「都市格」と企業の「大阪離れ」
“大阪府内への本社機能の流出入が、2011年まで10年連続で転出超過。特に11年は、ほかの近畿府県がすべて、転入が転出を上回っており、大阪の「ひとり負け」”とのこと。
以前に、“関西で、京都、神戸は著名な企業が移転しないのに、大阪はどんどん離れていくのか”という問題で、「人格」ならぬ「都市格」という都市自体の持つ活力と魅力について上方芸能にくわしい木津川計氏の著書の備忘録を書いた。
文化を粗末にし、国民内部に敵をつくりあげ、「うっぷん晴らし」を煽る・・都市の魅力は増加したか?
読売は「1年」と表現しているが、府知事就任は08年1月。約5年が経過している。
【都市の品格 魅力あるまちづくりへ2008/10】
【橋下市政、劇薬の1年…続く不祥事・大阪離れ 読売12/20】
【橋下市政、劇薬の1年…続く不祥事・大阪離れ 読売12/20】橋下徹大阪市長が19日、就任1年を迎えた。
日本維新の会を率いる「国政活動」が目立った一方、市政運営では公務員制度や企業誘致、文化振興などで独自の施策を打ち出した。三つのデータから橋下改革を探った。
「公務員は身分じゃなく職業。ぬるま湯ではダメだ」と公言する橋下氏。
5月には、職員の人事考課を従来の絶対評価から5段階の相対評価に改めることや天下り禁止を柱とする「職員基本条例」を知事時代の府に続いて成立させるなど、厳しい姿勢で臨んだ。
ただ、今年度の市職員の懲戒処分件数は、11月時点で156件。前年度の130件を突破した。4月には大阪市営地下鉄の駅助役が禁煙の駅構内で喫煙してダイヤを乱し、職務中の喫煙が処分対象に含まれるようになったが、以降も喫煙で15人が処分された。懲戒処分には橋下市政以前の不正行為も含まれているものの、厳罰化による「規律向上」の気配は見えない。
年1万人以上の雇用創出、成長率2%以上――。昨年11月の大阪ダブル選で当選した松井一郎知事と共に掲げる成長戦略案で、2020年までの数値目標を打ち出した。その一環として12月から、JR大阪駅北側「うめきた」や臨海部へ企業が進出した場合、地方税を5年間ゼロにする全国初の企業誘致策を導入した。
しかし、難航を予感させるデータがある。大阪府内への本社機能の流出入が、2011年まで10年連続で転出超過になっているのだ。
特に11年は、ほかの近畿府県がすべて、転入が転出を上回っており、大阪の「ひとり負け」。調査した帝国データバンク大阪支社の担当者は「業界上位の企業が成長が望めないと大阪を離れている。企業の見方はシビアだ」と指摘する。
橋下氏は19日夜、記者団に「今日やって明日効果が出るなんて自治体では無理。国が短期的な経済効果を狙う施策をやるべきだ」と話した。
文化行政では、大阪フィルハーモニー交響楽団への補助金カットや、市直営の吹奏楽団「市音楽団」の民営化方針などに大なたを振るった。
大きな議論となったのは400年近い歴史を誇る大阪発祥の伝統芸能、文楽だ。
演者が所属する文楽協会(大阪市)に自助努力を強く求め、今年度補助金を前年度比25%減の約3900万円にカット。来年度以降は、観客数に連動して支給額が増減する方式に移す。
カギを握るのは、国立文楽劇場(大阪市中央区)での本公演の観客数だ。年4回行われ、毎回2万人前後が入るが、今年4月までは2万人を割り込む公演が続き、やや低迷している。
ところが、補助金カット策を盛り込んだ市政改革プラン素案が5月に発表されると、橋下氏と協会との対立劇が注目を浴びたこともあって、夏と秋の本公演の観客数は前年比4~6割増で2万5000人前後まで急伸。想定外の〈橋下効果〉となった。
(2012年12月20日07時53分 読売新聞)
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