横山龍雄市長の「革新市政」論
もう八年くらい研究会をしている。革新性とはなにか・・・政党の話ではない。憲法的価値を、生活の現実に引き寄せ、住民合意をどう前進させるか、が肝ではないか、というのが私の考察。
ヒーローは必要ない。着実に、主権者としての合意をどう築くかにある。
あとから、外から見たら、見えることがあるらしい。
【横山龍雄市長の「革新市政」論】
「春夏秋冬」より
◆革新市政 312
「市政は、はじめから市民のためのものであり、特定の団体や利益代表のものではない。もちろん職員のためのものではなく、特定の政党のためのものではない。市政を市民主体で推進することは当然である。」「基本においては市政は市民全体の意見を聞きながらすすめるべきである。最後の判断は市長の良心にしたがって決定すればよい。私の市政運営の基本的考え方はこの通りで、はじめから最後まで変わっていない。
私は自ら『革新』だといったことはないが、こうした考えは氏原さん、坂本さんの市民全体の市政と通じるところがあるので、氏原さん、坂本さんを推してきた立場の人たちとも協調していけたのだと思う」
→ 国民主権、住民自治、全体の奉仕者という憲法的価値にもとづくもの
・55年体制 保守合同 自民党誕生 自主憲法制定、安保推進(再軍備)
革新 護憲、反安保
~ 加藤周一 戦前との継続と断絶 財閥、内務官僚など戦犯の復活/憲法的価値のよる転換、
一部のものの奉仕者から全体の奉仕者へ その転換をめぐるたたかい
*氏原一郎伝におもう
「その二つの大きな災害(メモ者 戦災、震災)の復興事業と市民生活の安定を進めなければならない市長のご苦労を身近で見てきた私は、氏原市長が市民の苦しみを自分の苦しみとして受け止めていた姿を思い出している。
また、国民健康保険が今のように義務化されてない時、氏原市長は高知市民の生活に安心をもたらすためには、ぜひとも国保の実施が必要であると考えられ、計画に取り掛かられた。私は民生部長としてその役割の一旦を担うこととなったが、多くの反対があり困難を極める中で、氏原さんは先頭に立ってその必要性を説かれ、民生部は八百回以上の説明会を持つなど関係職員の大変な努力もあって、熱心に支持してくれる市民のご協力をいただき実施することができた。そのことから私たちは、政策実現のためには責任者の一念の強さがいかに大切を学んだ」6/10/1
*「行政はいつも公正、公平を旨とし市民本位ですすめなければならない。革新市長といっても皆の意見をよく聞いてやらなければならない。坂本市政の1つの特徴は市民対話の重視で、市政懇談会などを大事にされた」(私と高知市政)
→ 市民全体の市政、公正・公平、市民対話・市民参加 / 「同和行政」の是正
Ⅰ 平和の思想 ~ 戦争体験、平和憲法への思い
→ 加害者責任の自覚と結びついた平和憲法の積極的肯定と決意
・「物にしか値打ちを見出せないという風潮の現代は、いのちの在り難さその重みの感覚をマヒさせ、それがやがて他人や他民族を平気で殺りくする戦争への危険な流れにつながる気がしてならない」57/7/1 自らの入院
・「5月は私たちが誇る平和憲法の月です。日本の38年間の平和の原動力となっている 58/5/1
・「日本は幸いにも今、平和な日々が続いていますが、世界の各地では戦火が絶えません。確かに、戦争を起こす一部の権力者を除いてだれもが戦争を憎み、平和を待望していることは間違いないことです。こうした民衆の素朴な願いと連帯の輪を広げていくことこそ、地球上からこの最大の悲劇を無くす最も大きな力」58/5/1
・「平和で毎日の生活が幸せにいっぱいな世の中をつくるのは、1人ひとりが過去に学ぶ姿勢をもつことではないかと思う」60/7/1 7/4高知空襲に触れて
・「私たち高知市民も広島を訪れ、原爆の惨状に触れることにより、その痛さを心におき、平和のために今何をしなければならないかについて、みんなで考え合っていきたい」60/9/1 第一回世界平和連帯都市市長会議
・「平和を愛する心を育てていくことにより、平和な良い社会が築かれていくことを思い・・・」61/2/1 成人式
・「かつての日中戦争で、その中国を蹂躙し多くの人命を奪ってきた日本の行為を、私たちは謙虚に反省し、おわびの心をもって中国との交流を深めていきたい」3/8/1 蕪湖市、友好都市6年
