手抜き除染 元請と環境省の責任
危険手当のピンハネの次ぎは手抜き除染。さらに苦情は昨夏から殺到していたとの報道。しかし対応した環境省は記録をとり指導に活かしていなかった。
環境省は、原子力規制委員会の所管省庁であるだけに、ずさんな対応の責任は特に重たい。
公共事業の手抜き工事は、指名停止、施工のやり直し、損害賠償も発生する。元請は、関与にかかわらず「成果」を確保できない契約した責任がとわれなくてはならない。国民的な負担による復興予算の詐取である。毅然とした対応が必要である。
【手抜き除染、作業員証言 「詰め切れぬ葉は捨てて」指示 朝日1/4】
【直轄除染で不法投棄か 環境省、週明け実態調査へ 福島民友1/5】
【「除染とはいえない」 不法投棄の可能性で住民憤り 福島民友1/5】
【手抜き除染、夏から苦情殺到 環境省、対応おざなり 朝日1/5】
【手抜き除染、作業員証言 「詰め切れぬ葉は捨てて」指示 朝日1/4】「手抜き除染」横行の情報を得て、取材班は現地に向かった。
「袋に詰めなければならない草木をここに捨てました」。20代男性が取材班を案内したのは、県道から20メートルほど斜面を下りた雑木林だった。枯れ葉や枝が幅1メートル、長さ50メートルにわたり散乱し、高い所は1.5メートルほどの山になっている。
福島第一原発から南に15キロの福島県楢葉町。昨年8月に警戒区域が解除された後も大半が避難指示解除準備区域に指定され、町民は住んではいけない。
楢葉町の除染を受注したのは、前田建設工業や大日本土木などの共同企業体(JV)。作業ルールでは道路の両側20メートルの幅で草木や土を取り除き、袋に詰めて仮置き場に保管しなければならない。空間線量を毎時0.23マイクロシーベルト以下に下げていく長期的目標の第一歩だ。
男性は昨年10月、都内のハローワークで3次下請け会社の求人を見つけ、働き始めた。道路の両側20メートルにはったピンクのテープの内側で、のこぎりで木を切り、草刈り機で刈り取った草や落ち葉を熊手でかき集めて袋に詰め、運び出す作業のはずだった。
ところが、大日本土木の現場監督は当初から、作業班約30人に「袋に詰め切れない分は捨てていい」「テープの外の崖に投げていい」と指示し、作業員らは従った。監督が不在の日には別の監督役から同じ指示があったという。
【直轄除染で不法投棄か 環境省、週明け実態調査へ 福島民友1/5】東京電力福島第1原発事故を受けて国が直轄で行う避難区域の除染をめぐり、請負業者の一部が汚染土壌や草木を川に捨てたり、除染で出た放射性物質を含んだ汚染水を回収していなかったりした可能性があるとして、環境省は4日、除染作業の実態調査に乗り出すことを明らかにした。
同省によると、国直轄の本格除染は現在、田村、楢葉、飯舘、川内の4市町村で行われている。同省には、いずれかの除染作業の過程で出た汚染土壌などが不法に捨てられているなどの指摘が寄せられ、同省福島環境再生事務所(福島市)は週明けにも、元請けとなった四つの共同企業体(JV)の現場責任者らから現場の管理態勢などについて事情を聴く方針。JVはそれぞれ鹿島、前田建設工業、大成建設、大林組が中心となっている。
除染の枠組みについて定めた放射性物質汚染対処特別措置法では、除染で取り除いた土壌や草木などの不法投棄を禁じ、違反者には5年以下の懲役か1000万円以下の罰金が科せられる。指摘が事実の場合、同法に違反する可能性もある。
【「除染とはいえない」 不法投棄の可能性で住民憤り 福島民友1/5】東京電力福島第1原発事故で汚染された地域のうち、国が直轄で除染を行う地域で汚染土壌が不法投棄されているとの可能性が浮上した4日、除染の一日も早い完了を待つ住民からは「もはや除染といえないのでは」などと憤りの声が上がった。一方、不法投棄の可能性が指摘された地域がある自治体からは、除染作業の監督を強化するなどの対応の必要性を指摘する声が相次いだ。
国が直轄で除染を進めている飯舘村二枚橋・須萱行政区長の佐藤憲治さん(60)は「全く許し難い行為。本当に不法投棄が行われているなら、もはや除染ではない」と憤慨する。「環境省や村当局、地元の人間などによる厳しい監視態勢を整えなければ村民は納得しない」と訴えた。
田村市は4日、福島環境再生事務所に対し、実態調査を早急に行うことなどを申し入れた。冨塚宥市長は「市が発注する除染作業についても監督を強化したい」と話した。飯舘村の菅野典雄村長も「事実なら厳重に国に申し入れをしなければならない」と話し、楢葉町の担当者は「もし事実だとしたら除染の信頼性に関わる問題だ」と指摘した。
【手抜き除染、夏から苦情殺到 環境省、対応おざなり 朝日1/5】東京電力福島第一原発周辺で「手抜き除染」が横行している問題で、住民から環境省に除染作業への苦情が殺到していたことが分かった。ところが、環境省は苦情内容や件数を記録・分析して業者の指導に活用することをしていなかったという。住民からの苦情に場当たり的な対応を重ねたことが、手抜き除染を見逃す一因になった可能性がある。
除染事業の現地本部である環境省福島環境再生事務所によると、建物や道路から20メートル以内の本格除染を始めた昨夏以降、住民から「草がきちんと刈り取られていない」「洗浄に使った水が漏れている」といった苦情が多数寄せられるようになった。これらは環境省が定めた作業ルールに違反する可能性があるが、担当者の一人は「ひっきりなしに電話がかかってきて、いちいち記録をとっていられなかった」と打ち明ける。
同事務所は朝日新聞の取材に「苦情があるたびに契約に基づいてきちんとやるよう作業現場に注意してきた」と説明。一方で具体的な内容や業者名、件数などは記録せず、苦情の多い業者を厳しく指導するなど効果的な対応をしていなかったことを明らかにした。個別の苦情にどう対応したのかは検証できないという。
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