「慰安婦」談話見直し~「最大の外交的敗北」「不名誉な孤立」
安倍首相の河野談話見直しについてニューヨークタイムスが「日本の歴史を否定する新たな試み」「恥ずべき衝動」「深刻な過ち」と批判する社説をのせたが、琉球新報の年末の社説は、外務省OBの東郷和彦氏が“慰安婦問題への対応を誤れば、日本は韓国だけでなく欧米諸国との間にも計り知れない対立を生んで「完全な国際的孤立に陥り」「(戦後)最大の外交敗北」を引き起こす”と指摘していることを紹介している。
侵略戦争の反省と平和憲法にもとづく国づくりは、日本が国際社会に復帰するにあたっての国際公約である。
安部政権の侵略戦争美化の道は、「不名誉な孤立」の道でしかない。
【米NYT紙、安倍首相の謝罪見直し批判 共同1/4】
【「慰安婦」河野談話 見直しは国際的孤立招く 琉球新報2012/12/29】
【対中韓外交 着実に現実路線進めよ 東京新聞・社説2012/12/29】
追加・・・
【日本の新内閣:未来に背を向けて 英エコノミスト1/5】
「慰安婦」問題の本質は、性奴隷的な慰安所生活の強制性にあり、日本の判決でも事実認定がされている。連行が軍の強制で、明確な指示文書があったかは、国際的には問題になっていない。
それでも、たとえば、2004年12月の中国人「慰安婦」訴訟では、東京高裁は「日本軍構成員によって、駐屯地近くに住む中国人女性(少女も含む)を強制的に拉致・連行して強姦し、監禁状態にして連日強姦を繰り返す行為、いわゆる慰安婦状態にする事件があった」と判決文で認定している。三権分立の司法が確定した証拠である。
軍の強制連行、指示文書の存在に「性奴隷問題」を論点すり替えしているだけ。ナチスのホロコーストにおいても,明確な「指示文書がない」から「虚構だ」というネオナチの主張と同質である。
みなさんも経験ありませんか。悪いしたのに反省は口先だけで、「他の人もやっている」「しかたなかった」など自己弁護に終始する輩。そんな人が信頼できますか。
国と国の関係も、基本は国民の意識・行動に規定される点では、人と人との関係と土台にしていると思う。
ちなみに、 戦後の出発にあたり、戦前の統治にかかわった官僚、政治家のほとんどが冷戦体制のもとで、米国と昭和天皇の意見により、温存された(豊下氏論考ほか)・・・その流れが「世襲」などを通じ、今日も続いている、このこと直視する必要があると思う。
【米NYT紙、安倍首相の謝罪見直し批判 共同1/4】【ニューヨーク共同】3日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、安倍晋三首相が、従軍慰安婦問題を謝罪した河野洋平官房長官談話の見直しなどを示唆していることについて、「日本の歴史を否定する新たな試み」で、日韓関係を極度に悪化させかねない「深刻な過ち」だなどと強い言葉で批判する社説を掲載した。
社説は、昨年12月31日付の産経新聞に掲載された安倍氏の単独インタビュー記事の内容を紹介。安倍氏が、植民地支配と侵略を認めて謝罪を表明した戦後50年の村山富市首相談話に代わる「未来志向」の談話を模索する考えを示し、従軍慰安婦問題をめぐる河野官房長官談話に関しても、強制性を示す直接的証拠が見つからなかったと述べたとした。
社説はその上で、日本の戦争犯罪を否定し、過去の謝罪の色合いを薄めようとする安倍氏の「恥ずべき衝動」は、韓国や中国、フィリピンなど近隣諸国を激怒させ、北朝鮮核問題への対処などにおける周辺国との協力関係を損なう可能性があると警告した。
【「慰安婦」河野談話 見直しは国際的孤立招く 琉球新報2012/12/29】
戦時中の従軍慰安婦問題をめぐり強制性と日本軍の関与を認めた1993年の河野洋平官房長官談話について、菅義偉官房長官が見直すとも受け取れる発言をした。「学術的観点からさらなる検討が重ねられることが望ましい。踏襲するとか、しないとかではない」と慎重な言い回しではある。しかし、安倍晋三首相自身が河野談話の修正論者で“前例”もあるだけに、いずれまた本性を現すのではないか、との懸念は拭い切れない。
