全柔連の「不祥事」と「柔道死」
「不祥事」についてマスコミも問題としているが・・・もっと本質な問題があると思う。
犯罪である「暴力」の頻発とその隠蔽(犯人隠避)、公金である選手強化のための交付金を上納(恐喝?)させ「懇親会」「打ち上げ」に費やした「横領」、指導実態がないのに強化費を受け取った「詐欺」。
この体質と、教育現場で年平均4名の中高生が死亡しているにもかかわらず、全柔連の対応が極めて鈍いこととに同じ問題を感じる(それは文科省も同罪である)。
「教育現場の柔道死を考える」(かもがわ出版)を読んで痛感した。ぜひ一読をお勧めする。
【社説:全日本柔道連盟 公益法人の適格性疑う 毎日3/25】
【全柔連改革 人心一新しか再生の道はない 読売3/24】
・死亡事故、重大事故がおこっても科学的な検証をしていない。文科省は事故の統計もとっていない。
(全柔連の暴力事件の隠蔽。また、他競技についての調査では指導者の聞き取りですませたJOC。それを容認した文科省)
・柔道死させた指導者個人は責任をとわれていない。指導者としての資格を剥奪されていない。学校や自治体が賠償という「金」で決着。
(「不祥事」という曖昧なものでなく犯罪。刑事告発されるべきもの。)
・そもそも指導者というが、経験者であっても、科学的なトレーニング方法、医学知識をフランスのように専門的に学んでいるわけでもない。柔道人口が三倍のフランスでは死亡事故はほとんどない。
(全柔連の抜け穴だらけの「資格制度」は、柔道事故被害者の会が諸外国に資格制度や事故について問い合わせ、調査した結果、国際柔道連盟の席で、日本の「柔道死」が話題なった結果とのこと。近代的な運営をしていないので、国際柔道連盟の理事もなれない。)
・有無を言わせぬ上下関係、自らを改革する能力の喪失。
(全柔連の会長は続投、JOC理事も改選となる6月まで居座り、処分でなく自主的な「退任」。女子柔道監督も戒告処分どまりで、自主的な「辞任」)。
・武道の本質(本来は自己研鑽など人間を磨く極めて教育的なものである、と理解している)からはずれ、勝利至上主義におちいり、短期間に「成果」をもとめるために蔓延する「体罰」「しごき」。
(そしてオリンピックのメダル数だけで、持ち上げたり、バッシングするマスコミと、それを容認する世論)
次世代を担う子どもたちが正しい社会観をもつめには、どんな過去に「栄光」があろうと、法は公平であり、犯罪は許されないと正義が貫かれることを示すこと、そして子ども達が胸をはって柔道にとりくめる環境をとりもどすこと、そして何より「柔道死」を防ぐことが、が今、最も優先すべき点である。
そのためには・・・
・徹底した取組を第三者機関を設置して行い、刑事告発も含め厳しく対処する。
~ 過去の「柔道死」事故を徹底検証する。
~ 暴力問題では選手、元選手への聞き取りなど他の競技団体にもないかもふくめて実施
~ 出入りの業者との癒着も視野に入れて行う必要がある。
・武道必修化の中止。きちんとした指導者もいない。安全が確保できない。教育「目的」の「武道の大事さ」を語れる環境にない。
・スポーツ選手の権利をまもるための第三者機関を設置する。
・柔道指導者には、科学的知識を習得したものだけに限り、不適格者は指導の現場から排除する。厳格な「資格制度」の導入。
~ そのために世界の制度を調査し謙虚に学ぶ。
【海外の柔道事故による死亡者数調査210/8/6】
・全柔連は犯罪が蔓延している組織であり解体し、人身を一新し新組織として再起をなす。
さらに・・
・体質が一新されたと国民的な理解がえられるまで柔道のオリンピック参加はとりやめる。
・オリンピック誘致の中止。オリンピック誘致がかかわると、徹底して膿を出し切ることにブレーキがかかる危険性がある。
も考える必要がある。
日本生まれで、世界中に広がっている柔道だからこそ、誰からも信頼され愛されるように、徹底した厳しさが要求される、と思う。
しかしながら・・・、
世界水準の安全基準を無視した末の福島原発事故でも、誰も責任をとっていない。
ウソではじめたイラク戦争への協力も、まともな検証もされず誰も責任をとっていない。
そうした極めて深い問題があると思う。自分の問題としなくてはならない。
【全柔連改革 人心一新しか再生の道はない 読売3/24】女子選手への暴力問題などで、全日本柔道連盟に対する信頼は地に落ちた。組織を立て直すには人心を一新し、改革を断行するしかあるまい。
全柔連は、上村春樹会長ら執行部の体制を見直さず、全員の留任を決めた。
責任を取る文化はないのか。社会通念に反する全柔連の決定に、呆れるばかりである。
