オスプレイ追加、埋め立て申請~ 沖縄は日本の何なのか
沖縄の地元紙が、「負担軽減とは名ばかりで、冷戦時代を思わせる機能強化策、軍事要塞化」「訪米時の手土産として埋め立て申請を行うのなら、日本を取り戻すどころか『沖縄を米国に差し出す』」ことにしかならない。」「政府が沖縄県民を生身の人間と見なしていないと宣言するに等しい」と社説。
必要なのは、日米中の戦略的な対話、外交力である。危機を煽り、民意を踏みにじり、軍需産業の儲け口を増やすことではない。
【沖縄にオスプレイ追加配備検討=特殊作戦用10機、数年内-反発必至 時事1/12】
【社説[嘉手納にオスプレイ]沖縄は日本の何なのか 沖縄タイムス1/10】
【社説 訪米前埋め立て申請 沖縄の主権こそ取り戻せ 琉球新報1/12】
【沖縄にオスプレイ追加配備検討=特殊作戦用10機、数年内-反発必至 時事1/12】【ワシントン時事】ドンリー米空軍長官は11日、国防総省で記者会見し、空軍仕様の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの沖縄配備を検討していることを事実上、認めた。詳細については明言を避けたが、空軍嘉手納基地(嘉手納町など)に10機程度を今後数年で配備する計画とみられる。
これに関し、国防総省のジョンストン北東アジア部長は訪米中の沖縄県の又吉進知事公室長に対し、「日本を含むアジアのどこかに(CV22を)配備する計画を進めているが、どこにするか特定するほど煮詰まっていない」と伝えた。
沖縄では既に、海兵隊仕様のMV22オスプレイ12機が普天間飛行場(宜野湾市)で本格運用に入り、さらに12機が今夏までに配備される予定。CV22はMV22に比べ事故率が高いことで知られる。安全性に対する地元の懸念は払拭(ふっしょく)されておらず、今回明らかになった計画により、沖縄の反発が一層強まるのは確実だ。又吉氏はジョンストン氏に「CV22の配備は絶対に認められない」と強調した。
【社説[嘉手納にオスプレイ]沖縄は日本の何なのか 沖縄タイムス1/10】軍事基地をめぐる最近の沖縄の動きは尋常でない。負担軽減とは名ばかりで、冷戦時代を思わせる機能強化策が次々に表面化している。
米政府が、空軍の特殊作戦機CV22オスプレイを嘉手納基地に配備する計画を日本政府に伝達していたことが、共同通信の取材で明らかになった。
本紙も昨年6月、米軍資料や米国防総省高官の話などをもとに嘉手納への配備計画を報じた。それによると、嘉手納基地の第353特殊作戦群に2015米会計年度(14年10月~15年9月)に5機、16会計年度(15年10月~16年9月)までにさらに4機を配備する予定だ。
普天間飛行場には海兵隊のMV22オスプレイが12機配備されている。この夏にはさらに12機が追加配備される。空軍のCV22を含めると、30機超のオスプレイが配備されることになる。
空軍のCV22は特殊作戦用に開発された機種だ。地形追従レーダーを備えているのは、敵のレーダーをくぐって低空で敵地に潜入するためである。
特殊作戦という任務の性格上、CV22は海兵隊のMV22に比べ事故率が高い。
嘉手納に配備されれば本島北部や伊江島などで低空飛行訓練、夜間訓練が頻繁に実施されるのは確実である。沖縄の空が海兵隊と空軍のオスプレイによって占領され、平穏な日常が今以上に脅かされてしまうのだ。
沖縄県民の平和的生存権が脅かされているというのに、政府は何一つ有効な手だてが打てず、全国紙の報道もいたって冷淡だ。
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異常である。
県と市町村が昨年10月から11月末まで実施した目視調査では、確認された518件のうち、61・5%にあたる318件が運用ルールに違反していた。
正月三が日も飛行訓練が実施され、2日には宜野湾市の上大謝名公民館で90でデシベル以上の騒音を10回記録した。その上さらにMV22オスプレイとCV22オスプレイが追加配備されるのである。
夜間外出禁止令が出ているにもかかわらず、沖縄では、米軍兵による深夜の飲酒行動や民間住宅への侵入事件が相次いでいる。
それだけではない。防衛省は、13年度予算の概算要求に下地島空港利用を想定した調査研究費を盛り込む考えだ。
那覇基地に配備されているF15飛行隊をさらにもう1個飛行隊増やし、戦闘機部隊を拡充強化する計画もある。
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与那国では陸上自衛隊の沿岸監視部隊(100人程度)を常駐させる計画が進んでいる。
沖縄で顕著なのは、負担軽減ではなく、中国をにらんだ軍事要塞(ようさい)化の動きである。冷戦後、沖縄がこれほど軍事緊張に包まれたことはない。
日米中に強く自制を求めたい。この地域で3カ国が軍備をエスカレートさせるのは極めて危険である。そこに住む人びとの「人間の安全保障」こそ国を超えて追求されるべきであり、今こそ日米中の戦略対話が必要だ。
【社説 訪米前埋め立て申請 沖縄の主権こそ取り戻せ 琉球新報1/12】米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画で、政府は2月で調整している安倍晋三首相の米国訪問の前に、公有水面の埋め立て申請を行う方向で検討しているという。到底認められない。
県知事、県議会、県内41市町村の全てが県内移設に反対し、県外・国外移設や閉鎖・撤去を求めている。沖縄の民意に反して手続きが進むとしたら、政府が沖縄県民を生身の人間と見なしていないと宣言するに等しい。沖縄は「政治的無人島状態」ではない。こうした差別的な扱いがまかり通る民主国家など世界のどこにもあるまい。
「日本を、取り戻す。」を方針に掲げて衆院選を戦った首相が訪米時の手土産として埋め立て申請を行うのなら、普天間移設の問題では日本を取り戻すどころか「沖縄を米国に差し出す」ことにしかならない。
現在、県外移設を求める県の立場を説明するため、又吉進知事公室長が訪米している。こうした中、政府でこれと正反対の動きが表面化することは許しがたい。安倍首相は選挙後の先月21日の会見で「名護市辺野古沖に移設する方向で地元の理解を得るため努力したい」と述べていたが、これが果たして地元の理解を得る努力をしていると言えるのか。県民を愚弄(ぐろう)しているだけではないか。
移設計画の環境影響評価書の補正書は昨年12月に県に提出され、現在は公告縦覧中だ。知事意見は評価書について「環境保全は不可能」と断じた。補正書も県の疑問に十分答えた内容とはなっていない。手続きの体裁を整えながら環境への影響を本気で考えるよりは、計画をごり押しすることを優先しているだけにすぎない。
補正書は野田民主党政権が衆院選で惨敗後、新政権に移行する前に提出されている。安倍政権がこの手続きを検証もせず、次の作業に進むなら前政権と同様、甚だしい思考停止と言わざるを得ない。
ニューヨーク・タイムズが昨年の社説で「地政学的優位性が地域の懸念に勝ると(米軍駐留を)正当化する日米両政府に重視されていないと県民は感じている」と指摘した。日本政府よりも同紙の方が県民の気持ちを理解しているのは皮肉な話だ。
安倍政権は日米関係の正常化へ向け、沖縄の主権こそ取り戻すべきだ。それには埋め立て申請を見送り、民意を尊重するのが賢明だ。
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