衆院選大勝のおごりか。「タカ派路線」を前面に押し出すのなら看過できない。自制を求めたい。 前回の安倍内閣は慰安婦問題について「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示す記述は見当たらなかった」(2007年3月)として、河野談話を見直す趣旨の政府答弁書を閣議決定している。
しかし、その後に起こった反響を思い起こしてもらいたい。同年7月に米下院本会議は「慰安婦制度は日本政府による強制的売春」として、日本政府に公式謝罪を要求。オランダ、カナダ、EUの議会も同様の決議を採択した。 欧米をはじめとした国際社会が、慰安婦問題に向ける視線は極めて厳しい。日本政府は「強制性」にこだわるが、国際社会は「人道に対する罪」と受け止め、日本政府に真摯(しんし)な対応を求めている。
外務省OBの東郷和彦氏は最近の論考で、慰安婦問題への対応を誤れば、日本は韓国だけでなく欧米諸国との間にも計り知れない対立を生んで「完全な国際的孤立に陥り」「(戦後)最大の外交敗北」を引き起こすと指摘している。 菅官房長官は「安倍内閣としては、まず政治、外交問題にさせない」とも述べたが、今後の対応次第では日韓だけでなく、重要な同盟国であるはずの米国との関係も深刻になる事態も予想される。
政府は今後、慰安婦問題については有識者会議などの形式ではなく、学術的な見解を内々に聴くなどして検討を重ねる方針という。
慰安婦問題での学術的な調査、研究は確かに必要だろう。しかしそれは、日本と国際社会との間に深まった溝を埋めるためのものでなくてはなるまい。
自らの歴史認識に固執するあまりに国際的孤立と「外交敗北」を招き、国益を損ねるようなことがあっては断じてならない。
【対中韓外交 着実に現実路線進めよ 東京新聞・社説2012/12/29】安倍政権の外交で取り組むべきは中国、韓国との関係修復だ。経済再生を第一に掲げるのなら、アジアの成長力を取り込む政策が必要になる。隣国との摩擦を拡大せず、協力体制を再構築したい。
安倍晋三首相はまず韓国との関係修復に動きだした。島根県・竹島(韓国名・独島)について、自民党の衆院選政策集では二月二十二日を「竹島の日」として祝う政府主催の式典を催すとしていたが、来年は見送る方針だ。
朴槿恵・次期大統領の就任式がその三日後に行われるため韓国側を刺激するのを避けたのだろう。賢明な判断だといえる。
早期に首脳会談を開き、竹島や歴史問題とともに、日中韓自由貿易協定(FTA)交渉の進展や北朝鮮の核、ミサイル開発への対応などを話し合うべきだ。
中国は沖縄県・尖閣諸島周辺の領海や領空への侵犯を繰り返す。安倍政権は海上保安庁の態勢強化を急ぐが、尖閣諸島に公務員を常駐させる案については「中国との交渉カードの一つ」との見解を示すなど、姿勢を軟化させた。
安倍首相は六年前の就任後、中国との「戦略的互恵関係」を掲げて、小泉政権で悪化した関係の改善に努めた。総選挙中は強硬発言が目立ったが、今回も現実路線を進もうとする姿勢がみてとれる。政府は中国の海洋進出を警戒するオバマ米政権と緊密な協議を重ね、同時に習近平新指導部には、暴力的な反日デモを許さず、日本企業の投資環境を保証するよう強く求めたい。日中両国の緊張は、中国経済にとっても大きな損失になるからだ。
菅義偉官房長官は植民地支配と侵略を認めた村山富市元首相の談話を踏襲するとし、従軍慰安婦で旧日本軍の関与を認めた河野洋平元官房長官談話については、有識者会議での議論が必要だとしながらも、「政治、外交問題にはしない」と述べた。
二つの談話は歴代政権が継承してきた対アジア外交の基本理念である。見直しを明言すれば、中国や韓国との修復はまた遠のいてしまう。日本との同盟強化を目指す米国にしても、戦前の軍国主義への反省を無にするような歴史認識には厳しい批判があることを忘れてはならない。
固有の領土を守り安全保障体制を強化しながら、中韓両国とは共通の利益を模索して「右傾化」批判を避ける。現実主義に立脚した外交を展開していきたい。
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