「貧困の連鎖」を強める保護規準切り下げ反対を 県に申し入れ
2月1日、生活保護の規準引き下げを行いよう、国に強くはたらきかけることを求める県知事宛の要望書(下記参照)を提出。県議団の申し入れには、地域福祉部長らが対応した。
部長は「影響が大きいこと、2人、4人と世帯が大きいほど影響がある内容。どんな影響がでるか検討が必要。他の施策への影響も大きい。申し入れの趣旨はわかります。国の動向をみて対応していきたい」とのべた
他にも「いきなり非課税世帯に住民税がかかってくるのか、と感じる。非課税の規準は総務省から引っ張ってきている。それがどうなるのか。」
「具体化の内容は何もでてきていない。3月中旬の担当主会議があるのでそこで一定あきらかになるのでは。」
「県としての影響、他への影響も大きい。県としてもせっかく貧困の連鎖を断つ取り組みをしているところ」などの懸念を表明した。
県は、影響をはかるために一定のサンプル調査を開始している。
ただ、子育て世代への影響についてはかなり懸念をもっているようであるが、1人暮らしの高齢者が覆い高知県では、報告ではアップとなっており、具体化がとうなるかわからないが、温度差を感じた。
子どもの貧困の連鎖を強め,県民の生活全体に影響を与える 生活保護基準の引き下げを行わないよう、国に強く働きかけることを求める要請書1月18日,社会保障審議会の生活保護基準部会(以下「基準部会」という。)が報告書をとりまとめたことから,来年度予算編成に向けて生活保護基準(生活扶助基準)の引き下げの動きが強まっていると報じられています。
全国的には生活保護の申請が受け付けられず、餓死や凍死などの痛ましい事件があとをただず、12月県議会で尾﨑正直知事は「どの推計によりましても、生活保護を受けずに、保護基準未満の収入で生活されている世帯がございます」「「保護の必要な方が、保護を受けられないということがあってはならない」と答弁しているように、「最後のセーフティネット」が十分に機能していないことが問題の焦点です。
基準切り下げは、「住民税の非課税限度額、それに連動する保育料や介護保険料、また、就学援助制度などに影響を及ぼす」ものであり「県民生活に影響が出てくる」(9月議会、地域福祉部長答弁)という県民生活全体に影響し、低所得者の多い高知県にとっての影響は極めて大きいといわざるを得ません。そのことは、報告書においても、サンプル数が極めて少ないなど「要因が明確に分析できない」「統計上の限界がある」と認めるとともに、「現実には第1十分位の階層には生活保護基準以下の所得水準で生活している者も含まれることが想定される点についても留意が必要」としてること。さらに、「本部会の議論においては,国際的な動向も踏まえた新たな最低基準についての探索的な研究成果の報告もあり」と紹介している委員(駒村部会長,岩田委員,山田委員,阿部委員)独自の調査研究の結果は,生活保護基準(1級地1)が月額13万8839円であるのに対し,あるべき最低生活費は月額16ないし21万円であって,むしろ現行生活保護基準の低さが浮き彫りにしており、一方的な削減に道理がないことあきらかです。
とりわけ、今回の報告書では、単身世帯,母と子1人世帯,夫婦と子1人世帯,夫婦と子2人世帯のすべてについて軒並み保護基準を引き下げるべきことが示唆されています。特に,子育て世帯の引き下げ率は子どもの数が多いほど大きく,子育て世帯に過酷な内容となり、先進国でもトップクラスの「子どもの貧困」率をさらに悪化させ、「虐待や低学力のリスクを拡大させ、「貧困の連鎖」を強化することになります。
たとえば、高知市の就学援助率は、小学生約3割、中学生約4割となっています。「貧困の連鎖」解消に、県の「放課後学習室」、奨学金制度の充実、市の「チャレンジ塾」などの努力をなされていますが、こうした努力に逆行するものであり、また少子化対策にも逆行するものであり、決して許されるものではありません。
よって県にあっては、県民の生活を守り、子どもの貧困を解消するための努力を推進立場から、統計上も問題のある「調査」をもとにした生活保護基準の切り下げに反対することを、国に強くはたらきかけることを要望します。
【貧困の連鎖の強化・・・自民党の政策とも矛盾】
なお保護規準きりさげ、とりわけ子育て世代の影響については、自民党の政策とも矛盾するし、その手立てをすれば、財政的な削減にはならないのではないか。
◆就学援助の支給水準は維持する方針 下村文科相が意向 朝日1/302013年度政府予算案で生活保護基準額の引き下げが決まったことに関連し、下村博
文文部科学相は29日、「就学援助の支給水準が引き下がることがないよう仕組みを考えたい」と述べ、生活保護減額に連動して就学援助を受けられなくなる子どもが出ないような対策をとる考えを明らかにした。下村氏は田村憲久厚生労働相と同日朝に協議、影響が出ない方向で調整することで一致した。
就学援助は、経済的に苦しい家庭の小中学生に学用品費や給食費などを支給する制度で、約156万人が対象だ。多くの自治体が生活保護基準額を対象者の範囲を決める目安にしている。生活保護基準額引き下げは、家族の人数が多い子育て世帯で減額幅が特に大きい。その余波を受けて、就学援助を受けられなくなる児童生徒が出る、との懸念が広がっていた。
文科、厚労の両省は、就学援助の目安について、引き下げ前の生活保護基準を維持することなども視野に、検討する見通しだ。
◆幼児教育無償化を検討 高校無償化には所得制限 安倍首相表明 産経1/31安倍晋三首相は31日午前の参院代表質問への答弁で、自民党が先の衆院選公約に掲げた幼児教育の無償化について「(民主党政権時の)子ども子育て支援新制度との関係や財源確保の観点などを踏まえ検討を行う」と述べ、今後検討作業に入る方針を明らかにした。
首相は「人格形成の基礎を培う重要な時期に質の高い幼児教育を保障することは極めて重要だ」とも語った。
民主党政権が導入した高校授業料無償化に関しては「法律の見直し規定も踏まえ、所得制限の導入も含め、真に公助が必要な人への制度となるよう検討する」と述べ、平成26年度以降を視野に所得制限導入を検討する考えを示した。
◆『J-ファイル2012 自民党総合政策集』〈63 激動の時代に対応する、新たな教育改革(平成の学制大改革)
高校授業料無償化については、所得制限を設け、低所得者のための給付型奨学金の創設や公私間格差・自治体間格差の解消のための財源とするなど、真に公助が必要な方々のための制度になるように見直します。
→ 就学援助が維持されても、就学前の家庭、高校生には影響。
自民党の政策にも反する。
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