・「私は、日本の歴史の中で朝鮮半島に対してとってきた日本の態度や、また大戦中に中国大陸をはじめ東南アジア諸国を蹂躙した日本人の行動の中に、目を覆いたくなるような行為のあった事実などが、教育の場で十分に教えられていないのではないかと気に掛かっている。戦争を放棄した日本人は、戦争の時代を生きてきた私たち自身の反省と同時に、どんなに心が痛んでも過去の過ちを次の世代に十分に伝え、学んでいくことで平和への決意を強めていかなければならないと思う」 日韓青年セミナー 3/10/1
・「太平洋戦争と高知の女性展」について二週コラム
Ⅱ 共生の思想
人間の基礎に自然がある。生物すべてが自然の摂理によって生かされている (持続可能な社会づくり)
人と人との共生 弱者への視点、ノーマライゼーション (社会権)
そうした「人」の営みとしての「まちづくり」 (住民参加)
~ 政治思想というより、人生哲学、倫理観としての「共生」の思想か (共同体の文化)
→ 環境破壊・大量消費、利己主義・競争(資本主義の発展がもたらす負の側面)への批判としての「革新」性
・子ども達が描く街~「自然を大切にするまち」「お年寄りや弱い立場の人が大切にされるまち」「命が大切にされる平和なまち」「子どもが安全で楽しく遊び育つまち」…大人が見失ってはならない街づくりの基本を見事に描き出されており…。63/12/1
・「都市は、そのまちに住む人たちの営みによってつくられ、変化し発展し続ける」2/12/1 放置自転車問題
・「街の雰囲気や来訪者に接する市民1人ひとりの心が、観光の都市を支えている」もてなしの心63/11.1
・「街は、私たちの生活に喜びを与えてくれるだけでなく、そこに住んでいる人々の文化の度合いを計る尺度となるように思う」01/2/1
・「障害者が地域の中で喜びを感じ生きていけるような世の中であることが、みんなに幸せをもたらしてくれる社会」60/6/1
・「お年寄りを大切にし、その経験や知識に学ぶ感謝の心や、障害をもつ人たちへの深い思いやりの心は、きっと私たちの生活を潤いのあるものにしてくれると思います」60/10/1
・「愛と銀輪」~「一番弱い者を守らなければすべてを守れない」の言葉紹介 61/9/1
・「万民平等しいう土佐の自由権思想と、ノーマライゼーションの考え方には、人間社会のあり方について、支配ではなく連帯と共生という共通の思いがその根底に込められているように思う」 共に生きる~4/4/1
・「快適で便利な生活を求めて、ためらいもなく自然を破壊し、環境を変えてきた人間の生き方に強い反省がもとめられているのではないだろうか」「使い捨てが消費を拡大し景気をよくすることになるという論理には、何か人間の驕りがあるように思えてしかたがない」2/2/1
・健康都市 「私たちの周囲から健康を阻害するものを除いていかなければなりません」「緑が豊かで水も空気もきれいな、心の安らぐ環境をとりもどしていく」61
・「周囲の人たちとともに生きていくこの社会が潤いのあるものであり、私たちが生かされている自然の環境も豊かでなければ、ほんとの豊かさではないように思います」「わが国は、急速に都市への人口が集中したことによって、いろいろな歪みが生じ、先進諸国の中では、都市の中の緑の空間の確保や、公共下水道や道路などの施設の遅れが目立っている。」「私たち自身が豊かに生きるためにも、生物すべてが自然の摂理によって生かされていることを謙虚に考え、環境を大切にしながら生きていかなくてはならねばと強く思います」~心豊かに60/3/1
・「安い農産物が輸入されると、私たちの命の糧は外国に握られ、安全や平和は極めて不安定な状態となり、価格が安いことだけを喜んでいられなくなる」63/10/1
・市民が主人公
100周年事業 101人委員会、3年間の討議での開催
「自由を求めてやまなかった明治の土佐人気質が受け継がれ、市民憲章の自主と自立の精神の実践の姿でもあると思い、その情熱に敬服している」01/4/1
市民憲章のとりくみ 鏡川一斉清掃、各地のまつり・文化祭、市民健康ウォーク
~「学び交流、連帯を強める場」 地区センター、集会所、公民館の整備
「市民の文化祭」 アンデパンダン展 「自由と革新の気風」
「市民のよさこい祭り」
桂浜・坂本龍馬象、坂本龍馬記念館 ~ 民間の青年のとりくみ
平和、環境、健康、市民参加とまちづくりは、「共生」の思想のもとで一体となっているのでは・・・?
