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「新安全基準」を値切らせない~原発ゼロへの焦点

  昨年12月の地元紙の調査で、「再稼働すべきでない」48・0%、「再稼働すべきだ」27・2%。原発「段階的に廃止すべきだ」62%トップ、即時は12%となっている。
 この声を生かすには、「世界最高の安全基準の達成」(「安全な原発」とは形容矛盾だが)をもとめ、電力会社の「値切り」を許さないことが、即時ゼロとほとんどイコールになるのではないか、と思っている。
ざっと考えても再稼働の判断にいたる際には求められるハードルは以下のようなものがあるのではないか(しなければならない)。
【原発「新安全基準」の検討に関する要請 1/23 市民の会】
【ここが問題!原発「新安全基準」FoE Japan 1/23】【原発新基準 規制委ヒアリング 電力会社が対策“値切る” 福島事故並み「想定必要ない」赤旗1/27】

①東南海巨大地震など地震学の新たな知見、無視されてきた変動地形学の知見にもとづく、活断層の再調査・再評価の徹底と、その評価にもとづく耐震・津波対策の強化 

②設計上のシビルアクシデント対策(格納容器の性能、複数のベント装置、可搬施設だけでなく注水・電源設備の多重化恒久施設。「見なし」規定でスルーされてきた難燃性ケーブルの義務化や系統分離、オフサイトセンターの移設と機能拡大、むき出しの「原子炉」である使用済燃料プール対策などなど)

③原子力防災(30キロ圏内の低人口化・立地指針の厳格化、25時間内に東西南北に実際に全住民が避難できる訓練の実施。「格納容器はこわれない」として立地したため矛盾の集中点の1つ)

④使用済核燃料プールの確保(あと650基が稼働するとあと6年といわれるが、福島第一・4号プールの460トン〔第一、第二で3080トン〕など危険性から廃炉になったものから移動すれば、余裕ゼロか不足する)
~などを、原子力防災の対象自治体が原発交付金などとは無関係な自治体にまで広がったもとで、住民の合意がもとめられる。

 さて、この実施にはどのくらいの時間が必要か。その間に、巨額の固定費の必要な原発は、不良債権として顕在化する。対策の巨額の投資が割にあうのか、という問題が明確になる。
 「世界最高の安全基準の達成」・・・これは行政なども否定しがたいものであり、原発が当面必要と言う人とも一致点を築け、「段階的に廃止すべきだ」という声をさらに前進させることになるのではないか。と思っている。

二月ころから上記のような視点で、高知民報に一昨年の「原発ゼロ開く高知の未来」に続いて「原発ゼロと安全対策の徹底」と題して連載する予定です。

【原発「新安全基準」の検討に関する要請書(案) 1/23】

原子力規制を監視する市民の会

◆原子力関係者のみで急ピッチで進められる新安全基準策定

 原子力規制委員会は、「発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム」等において、原発「新安全基準」の策定作業を急いで行っています。
 「新安全基準」は、原発再稼働の前提となる基準であり、住民や一般市民の命や生活に関わる非常に重要なものです。にもかかわらず、利益相反が問題となっている学者や原子力関係者の非常に限られた数人の間だけで議論され、しかも議論が煮えきらないうちに議事を次々と進め、結論を急いでいるのが実状です。今年7 月に期限を定め、1 月中に骨子をまとめるという強行スケジュールです。骨子を急ぐのは、電力会社が改造工事にとりかかれるようにする措置ともいわれています。現に、東電は柏崎刈羽原発において、フィルタ付ベントの工事を進めています。

◆利益相反メンバーが電力会社の利益を代弁・電力会社のみのヒアリング

 検討チームの外部有識者は6 名中4 名が、利益相反が問題となっている人物です。しかもそうした人物が、電力会社に有利な発言を繰り返しています。批判的な専門家は排除されており、住民や福島原発の被災者からのヒアリングもありません。一方で、1 月の骨子策定に際し、電力会社からのヒアリングだけは実施しました。電力会社は、実施を検討しているが新基準に適合しているのか否かを問い、原子力規制庁はそれに答え、実質的な事前審査の場となりました。問題が配られる前に、答え合わせをしてあげるというサービスぶりです。このような検討のやり方は直ちに改めるべきです。

