態経済が改善しない限り、「行き場をなくした資金」が暴れ回る。
 リーマンショックをもたらしたアメリカなどの住宅バブルを支えたのは安い円をばらまいてきたからである。実質実効為替相場(2010年100)は、その水準に迫ろうとしている。 愚を繰り返そうとしてる。
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 【世界経済はなぜ、バブルの発生と崩壊を繰り返すのでしょうか? 2010/7/21】
【賃上げ率が2年連続で低下 経団連、春闘第1回集計】
【一線越えた壮大な挑戦=「通貨堕落」に懸念も-日銀緩和策 時事4/4】
【安倍政権の2%物価目標で家計負担増9万円、本紙が試算 赤旗4/5】

【世界経済はなぜ、バブルの発生と崩壊を繰り返すのでしょうか? 2010/7/21】

◆投資家の多くは合理的に行動しない!?

 世界経済の歴史をひも解くと、古くは1600年代のオランダにおけるチューリップ・バブルから、最近では2007年にサブプライムローン問題として表面化した米国の住宅バブルまで、過去に数多くの大規模なバブルが発生しては、崩壊してきました。いま問題となっているギリシャ危機も、見方によってはユーロ・バブルの崩壊過程ということもできるでしょう。

 経済のバブルは一般に、「短期間で資産価格がその実態(実質的な価値)から大きく乖離して上昇する現象」と定義されます。

 資産価格がさまざまな投資家の心理や思惑によって形成される以上、それが実態からある程度、乖離しても不思議ではありません。ただし、過去の教訓があるにもかかわらず、バブルと呼ばれるほどの大規模な乖離が性懲りもなく何度も繰り返されているとなると、そこには何か避けようのない構造的な問題が潜んでいると考えた方がよさそうです。
 伝統的な金融理論のひとつに、市場価格は常に正しいと説く「効率的市場仮説」があります。この理論では、例え資産価格が実態から乖離しても、その時点で割安な銘柄を買って割高な銘柄を売るという投資家の合理的な行動(裁定取引)により、乖離状態は短期間のうちに解消されるのが当然と考えます。ところが実際には、資産価格の大きな乖離が長期にわたって継続し、裁定取引も十分に機能しないといったケースが意外なほど多いのです。
 効率的市場仮説では、投資家の多くが合理的であることを前提としていますが、ファンドやディーラーなどのいわゆるプロの投資家であっても、必ずしも合理的な投資行動をとるとは限らないのが現実です。例えばいま、Aというファンドがリスクの高い金融商品に投資して、高いリターンを上げているとします。Bというファンドが過度のリスクを嫌ってその商品への投資を避けた場合、リターンがAよりも劣ることにより、運用資金がAへと逃げ出してしまう恐れが出てきます。
 この時、ファンドBがファンドAにならってリスクの高い商品に投資することは、自らの利益の最大化を図る上では利にかなった行動といえるかもしれません。しかしながら、金融理論が前提とする裁定取引の観点からみると、それが著しく合理性を欠いた行動となる場合も多々あります。こうしてプロを含む多くの投資家が、

 合理性よりも目先のリターンを優先させて投資を行う結果、資産価格の実態からの乖離が拡大・長期化し、バブルにつながっていくと考えられます。

 同じく伝統的な金融理論によれば、資産価格が上がるか下がるかの確率は、常にランダム(無作為)とされています。しかし、例えば為替市場における最近の研究では、ディーラーがその時どきの相場トレンドを認知しているかどうかによって、為替の上下動する確率が変わってくるという観測結果が出ています。円相場が下落基調にあるとディーラーが判断した場合、今後も引き続き円が下落する確率が、上昇に転じる確率よりも高くなるのです。このように投資家が相場に追随して、いわゆる「順張り」をする傾向が強いことも、バブルの生成や崩壊に大きく関係していると思われます。

◆バブルの後始末が次のバブルを呼ぶ

 近年のバブルを検証すると、

 何らかの理由で市場に大量の資金が供給され、行き場をなくした資金が一部の資産へ投資を集中させる、いわゆる「過剰流動性バブル」の発生が多い

 ことに気づきます。例えば1990年代末の米国ITバブルは、97年のアジア通貨危機後に「質への逃避」として、米国の短期債券市場へ大量の資金が流入したのがきっかけでした。2004年頃から始まった米国の住宅バブルも、2000年のITバブル崩壊や2001年の同時多発テロを受けて、米国が大幅な金融緩和をしたことが背景にあります。
 その住宅バブル崩壊後、2008年に発生した世界的な金融危機に際しても、日米欧をはじめとする世界各国の政府と中央銀行が、景気対策や金融システム安定化を目的として異例の資金供給を実施しました。結果として、世界のマネー流通規模は金融危機前の2倍に膨れ上がり、それが今日、中国の不動産など新たなバブル発生の温床になっているのではないかと危惧されています。
 すなわち、バブルの崩壊や経済危機といった世界的な事件が、次なるバブルの呼び水となる傾向が強いわけです。事件が重大であればあるほど、てこ入れは大掛かりとなり、バブルへの懸念は高まります。こうした過剰流動性の問題について、今後はさらなる研究や対応が求められることになりそうですが、いずれにしても

