TPP参加 自民党は公約を守れ~通商交渉権は米議会
時事インタビューで安倍首相は“自民党は「聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉しない」との公約を掲げた。しかし、自由な貿易環境は日本にとって国益になる。果たして「聖域なき関税撤廃」なのか、ここに至っては首脳会談で確認するしかない。”(首相がTPPでどういう決断をしても自民党内をまとめられるか。に対し)“政権を担うとはどういうことかという経験がしみこんだ政党だ。長い政権与党としての経験に裏打ちされた責任感がある。”として極めて前のめりの発言をしている。
アメリカ一国との話しで全体のルールが確認できるわけでもない。しかもアメリカは通商交渉の権限は大統領でなく議会にある。自民党の公約は、上記だけでなくISD条項は合意しないなど全体6項目ある。
「道徳」「規範意識」が好きな自民党だが、公約を守らずして云々する資格がない。
【自民党 TPP交渉参加に対する基本方針】
【TPP交渉 許されない見切り発車 北海道新聞・社説2/15】
自民党の公約は
①『聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉参加に反対する』
②自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
③国民皆保険制度を守る。
④食の安全安心の基準を守る。
⑤国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
⑥政府調達・金融サービス等は、我が国の特性を踏まえる。
ことを明記している。
【TPP交渉 許されない見切り発車 北海道新聞・社説2/15】環太平洋連携協定(TPP)をめぐり、自民党の調査会が「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加に反対する」との基本方針をまとめ、きのう安倍晋三首相に申し入れた。
基本方針に盛り込まれた内容は、自民党が昨年末の衆院選で掲げた政権公約を踏襲したものだ。安倍首相が順守するのは当然である。
首相は今月下旬に予定されるオバマ米大統領との首脳会談で、例外品目の可能性を探る意向だが、TPPの是非は世論を二分したままだ。
見切り発車は許されない。政権与党として公約の重みをあらためて受け止めるべきだ。
TPPは全品目の関税撤廃が原則である。交渉参加国は米国やオーストラリアなど11カ国で、各国の利害が絡んで交渉は遅れ気味だ。
日本が交渉に参加した場合、特に農業に及ぼす懸念は払拭(ふっしょく)されていない。北海道をはじめ地域経済に与える影響は甚大だ。
交渉参加に向けて事前協議入りを決めた民主党に比べ、自民党は慎重な姿勢を示していたはずである。
昨年3月、国民の理解を得るための情報が決定的に不足し、政府の改善努力も全く見られないとして、交渉参加の判断基準を打ち出した。
それが基本方針にも明記された「国民皆保険制度を守る」「食の安全安心基準を守る」などの6項目だ。政権公約として衆院選に臨んだ経緯をよもや忘れたわけではあるまい。
なかでも自民党道連は重点政策としてTPP交渉を「断固阻止する」と訴え、反対する姿勢がより鮮明だった。道内選出議員には責任ある対応が求められる。
TPPを主導する米国は市場開放に対して強硬だ。とりわけ牛肉、自動車、保険の3分野について日本市場の閉鎖性を批判してきた。
交渉参加国は全品目を自由化対象とする方針で一致しており、聖域が認められる見通しは立っていない。
オバマ大統領との会談に臨む安倍首相の姿勢も気がかりだ。日米同盟の再構築と経済再生を当面の目標に掲げており、米国と国内経済界から要望が強いTPPの交渉参加に含みを残しているからだ。
輸出と雇用の拡大を追求する米国の利益が日本の国益と軌を一にするとは言い切れない。米国への安易な追随は避けなければならない。
政府は情報開示を徹底し、具体的な利点や対応策をわかりやすく提示する必要がある。なにより国民的論議を深めていくことが不可欠だ。
自民党内の賛否も分かれ、意見集約は難航する気配だ。安倍首相は政権公約を踏まえて指導力を発揮すべきである。
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