◆福島原発事故の検証はおきざり

 福島原発事故を踏まえての基準づくりですから、福島原発事故の検証が不可欠ですが、これができていません。事故は、津波ばかりでなく、地震による影響もありましたが、十分に解明されていません。また、どのくらいの溶融燃料が、どこから、どのようにして圧力容器の外に出たのかも不明です。さらに、格納容器が破損したことは間違いありませんが、どの場所で、どのようにして、どの程度破損したのか、全く明らかになっていません。これらの解明なしにシビアアクシデント対策など意味をもたないでしょう。場合によっては、格納容器の設計変更が迫られます。新安全基準の検討の前に、福島原発事故の実態を明らかにすることを優先すべきです。

◆シビアアクシデントに設計で対応しなくてよいのか

 新安全基準検討チームでは、従来の安全設計審査指針を法制化した設計基準は原則変えずにそのままとし、シビアアクシデント基準を追加する方針で検討しています。
 基準を分けることにより、シビアアクシデント対策として、移動式の電源車や移動式の注水設備など、主に可搬設備による対応でも再稼働を許すものとなっています。代替の注水設備などの恒久施設については、「信頼性を向上させるための施設」として、将来的に設置すればよいという扱いで、電力会社に都合がいいものになっています。
 しかし、可搬設備について、例えば移動式の注水設備は、つなぐのに10 時間もかかり、進展の早い事故には対応できないと電力会社からのヒアリングの場で中部電力が吐露しています。地震により、構内の道路が使えなかったり、線量が高くて作業ができなかったりといったおそれもあります。また、シビアアクシデントを設計に取り込むのではなく、別立てにして、可搬施設による応急的な対応を許すというやり方は、最新の知見により設計基準を作成し、それを既存の炉に適用するというバックフィットの考え方にも反します。
 特定安全施設についても、航空機衝突により本体施設が壊滅すれば意味を持ちません。地震や津波への対応は目的から外されており、どれほど役に立つのか不明です。

◆設計基準も問題噴出

 また設計基準の部分についても、問題が噴出しています。火災防護対策の不備や、平成2年以前の炉に対する多重性の不備を容認する「みなし規定」撤廃については、新安全基準の策定をまたず、稼働中の大飯3・4号機を含め、今すぐ調査し、対処すべきでしょう。外部電源の信頼性を高めるために、送電設備や変電所の耐震性についても確認すべきでしょう。

◆基準の縦割り・別々に進む議論

 現在、新安全基準検討チームで検討されているのは、安全設計審査指針の基準化ですが、安全評価指針、耐震安全設計審査指針や重要度分類指針、立地審査指針など、他の指針類との整合性や基準化との関係も問題となります。別の検討チームで検討されている耐震設計審査指針の基準化との整合性について、検討がまだです。安全評価指針の基準化については、同時並行で検討が必要だと思われますが、これもまだです。
 立地審査指針における重大事故や仮想事故の定義を変えるのであればなおさらです。また立地審査指針にある集団線量の考え方を、放射能の総排出量に置き換えるという方針についても強引です。立地審査指針も、要求を具体化した上で基準化が求められています。こうした検討なしに、新安全基準の検討を進めることはできません。

 こうした状況から、下記について要請したします。

◆要 請 事 項

1.検討の進め方が拙速です。一旦検討を止め、検討状況や論点について説明の場をもち、時間をかけて広く専門家および国民の意見を聞く機会を設けてください。

2.利益相反が問題となっている専門家を外部有識者から外してください。検討チームのほぼ全員を原子力関係者と利益相反が問題となる専門家で占めているという状況は問題があることから、構成メンバーを見直してください。

