トンネル崩落 点検結果の報告義務なし
ボルト接合部は目視の検査しかしていなかったとのこと。最後の打診は12年前。国交省は、設備点検のための各社のマニュアルをチェックせず、調査結果の公的機関の報告の義務もなく、維持管理を道路会社に丸投げしていた。アメリカでは検査が法的に義務付けられているとのこと。
維持補修分野の軽視が著しい。道路、橋梁、上下水など社会資本の老朽化が問題となっているが、市町村管理のものは進んでいない。予算、専門職・・・ 新規から維持補修、巨大開発から地域密着に・・・転換が必要。
しかし、警察は家宅捜査など対応は早い。東電はどうなっている? 避難の負担による関連死、畜産の未来を奪われての自殺・・
【社説:トンネル大崩落 管理の甘さゆえの惨事 毎日12/5】山梨県大月市の中央自動車道笹子トンネルで2日、天井板が突然大規模に崩落し、押しつぶされた車に乗っていた9人が亡くなった。
前例のない大事故だ。同トンネルは77年に供用を開始し、老朽化が直接の原因とみられている。全国のトンネルの4割以上が開通から30年以上たっている。まずは同種トンネルの総点検を急がねばならない。
コンクリート製の天井板がつり金具で固定される「つり天井式」の構造だ。内壁とつり金具の接合部のボルトが抜け落ちており、ボルトか内壁の経年変化による老朽化が崩落の連鎖を招いた可能性が強い。
中日本高速道路側は会見で、ボルト接合部は目視の検査しかしていなかったことを認めた。一方、他の高速道路会社は、同じ「つり天井式」のトンネルで、劣化の有無が分かりやすいハンマーを使った打音検査を実施していたとされる。
事実とすれば、中日本高速道路の点検体制に不備があったのではないか。老朽化というだけでは済まされない人為的な要素も加わった複合的な事故との見方もできるだろう。
山梨県警は業務上過失致死傷容疑で4日、同社本社などを捜索した。
一方、国土交通省は有識者による事故原因の調査・検討委員会を同日設置した。刑事責任の追及とは別に、原因の徹底的な解明と再発防止のための調査が肝心だ。
道路会社を監督する立場の国交省の姿勢も問われる。国交省は、高速道路やトンネルなどの設備点検要綱を定めた各社のマニュアルをチェックしてこなかった。いわば維持管理を道路会社任せにしてきた。こうした指導や監督体制の甘さも厳しく見直さなければならない。
近年は天井をつり下げないタイプの工法が主流だが、高速道路と国道37カ所(笹子を含む)が「つり天井式」だ。原因究明の過程で仮に構造そのものの欠陥が明らかになれば、天井板を取り除くなど大規模な取り組みも検討すべきだろう。
変化に富む日本の国土は、トンネルだけでなく橋脚も数多い。鉄道のこうした施設も含め、高度成長期に供用を始めた施設は一斉に老朽化の時期を迎えている。
それら全ての交通インフラを新たに整備し直すのはコスト面からも現実的ではないだろう。危険度や利用度の高いものから優先的に補修を進めるなど、メリハリをつけながら社会投資していくことが必要だ。
道路・トンネルについていえば、新規建設が重要視され、補修が後回しになった側面はないか。今回の事故の教訓を道路会社全てが共有し、二度と悲惨な事故を起こさない方策を探らねばならない。
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