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除染 運び先なし、安全管理もなし

 福島原発事故か2年。広範な放射性物質でふるさとが汚染された。
 その除染の汚染土の運び出し先がなく作業がすすまない。同時に、作業員の完全管理が野放し状態となっている。
再稼働云々の前に、やるべきことをきちんとやって信頼を回復することが先決だろう。
【汚染土、運び先なし4811カ所 福島の除染作業 共同3/2】【除染作業員:被ばく情報、集約されず 業者に指示徹底なく3/4】

【汚染土、運び先なし4811カ所 福島の除染作業 共同3/2】

 東京電力福島第1原発事故で降り注いだ放射性物質の除染が進められている福島県内で、住宅や学校、公園など少なくとも4811カ所の汚染土を運び出す先がなく、現場に置いたままになっていることが2日、県のまとめで分かった。昨年12月末時点の集計のため、箇所数はさらに増えている可能性がある。
 一時保管する仮置き場が、近隣住民らの反対でなかなか確保できないことが原因。国や県は「専用の袋に入れたり土中に埋めたりしているので、放射線量は低く安全だ」としているが、放射性物質が生活空間のそばにある状態が続き、不安を抱えながら暮らす人も少なくない。


【除染作業員:被ばく情報、集約されず 業者に指示徹底なく3/4】

 福島第1原発周辺で環境省が行う国直轄の除染で、作業員ごとの被ばく線量データベース作成を担う公益財団法人「放射線影響協会」(放影協)にデータが全く届いていないことが分かった。作業員を雇った事業者が放影協へデータを送るよう、同省が放影協と昨年合意した一方で、事業者への指示を徹底していないためだ。除染に関する線量管理が野放し状態になっている実態の一端が浮かんだ。
 除染作業員の線量管理に関し労働安全衛生法の規則は、事業者に記録・保存を義務付けるが、そのデータを集約し一元管理する仕組みはない。作業員が複数の除染事業者の下で働く場合、線量を通算することができず、法定上限(1年間50ミリシーベルト、5年間100ミリシーベルト)を超す恐れもある。
 原発作業員の線量は業界の自主ルール「被ばく線量登録管理制度」で、放影協の放射線従事者中央登録センターがデータベースを作り一元化。1人1冊持つ「放射線管理手帳」に事業者が線量を記入し、同じ数値データを電力各社がセンターに送る仕組みだ。
 環境省は昨年5月、除染事業を受注するゼネコンなどと結ぶ共通の契約書を作り、手帳は「可能な限り(作業員に)取得させなければならない」と明記した。放影協は一元管理のため同省に、作業員の離職時などに事業者がデータをセンターに送るよう求め、同省も同意した。だが、データは一件も届いていない。
 同省除染チームは、データ送付は「放影協と事業者の間で、やり取りがなされることになっている。環境省から事業者に詳細な指示はしておらず、対応を任せている」と説明。一方、放影協は「手帳とデータ送付は一元管理のために不可分。事業者への要請を環境省にお願いしている」と話す。
 国直轄除染は11年12月以降10市町村で25事業に着手、18事業を終えた。11〜12年の福島県大熊町でのモデル除染(約3カ月)では、年間法定限度の4分の1近い11.6ミリシーベルト被ばくした作業員もいる。
 被ばく労働に詳しい東大大学院の縄田和満教授は「除染での被ばく線量を国は正確に把握する必要があり、労働者にとっては労災申請の際に不利になる。現在の枠組みで対応できないのなら、国が新制度を作るべきだ」と指摘する。

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