これに先立ち、暴力問題を検証した第三者委員会が、全柔連に答申を提出した。「柔道界の常識ではなく、世間一般の常識を体現できる人材が不足している」などと、全柔連の組織としての問題点を厳しく指摘する内容だった。
執行部の留任に、第三者委のメンバーだった精神科医の香山リカさんが「(答申では)組織として機能していない、とまとめた。会長も含めて処分を検討すべきだ」と批判したのも当然だ。
全柔連は、辞任した全日本女子前監督の暴力行為を把握しながら、いったんは前監督の続投を決めた。不信感を強めた15人の女子選手は、日本オリンピック委員会(JOC)への告発に至った。
問題の重大性を認識できず、適切な対策も講じられない。全柔連に危機管理能力が欠如しているのは明らかである。
バルセロナ五輪の52キロ級銀メダリスト溝口紀子さんは、全柔連について「一握りの幹部に権力が集中しがちで、『違う』ともの申すことができにくい」と語る。
この「一握りの幹部」が交代しない限り、組織の変革は望めないだろう。上村会長は「一丸となって取り組む」と語るが、執行部の一新こそ改革への第一歩だ。
第三者委は、執行部に外部のメンバーを入れることや、女性理事、女性監督の起用も求めた。閉鎖体質から脱却し、風通しのよい組織に変わるには、ぜひとも実現する必要があるだろう。
全柔連では新たな問題も明るみに出た。日本スポーツ振興センターから強化委員に支払われた助成金の一部を強化委員会に上納させ、飲食や接待に使っていた。
帳簿や領収書は残されておらず、プール金の残高は約2000万円にも上るという。
さらに、強化委員を務める理事は、指導実態が全くないのに助成金を不正受給し、その一部を上納していたことを認めている。
全柔連は税制上の優遇措置を受ける公益財団法人だ。不透明な金銭管理は許されない。
信頼回復には、これらの問題の徹底解明も重要だ。
【社説:全日本柔道連盟 公益法人の適格性疑う 毎日3/25】これで公益財団法人を名乗る資格があるのか。男性指導者による女子選手への暴力やパワーハラスメント行為から始まって、組織ぐるみの疑いが濃厚な公的助成金(強化費)の流用や不正受給など問題噴出の全日本柔道連盟(全柔連)のことだ。
全柔連は18日の理事会で、暴力問題を調査した第三者委員会が提言した改革案の大半を6月の理事会まで先送りした。当初、女子選手の勇気ある告発を重大視せず、柔道への国内外の信頼と信用を大きく損なった上村春樹会長をはじめとする執行部の責任は問われず、上村体制の続投が決まった。指導実態のない複数の理事の強化費不正受給が22日に明らかになり、新たな第三者委員会の設置を指示されても上村会長は引責辞任を否定した。どうやら世間の常識は柔道界の常識ではないようだ。
先の理事会では副会長の一人が自身を含めた執行部の進退を問う意見を述べた。だが、出席した理事からは賛成の声どころか、反対の声さえも上がらず、沈黙が続いた。会議の冒頭、講道館の創始者、嘉納治五郎の孫で、講道館名誉館長の嘉納行光氏が「一枚岩でやっていきましょう」と話したことで流れが決まったようだ。自由闊達(かったつ)な議論を封じることが一枚岩になることなのか。
全柔連への来年度の選手強化交付金の停止を決定した日本オリンピック委員会(JOC)は翌19日に公表した改善勧告の中で、「職位において上の者が下の者の意見をよく聞くようにし、職位の上下関係にかかわらず対話による意思疎通が行われる環境を整えること」と指摘した。問われているのは、選手時代の実績や先輩後輩の上下関係に支配されている全柔連の前近代的な体質だ。
第三者委員会の指摘を待つまでもなく、「柔道界の常識ではなく世間の常識を実現できる人材」、例えば柔道界とは利害関係を持たない人物を意思決定機関の理事会だけでなく、執行部中枢にも登用すべきだ。
女子選手の告発をまともに取り上げなかった当初の対応を見れば、女性理事の登用も急務となる。強化現場だけでなく、長らく男性だけで固めている理事会にも複数入れることで、風通しのいい組織に近づくだろう。女子柔道が公開競技として初めて五輪に採用されたのは88年ソウル大会で歴史的には後発だが、実績では今や男子をしのぐほど。それに見合った組織体制を整えることは、いまだに男性が実権を握って放さない他の競技団体の範となるはずだ。
透明性をアピールする意味で、とりあえず理事会を公開することを提案したい。変わったこと、変わろうとしている姿勢を明確に示すことが信頼回復への近道ともなる。
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