 人びとが資金効率の最大化を図る「合理的ではないが優秀な投資家」

 であるかぎり、バブルは繰り返すのかもしれません

【賃上げ率が2年連続で低下 経団連、春闘第1回集計 共同4/5】

 経団連が5日発表した2013年春闘の第1回賃金回答集計によると、大企業の定期昇給を含む賃上げ率(加重平均)は、前年の初回集計時と比べ0・03ポイント減の1・91%と2年連続で低下した。回答額の加重平均は37円減の6203円だった。
 安倍首相が経済界に異例の賃上げ要請をしたが、月例賃金には明確な効果はなかったとみられる。
 回答企業はすべて定昇を実施、経団連は「当初は定昇も厳しいとしていた企業もあったが、最終的に政府要請が背中を押した可能性がある」と説明している。
 製造業の平均賃上げ率は、1・96%(回答額は6204円)、非製造業は1・81%(同6201円)だった。

【一線越えた壮大な挑戦=「通貨堕落」に懸念も-日銀緩和策 時事4/4】

 黒田東彦総裁率いる日銀が「量的・質的緩和」に踏み切った。白川方明前総裁とは次元の異なる大胆な姿勢は株高をもたらし、市場は歓迎ムードだ。ただ、黒田日銀による壮大な挑戦は、「通貨堕落」を通じた深刻な副作用を招く恐れがある。
 中央銀行としての独立性を明確にした1998年4月の日銀法改正以降、白川氏まで日銀プロパーの総裁が3人続いた。この間にデフレ脱却を果たせなかった責任は重いが、金融緩和で手を抜いたわけではない。必死に緩和策を模索し続けたものの、「一線を越える」のをためらったことが裏目に出た。
 その一線とは「通貨価値を意図的に下げる」ということだ。モノに対するお金の価値が相対的に高い状態をデフレと定義すれば、お金の価値を意図的に下げればいい。際限なくお金を出し(無限の量的緩和)、リスクのある資産を買えばいい(質的緩和)わけだ。
 しかし、「通貨の番人」を自負する日銀は、「お金の信用は都合よく落とすことなどできず、一気に失墜する」(幹部)と考えた。健全な価値観ながらも、積極緩和に慎重な姿勢は「デフレ克服の努力が甘い」との批判を生んだ。
 2%の物価上昇に向け、量的にも質的にも金融緩和を徹底的に追求するスタイルは、プロパーではない黒田総裁だからこそ可能だった。慎重さの吹っ切れた姿勢を市場は好感するが、挑戦の成否が問われるのはこれからだ。ほどよく通貨価値が落ちなければ「悪性のインフレになる」(日銀OB)ことは国民も認識しておくべきだろう。

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Comments

単純に言えば、アベノミクスの恩恵に与れるのは投資家と政治的繋がりのある一部大企業ですね。いくら金融緩和したところで銀行のマネーストックは新たな国債購入資金とされるでしょう。企業の99,7%の中小零細企業
には届かない。何故なら中企業は設備投資が必要な程の受注が見込めていない。小零細企業は財務が脆弱な為融資対象にならない。これまで日本経済が発展してきた大きな要因の「中産階級の消費力」、ここに使えるお金がストックされない仕組みです。これに加え、TPPやFTAなどの協定と増税の嵐がやってきます。内需がシュリンクするのは当然でしょう。しかも国家財政にとってはかなりリスクの高い政策でもあります。このリスクを背負うのであれば中小零細企業にターゲットを絞り成長させ内需を拡大させるべきです。暴論ですが、「モラトリアム」や返済猶予を受けている企業の借入をゼロベースに置き換え、資産をフリーにし、これまで培ってきたノウハウを新事業や建て直しの為の材料として利用できる環境にする。当然、それなりの計画や根拠を示す必要がありますが、金融機関がバックアップし、成功させるスキームと営業支援を行うといった、金融機関も財務だけでなく、事業性を見極める力と営業支援を行い、融資責任を果たす体質に変わらなければ、地方産業の活性化は見込めない。地方産業に於いて一番のネックはファイナンスにあるからだ。こうする事で、一時的に金融機関の財務は悪化するが、税収入は得られ、有効資産に生まれ変わり新たなビジネスチャンスが生まれる。

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