農業、戦争体験、震災体験
≪進藤兵 ◇革新自治体とは≫
①体制 首長や支援団体が革新政党、革新団体
②労働者階級、国民・市民の立場
③政策的には・・・
資本の横暴をおさえ、憲法25条の実現をめざす
軍国主義、帝国主義に反対し、9条を守る
少数者のための政治から多数者のための政治へ。民主主義の徹底 国民主権、住民自治の発揚
【横山龍雄市政 78-94年 4期16年】
・1975,76年 台風被害
・80年代 臨調「行革」 着実な財政運営(現実との折り合い)、職員組合の自主的努力
*80年以降、臨調「行革」、民活路線
増税なき財政再建 福祉施策の切り捨て、
81年の「第二次臨時行政調査会」(第二臨調)の発足、85年の自治省「地方行革大綱」
後半は、第三セクター、リゾート法など民活型地域開発政策の展開とその後の破綻
→ 防災事業もあったが、この時期の堅実な財政運営は、評価されるべき
≪参考 80年代以降 民間活力、都市間競争の時代へ≫
・臨調「行革」~ 増税なき財政再建、民間活力
・産業立地政策の立案主体は国から地方自治体へと時代とともに変化 83年テクノポリス法
・85年プラザ合意 貿易黒字・円高不況、バブル形成へ (財界が本格的な多国籍企業展開へ)
・四全総(86年)、多極分散型国土形成促法(88年)
総合保養地域整備法(いわゆるリゾート法)(1987年)
関西文化学術研究都市建設促進法(1987年)
頭脳立地法(1988年)、地方拠点法(1992年)
大阪湾臨海地域開発整備法(1992年)と多くの地域開発法が新たに制定。 ・90年、日米構造協議 10年間で430兆円の公共工事
・市民の心を心として -- 清潔、不当要求の排除 特定市民問題、同和行政
弱い立場の人に光を当てるのが政治の役割
防災、学校、保健福祉センター・文化センター、平和の旅、自由民権記念館
現実的対応。「できないことはできない」という姿勢
都市計画税問題
保育所の公設民営方式
清掃工場の延命
76年 全市域を対象に登録制による資源・不燃物の分別収集を開始した。
78年度からは月1回収集に移行し、84年1月から水銀含有廃棄物の収集を開始、
80年 宇賀清掃工場が完成し、菖蒲谷工場は休止した。
85年 三里最終処分場が完成した。
90年 全市域でのプラスチックごみの分別収集を開始した。
◆横山市政の特色 渡辺進氏 資料より
「市民の心を心として」の市政、誠実・清潔
革新思想のない革新市政(市民に依拠した市政であることは間違いない)
し尿問題の解決、防災都市の建設
学校建設、同和行政
革新の継続
市政100周年(全国唯一の市民主体・多彩な祝賀事業)
非核平和都市宣言(S59、1984年) 広島バス旅行(S60)、平和の日制定(平成元年)
鏡川を清流保全条例
◆考察
住民自治の発揚 ⇔ 善政、ヒーロー(おまかせ)
・市民参加による経費削減、
・現実的な対応 できないことはできないと言う。国政の流れ、制約の中での「最善」
→ 「革新市政はこうあるべき」という縛りがなかった?
・「誠実」の持つ力、ぶれないトップによる職員の力、市民の力の発揮は・・・
②住民運動、労働運動の成熟度は・・・・
今、様々な市民運動が発展。ソーレ、ネットホップ、うろこの会、あじろ山の会、戦争史跡
アテラーノ旭、多様な子育てサークル
行政もNPOのサポート、法テラス、消費者センターなど支援
・「要求型」から「協働型」へ ~ 真の住民自治の発揚にとって、行政に求められる姿勢は何かを、先駆的に示したのではないか。
~ おそらく行政側も運動側も、そこに気づいてなかった。
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