3.新安全基準の検討の前提となる福島原発事故の検証が不十分であることから、基準の策定よりも、地震による影響、溶融燃料の状況、格納容器破損の状況などを把握し、事故の全容を解明することを優先してください。その上で、格納容器そのものの設計変更の必要性についても検討してください。

4.従来の設計事象だけでなく、シビアアクシデントについても、設計事象に含め、設計基準として対処してください。可搬施設は、接続に時間がかかる、地盤の変形により移動ができなくなる可能性がある、地震や高線量下で作業が困難となる可能性がある等の問題があることから、代替設備については恒久施設を必須とし、更に信頼性を向上させるために可搬施設を要求してください。

5.特定安全施設については、耐震性が本体施設と同等では意味がありませんし、航空機衝突により本体施設が壊滅すれば意味を持ちません。地震・津波時や航空機衝突時に果たして役に立つのか、特定安全施設の限界を明確に示してください。

6.福島原発事故レベルの事故だけではなく、それを超える事故についても想定してください。シビアアクシデントの六大事故について、全電源喪失下での冷却剤喪失事故など、同時に複数の事故が進行する可能性についても考慮してください。

7.火災対策について、可燃性ケーブルの使用状況を確認し、使用の疑いがあれば直ちに運転を止めさせてください。

8.多重性について、平成2年以前の炉に対して多重性の不備を容認する例外規定を外し、稼働中の大飯3・4号機については、直ちに対処させてください。

9.外部電源の信頼性確保のため、変電所や送電線設備の耐震クラスを引き上げ、変電所の耐震性や送電線鉄塔の地盤変形による倒壊の可能性についても確認してください。

10.現行の指針の原則となっている単一故障の想定では不十分です。共通要因故障の想定を原則に対策をとらせてください。

11.立地審査指針について、具体化した上で基準化を検討してください。集団被ばく線量を放出放射能の総量で置き換えるようなことはやめてください。安全設計審査指針の検討は、安全評価指針の検討と合わせて行ってください。


【原発新基準 規制委ヒアリング 電力会社が対策“値切る” 福島事故並み「想定必要ない」赤旗1/27】

 東京電力福島第1原発事故のようなシビアアクシデント(過酷事故)への対策を義務づける原発の新安全基準の策定を進めている原子力規制委員会の検討チームは、電力会社からのヒアリング(聴取)を25日までに2回開きました。福島第1原発事故の究明も終わらない段階で作られようとしている新基準骨子案の設備要求などに対し、電力会社は「工事が大規模になる」などの理由で、“値切る”要求を次々に持ち出し、再稼働を急ぐ姿勢をあからさまにしました。
 会合で7電力会社の担当者が、電力会社全体の意見として表明。新安全基準の骨子案で、過酷事故対策として消防車や移動可能なポンプなど応急的な設備を予備配備することを求めているのに対して、「ホースの量が多くて錯(さく)綜(そう)する」などと理由にもならないことを持ち出して配備数を減らすよう要求しました。水素爆発防止のため、原子炉建屋への水素放出量を福島第1原発事故並みに想定するよう求めているのに対し、対策は実施しているのだから「想定する必要がない」と表明しました。また、福島第1原発で起きた全電源喪失の対策について「設計基準に含めないで」と要求。理由を問われた電力側は「工事が大規模になり、時間がかかる」と述べました。
 さらに事故時の対策拠点となる「緊急時対策所」についても、骨子案がマスクを着用しなくても作業できる放射線対策を求めているのに対し、「マスク着用期間を考慮して」と気密性を下げることを要求。福島第1原発事故と同等の放射性物質の放出量を想定するよう求められていることに対して、「きわめて発生の可能性が低い状況を想定すること」だと述べるなど、電力会社が今も「安全神話」に漬かったままであることがあらわになりました。
 東京電力は緊急時対策所について、「作業員が命の危険を感じた当事者として、十分な線量低減策を取る方針」と述べ、先の電力会社とは異なる見解を表明しました。
 過酷事故対策の新基準の骨子案は31日にまとめ、パブリックコメント(意見公募)にかける予定です。

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